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<あかね噺>朱音も初めて知った“寿限無”の本来のサゲ、実はブラックユーモアな教訓噺に「怖~」

<あかね噺>朱音も初めて知った“寿限無”の本来のサゲ、実はブラックユーモアな教訓噺に「怖~」

アニメ「あかね噺」第六席より
アニメ「あかね噺」第六席より / (C)末永裕樹・馬上鷹将/集英社・「あかね噺」製作委員会

「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の、末永裕樹・馬上鷹将による落語漫画を原作にしたアニメ「あかね噺」(毎週土曜夜11:30-深夜0:00ほか、テレビ朝日系ほか/ABEMA・Netflix・ディズニープラス・FOD・Huluほかにて配信)。5月9日放送の第六席「寺子屋」では、阿良川志ぐま(CV.てらそままさき)の弟子の一人、阿良川こぐま(CV.小林千晃)が登場。彼が教える「寿限無」の本来の結末(サゲ)に、「怖~」「ブラックユーモアじゃん」という視聴者の声が集まった。(以降、ネタバレが含まれます)

■高座ではまるで別人、こぐまの変身に朱音も視聴者も驚き

こぐまと言えば、第三席で妹弟子になる桜咲朱音(CV.永瀬アンナ)の面倒見役に誰がなるか、というときに、「僕のせいで辞めたら……ムリムリムリムリムリムリ……」と震えていた姿が印象的だった。太いフレームのメガネをかけ、顔を隠すように下ろした前髪。人とのコミュニケーションも苦手そうで、いわゆる内向的な人物。これでどんな落語をするのかは注目の部分であった。

そして、いざ高座となった今回、こぐまは前髪を上げ、メガネを外し、シュッとした出で立ちで登場。普段の姿とは全くの別人と言っていい、自信あふれる落ち着いた様子からマクラをはじめ、観客を引き込んでいく。

この兄弟子の変化に、「あれが、こぐま兄さん!?」と驚きを隠せない朱音。視聴者からも「こぐまくんがめっちゃ変身!」「こぐま兄さんがかわいいからカッコいいに」「いや~私こぐま兄さんの寄席通っちゃうな」などのコメントが相次ぎ、反響の大きなシーンとなっていた。

■こぐまが「今戸の狐」を通して朱音に伝えたこと

今話では、このこぐまに朱音がアドバイスを求めに行く流れに。岩清水先生から実績作りの一環として、学生落語選手権、可楽杯への出場を勧められた朱音。阿良川ぐりこ(CV.山下誠一郎)からは、アマチュアの大会に、すでに志ぐま一門への弟子入りが決まっている者が出るというのは不義理ではないかと指摘される。それは朱音自身も理解していたが、今年の可楽杯の審査員長を務めるのは、あの阿良川一生(CV.大塚明夫)。しかも、一生は大会優勝者との歓談を提案している。「なんでおっ父を破門にしたのか」、その理由を聞くために絶対に出場し、優勝したかった。

朱音の気持ちを知る志ぐまは出場を許可するが、一つ、「“寿限無”で勝つこと」という条件を出す。しかし、可楽杯に来るのは耳の肥えた観客、そこで誰もが知っている演目で勝つのは難しいと懸念するぐりこ。そこで、落語の知識豊富なこぐまに教えを請いに行く。最初はすげなく拒否するこぐまだったが、朱音の真剣な姿をみて、まずは「寿限無」を見てくれることに。

エピソードの中で描かれていたが、志ん太はこぐまが慕う兄弟子だったようだ。「根に持つタイプ」というこぐまは、その志ん太を理不尽に破門にした一生には含みを抱いているようだ。そのこぐま曰く、朱音の言い立ては“音”で“言葉”になってないと言う。そして、「寿限無」の本当のサゲを知らなかった朱音を前に「今戸の狐」を披露して、“知ること”の大事さを伝えるのだった。
こぐまの心情を汲み取った視聴者からは、「破門ジジイに一泡吹かせてやりたいだろうね」「言葉より芸で伝える、こぐま兄さんもいい兄弟子」といったコメントが寄せられていた。

■本来の「寿限無」はブラックユーモアな教訓噺

朱音の課題となった「寿限無」だが、有名な演目のわりに、実は全部を知らない、“こぶ”のサゲしか知らないという視聴者の声も多かった。

古典落語の定番として知られる「寿限無」は、子どもの名前を巡る騒動を描いた滑稽噺だ。子どもが生まれた夫婦が、「せっかくだから縁起の良い名前を付けたい」と考え、寺の和尚に相談を持ちかける。和尚は長寿や繁栄にあやかったありがたい言葉を次々と挙げるが、夫婦は「どれもめでたい」と全部を詰め込んだ長い名前を付けてしまう。

こうして誕生したのが、「寿限無寿限無 五劫のすり切れず 海砂利水魚の――」と延々続く、あまりにも長すぎる名前の子どもだ。

朱音が知っていたのは、寿限無が友達と喧嘩して頭に大きなこぶを作り、慌てた子どもたちが親や周囲の大人に知らせようとするが、「寿限無寿限無五劫のすり切れず 海砂利水魚……が」と長い名前を言って説明している間にこぶは引っ込んでしまったというサゲ。

これは、本来は寿限無が川に落ち、子どもたちが親に知らせに行くものの、長い名前を言っている間に状況が悪化し、寿限無が溺れ死んでしまうというサゲだった。ただ、子どもが亡くなる結末は笑い話として受け入れられにくく、現在広く知られている“こぶ”のサゲへ変化していったと言われている。

聴かせるためには、その噺を自分が理解しなければいけない。理解するには当時の風俗や時代背景を知らなければいけない。そして、“知る”ということはとても面白い。「寿限無」の説明や「今戸の狐」という噺を知り、それに気付いた朱音は前に進むために、学びを始めるのだった。

なお、これまでの「子ほめ」や「転失気」、そして今回の「寿限無」も、一つの教訓を噺にしたものだ。古典落語にはこうした「欲をかくと失敗する」「見栄を張ると身を滅ぼす」「怠けるとろくなことにならない」といった教訓を題材にした噺が多く、「寿限無」という課題自体が、志ぐまから朱音への教えであるのかもしれない。

◆文=鈴木康道


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