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庭の壁にする予定のブロックから「2億4000万年前の新種両生類」の化石

庭の壁にする予定のブロックから「2億4000万年前の新種両生類」の化石

※ 画像はイメージです/ Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

庭に積むはずだった石が、実は2億4000万年前の“タイムカプセル”だったとしたらどうでしょうか。

オーストラリアにて庭の擁壁(ようへき)に使う予定だった砂岩ブロックの中から、古代の両生類の化石が見つかったのです。

この化石はその後、豪ニューサウスウェールズ大学(UNSW)らの研究チームによって詳しく調べられ、新種の「アレナエルペトン・スピナトゥス(Arenaerpeton supinatus)」として正式に記載されました。

研究の詳細は2023年8月3日付で学術誌『Journal of Vertebrate Paleontology』に掲載されています。

目次

  • 庭の壁材から現れた「ほぼ全身」の古代両生類
  • 骨だけでなく「皮膚の輪郭」まで残っていた

庭の壁材から現れた「ほぼ全身」の古代両生類

発見の始まりは、1990年代のごく日常的な出来事でした。

引退した養鶏業者のミハイル・ミハイリディス氏は、庭に擁壁を作るため、ニューサウスウェールズ州キンカンバー近くの採石場から砂岩のブロックを入手しました。

ところが、その石を確認していたところ、表面に奇妙な模様があることに気づきます。

それは単なる岩の割れ目ではなく、背骨や四肢を持つ生き物の姿を思わせる、はっきりした痕跡でした。

この石は後にシドニーのオーストラリア博物館へ寄贈され、長い年月を経て詳しく調べられることになります。

【実際に見つかった化石の画像がこちら】

その結果、見つかったのは約2億4000万年前、三畳紀に生きていた「分椎目(ぶんついもく)」に属する新種だと分かりました。

分椎類は、恐竜が本格的に栄える前から存在していた絶滅両生類のグループです。

この新種は、現代のサンショウウオに少し似た姿をしていたと考えられますが、現生サンショウウオの直接の祖先と断定できるものではありません。

むしろ、頭は大きく、体はがっしりしており、口の中には鋭い歯が並んでいました。

研究者によると、口蓋(こうがい)には牙のような一対の歯もあり、現在のシドニー盆地にあたる地域の淡水河川で、古代魚などを狙っていた可能性があります。

骨だけでなく「皮膚の輪郭」まで残っていた

この化石が特に重要なのは、ただ新種だったからではありません。

保存状態が、非常に珍しかったからです。

アレナエルペトン・スピナトゥスの標本には、頭と胴体がつながったほぼ完全な骨格が残っていました。

さらに驚くべきことに、骨だけでなく、体の外形を示す軟組織の痕跡、つまり皮膚の輪郭まで保存されていたのです。

砂岩は足跡や骨の一部を保存することがありますが、全身に近い骨格や軟組織の輪郭まで残る例は多くありません。

そのため研究者たちは、この化石をニューサウスウェールズ州で過去30年に見つかった中でも特に重要な化石の一つと位置づけています。

アレナエルペトンの全長は、尾まで含めると約1.2メートルと推定されています。

【新種の両生類の復元イメージがこちら】

同時代の近縁種の多くが比較的小型だったことを考えると、かなり大きな存在です。

そしてこの「大きさ」は、分椎目の進化を考える上でも興味深い点です。

分椎目はその後も長く生き残り、アレナエルペトンから約1億2000万年後のオーストラリアにも、さらに巨大化した仲間が存在していました。

研究者たちは、体の大型化が、彼らの長期的な存続に関係していた可能性にも触れています。

庭の壁になるはずだった石は、危うくただの建材として積まれるところでした。

しかし、その中には、三畳紀の川を泳いでいた古代両生類の姿が、骨格だけでなく体の輪郭まで閉じ込められていました。

何気ない石の中にも、地球の歴史が眠っていることがあります。

アレナエルペトン・スピナトゥスは、庭先の偶然が、太古の生物の進化を知る手がかりへと変わった好例なのです。

参考文献

Mysterious Wall Stone Turned Out to Be an Unexpected Treasure
https://www.sciencealert.com/mysterious-wall-stone-turned-out-to-be-an-unexpected-treasure

Scientists name new species of giant amphibian found in retaining wall
https://www.unsw.edu.au/newsroom/news/2023/08/scientists-name-new-species-of-giant-amphibian-found-in-retainin

元論文

A new chigutisaurid (Brachyopoidea, Temnospondyli) with soft tissue preservation from the Triassic Sydney Basin, New South Wales, Australia
https://doi.org/10.1080/02724634.2023.2232829

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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