ミラノ・コルティナ五輪フィギュアスケート銀メダリストの坂本花織が5月13日に神戸市内で記者会見を開き、現役引退と同時に発表したのは、5月5日に「結婚した」というサプライズだった。
お相手は同い年の一般人で、会見の席上、坂本は満面の笑みで人物像を語っていた。
「大学時代に出会った方です。(自分とは)真逆な方で。常に冷静で、物事を考える方。でも楽しむことを忘れず、一緒に面白いことをしてくれる人です」
その新郎には結婚前夜、高い壁が立ちはだかっていたことだろう。坂本の父・修一さんは兵庫県警察本部で三田警察署副署長、兵庫県警地域部地域指導課次席などを歴任した元警視。兵庫県警時代にスポーツメンタルコーチの資格を取得後、警察官とメダリストの父の経験を生かしてアスリートやその家族、指導者への指導を行っている。
コーチングはスポーツ分野にとどまらず、非行少年やニート、引きこもりなどで親子関係に悩む保護者の相談も請け負っており、保護司としても活動。
坂本の両親は北京五輪後に離婚したと報じられたが、それでも新郎が親子の絆を大事にする修一さんの信頼を勝ち取り、坂本との「結婚の許し」をもらうのは容易なことではない。
日本スポーツメンタルコーチ協会に所属
一般社団法人日本スポーツメンタルコーチ協会に所属する修一さんのメンタルコーチ講演歴を紐解けば、アスリートか引きこもりかを問わず、次のような共通のキーワードが出てくる
「約束を守る」
「実現可能な夢を子供に持たせる」
「子供を信じる」
「子供に自己肯定感を持たせる言葉を使う」
「一期一会を大切にする」
坂本自身もまた、運を引き寄せるルーティンとして「出会いを大事にする」「大きな大会の前に掃除する」を挙げていた。ミラノ・コルティナ五輪の個人フィギュア、ショートプログラム前日に涙ながらに訴えた「緊張でもプレッシャーでもなくて恐怖」に打ち克ったのは、父のメンタルコーチングのおかげだ。
大学1年時に出会い、8年を経てゴールインした坂本と新郎は、修一さんの教えである「約束を守る」「出会いを大事にする」お似合いのカップルなのだろう。
元警察官の父、栄養士の資格を持つ母に支えられ、試合前に必ず部屋をピカピカにしていた坂本の結婚生活は、金メダル確実だ。
(那須優子)

