バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガ2025-26シーズンのプレーオフは、日本代表の石川祐希が所属するシル スーザ スカイ・ペルージャが準々決勝から6連勝のシリーズ無敗で2季ぶり、通算3回目の優勝を果たして幕を閉じた。
クラブとして今季3冠目を掲げると同時に、イタリア11シーズン目で念願のスクデット(リーグタイトル)を手に入れた石川がインタビュー取材に応じた。
表彰式の後、フロアになだれ込んだサポーターたちが選手とスタッフを囲んで続いた祝勝セレモニー。そこで弾ける笑顔を見せた石川の感極まった言葉を期待し、「優勝が決まった瞬間の気持ちは?」と尋ねた。すると――
「いやぁ、そうですねぇ。コートにいなかったので、、、」
選手やチーム関係者のいないフロア端でぽろりと心の声がこぼれた。
昨年11月末(左膝)と今年2月初め(右膝)に続けて負傷した石川だが、開幕戦で17得点、アタック決定率77%をマークしてこれ以上ない形で今季のスタートを切った。ポーランド代表カミル・セメニウクとウクライナ代表オレフ・プロトニツキの低迷が続いたシーズン前半には、アウトサイドヒッター勢で断トツの数字を叩き出して大きくチームに貢献した。
スポーツの世界でタラレバは無粋だが、あの活躍がなければレギュラーシーズン首位通過を逃した可能性は否めず、上位勢と早期対戦になり得たプレーオフでの完全優勝ストーリーは変わっていたかもしれない。
すると石川が返したのは、「でも、怪我してしまったので」のひと言。
負傷以降の取材で、回復に注力することが自分の務めと気丈に繰り返したのは紛れもなく本心だったはず。しかしながら、復帰に想定外の時間を要したことで痛恨の思いが残ったようだ。
けれど、リリーフサーバーとして2回コートへ送り出された石川はすぐにこう続けた。
「でも、本当にうれしかったです。スクデットを獲るためにペルージャに来たので。怪我もあってプレーすることは叶わなかったですけど、チームとしてつかんだスクデットなので非常にうれしく思っています」
その言葉通り、まさにチームで勝ち取った栄冠だった。
昨季のペルージャは、前年王者の自信と余裕をうかがわせるパフォーマンスでシーズン前半を無敗で終えた。しかし、後半戦はコッパイタリアの準決勝敗退が尾を引いて直後のリーグ戦で2連敗。その結果、トレンティーノに得失セット差で首位を譲ってレギュラーシーズンを2位で終え、プレーオフ準決勝で同3位のチヴィタノーヴァに敗れて決勝を前に姿を消した。
「同じ失敗はしない」と今シーズンを送る中で何度も口にしてきたアンジェロ・ロレンツェッティ監督。チームは昨季と一線を画した慎重かつ堅実なアプローチに徹した。先述の通り、前半にチームを支えた石川が負傷した際はセメニウクとプロトニツキが奮闘。他にも主力に故障者が出たが、その度に任された選手が奮戦し、チームメイトの不在を埋めてチームを救った。どの試合でも終了まで緊張感をたたえ緩むことのなかった選手たちの表情が、今季のチームの姿勢を映し出していた。
そして、プレーオフでは大きく点差が開いた厳しい状況をセットの後半や終盤にたびたび覆し相手の気勢を削いた。
「相手(チヴィタノーヴァ)がもっとクオリティーの高いバレーボールをやっていたら(5点差から逆転した)決勝第2戦の2セット目も多分取れていなかったと思います。(ネットインのサービスエースなど)運が味方した場面もあったとは思いますけど、僕らが最後まで1点を大事にプレーし続けたことが結果につながったと感じています」
イタリア初年だったモデナでのコッパイタリア優勝に始まり、ペルージャ移籍1年目の昨季にMVP受賞で華を添えたスーペルコッパ優勝、2年目の今季はスーペルコッパ連覇と念願のスクデットをついに獲得。イタリア11シーズン目にして国内リーグ制覇を成し遂げた。
「キャリアに新たなページを加えることができました。それはプラスとして捉えています。でも、プレーできなかったっていう事実はあるので、それをこれから自分に落とし込んでもっともっと強くなるために戦っていきたいと思っています」
背番号14のシーズン最終章は欧州最高峰の舞台CEVチャンピオンズリーグ“ファイナル4”(日本時間5月17、18日/開催地トリノ)。昨季王者ペルージャは連覇に向けて、ポーランドリーグでプレーオフを3位で終えたPGE プロジェクト・ワルシャワと準決勝で対戦する。
取材・文●佳子S.バディアーリ
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