北中米ワールドカップ開幕まで1か月を切る中、ブラジル代表のカルロ・アンチェロッティ監督が提出した55人の予備登録メンバーの中に、かつての絶対的エースであるネイマールの名前が含まれ、大きな議論を呼んでいる。
長期離脱や度重なる負傷により、近年は代表から遠ざかっていたスターの復帰のチャンスが現実味を帯び、ブラジル国内のみならず世界各国のメディアも敏感に反応。最終的な26人の本登録メンバーは18日に発表される予定だが、自身にとって最後のW杯になる可能性もあるネイマールの去就が、ブラジル最大の関心事となっている。
アンチェロッティ監督はロイター通信のインタビューで、ネイマール招集について率直な考えを語った。イタリア人指揮官は、チーム内でのネイマールの存在感の大きさを強調し、「彼は非常に愛されている。国民だけではなく、選手たちからもだ。彼を招集したからといって、更衣室に爆弾を持ち込むことにはならない。彼は非常に愛されている存在だからだ」とコメント。さらに、「この15日から20日で、彼は大きく改善した。特にフィジカル面が向上し、継続してプレーできるようになっている」と、コンディション回復を評価した。
一方で、慎重な姿勢も崩しておらず、「選ぶ時には、多くのことを考慮しなければならない。ネイマールは、この国で常に特別な才能を示してきた重要な選手だ。しかし、長い間、問題を抱えてきた。その回復過程を見極める必要がある」と説明。そのうえで、「私にプレッシャーはない。過去1年間、ネイマールだけでなく、全選手を評価してきた。私は最も情報を持っている人間だ」と自信も示している。
また英国の日刊紙『The Guardian』のインタビューでは、より踏み込んだ発言を残しており、「ネイマールの招集は、彼自身にかかっている。ピッチ上で何を示せるか、それだけだ。他の選手なら、才能とコンディションの両方を評価する必要がある。しかしネイマールに関しては、評価すべきなのはコンディションだけだ。彼の才能は、議論の余地がない」と断言した。
ただ同メディアでは、ヴィニシウス・ジュニオールについて言及する際、「ブラジルでひとつのポジションを背負う責任は非常に大きい。それが重荷になる場合がある。代表での我々の仕事は、その重圧を少しでも軽減し、喜びを持ってプレーさせることだ。ブラジルはひとりの“ナンバー1”だけに頼ってはいけない」と語り、「チームとして戦う必要がある」と強調。これは“ネイマール依存”からの脱却も意識した発言と受け止められている。 ネイマールの予備登録メンバー入りは世界各国でも大きく報じられ、スペイン・バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』は、34歳となった元バルサFWについて、「キャリア最後の大きな夢に一歩近づいた」と報道。一方、マドリードのスポーツ紙『as』は、「ネイマール地震」と表現し、「アンチェロッティが最終メンバー発表の1週間前に、サントスのレジェンドへ救いの手を差し伸べた」と伝えた。
アルゼンチンのスポーツ紙『Ole』は、「ブラジル国内で“10番”への期待と幻想が再び高まっている」と綴り、2023年10月のウルグアイ戦で重傷を負って以降、代表から遠ざかっているネイマールが、パフォーマンス維持次第ではW杯に間に合う可能性があると報じている。
またフランスのスポーツ紙『L'EQUIPE』は、「ネイマールは2年以上、『セレソン』のユニホームを着ていないが、サントスで見せている最近の輝きが、最終メンバー26人に入るのに十分かどうかが注目される」と伝えた。ただ同時にアンチェロッティ監督が戦術的バランスを重視していることから、「まだ小さな疑問符は残っている」と付け加えている。
セレソンのチームメイトからもコメントは寄せられており、キャプテンも務めたカゼミーロは、スポーツ紙『lance!』のインタビューで、ネイマール招集を強く支持。「もし自分が決められるなら、彼をW杯へ連れていく。ただし、全試合で90分プレーさせる必要はない。試合が均衡している時、決定的なゴールや特別なアシストで流れを変えられるのがネイマールだ。我々には今、そのタイプの選手がいない」と力説する。
ブラジルの放送局『Globo』では、前回カタール大会の優勝メンバーであるアルゼンチン代表MFエセキエル・パラシオスが、ライバル国のエースの復帰を推し、「こうした大きな大会には、最高の選手がいるべきだ。ネイマールはブラジルに多くを与えてきた歴史的選手であり、まだ十分に戦える」と主張。「多くのブラジル人も、彼にW杯へ行ってほしいと望んでいるはずだ」と語った。
そして『lance!』紙は、ブラジルの著名なスポーツジャーナリストでテレビ司会者でもあるチアゴ・レイフェルト氏の「ネイマールを招集すべきかどうかが議論になること自体、異常だ」と断言。「他国なら、こんな議論は起きない。ブラジル人だけが、今なおネイマールを疑い続けている。私は、彼が再びW杯でプレーする姿を見たい」と熱弁したと伝えている。
構成●THE DIGEST編集部
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