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岸井ゆきの&浅野忠信が涙、カンヌ国際映画祭にて「すべて真夜中の恋人たち」上映で4分間のスタンディングオーベーション

岸井ゆきの&浅野忠信が涙、カンヌ国際映画祭にて「すべて真夜中の恋人たち」上映で4分間のスタンディングオーベーション

「すべて真夜中の恋人たち」が第79回カンヌ国際映画祭にて公式上映
「すべて真夜中の恋人たち」が第79回カンヌ国際映画祭にて公式上映 / (C)Kazuko WAKAYAMA

岸井ゆきのが主演を務め、浅野忠信らが出演する映画「すべて真夜中の恋人たち」(2026年秋全国公開)が、第79回カンヌ国際映画祭にて、現地時間5月17日(日)に公式上映された。あわせて、岸井と浅野、監督・脚本を務める岨手由貴子監督が囲み取材にも応じた。

■川上未映子による初の恋愛小説を映画化

原作は、2008年「乳と卵」で芥川賞、2019年「夏物語」で毎日出版文化賞を受賞した川上未映子による初の恋愛小説「すべて真夜中の恋人たち」(講談社文庫)。2011年の発行以来、国内累計40万部を突破し、全米批評家協会賞小説部門に日本人初ノミネート、アメリカ「TIME」誌の「2022年の必読書100冊」にも選出されるなど、海外でも人気を博している。

主人公は、人との関わりを拒み孤独に生きてきたフリーの校閲者・入江冬子。ひょんなことから年上の物理教師・三束(みつつか)と出会い、交流を深めていく中で、自らの孤独や感情と向き合っていく恋愛物語。

監督と脚本を担ったのは、「あのこは貴族」(2021年)以来約5年ぶりの長編映画となる岨手監督。主人公・冬子役を岸井、三束役を浅野が務め、そのほか森田望智、深川麻衣、塩野瑛久らが名を連ね、語りとして松坂桃李が声のみ出演している。

現在開催されている第79回カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門に正式出品されている。

■約4分間にわたるスタンディングオベーション

公式上映に先駆け行われたフォトコールでは、この日のためにオーダーメイドで作られた黒いスーツに身を包んだ岸井、シックなスーツ姿の浅野に加え、背中に大胆なカットアウトが入ったアルマーニのドレスを着用した岨手監督が登場。海外の報道陣に囲まれ、笑顔を見せた。

直後に映画祭のメイン会場のひとつであるTHEATRE DEBUSSY(ドビュッシー劇場)にて実施された公式上映では、満席の客席から大きな拍手で出迎えられた3人。上映前の舞台あいさつで岨手監督は「初めてカンヌ国際映画祭に参加します。今日、ここで作品を観てもらえることが本当に本当に幸せです。よろしくお願いします」と端的にコメント。「もっと話していいのに」という司会に対し、「映画が長いのでコメントは短くしました」と岨手監督が返答し、会場は和やかな笑いに包まれた。

上映中は、大きな笑いと、感嘆にも似たため息が何度も漏れ聞こえ、上映が終了すると、劇場の中央に座る3人に向けて約4分間にわたる「ブラボー!」の声とスタンディングオベーションが沸き起こった。カンヌ映画祭への参加が初となる岸井は笑顔ながらも目に涙をため、そんな岸井を岨手監督が手繰り寄せ、熱い抱擁を交わした。また2階からは「ブラボー!」と大きな声が響き、浅野はガッツポーズで応えた。

■カンヌ初参加、岸井ゆきの「久しぶりに拍手をいただいてとてもうれしかった」

上映後には、日本メディア向けに囲み取材を実施。

ワールドプレミアをカンヌで迎えたことについて、岸井は「どんなふうに伝わるのかなと緊張していましたが、素直に映画を受け取ってくださっていてうれしかったですし、とにかくほっとしました」とコメント。

また、浅野は「僕の中で三束みつつかという役は未だぐるぐる回っているような、どこに向かっているのか分からない存在だったのですが、先ほど皆さんと一緒に鑑賞してようやくなにかに辿り着けた気がしました。オープニングで自然に涙が流れ、終わった後も涙してしまいました。とても感動しました」と言葉を紡いだ。

岨手監督は「三大映画祭に参加する人生になるとは思ってもみなかったので、選出の知らせを聞いたときは本当に驚いたのですが、今日ようやく『カンヌに来たんだ』と実感することができました。観客の皆さんと、そして隣にいる俳優部の皆さんと、全員立場関係なく一緒に映画を観ることが新鮮で、はじめは緊張していましたが、最後には皆と同じ目線で見ることができました」とそれぞれの言葉で喜びを語った。

今回が初めてのカンヌ参加となった岸井は、「演劇以外で拍手をいただくことがないので、久しぶりに拍手をいただいてとてもうれしかったです。また、劇中、冬子と三束がフランス料理のお店に行くんですが、ふたりとも料理名が読めないというシーンで笑ってくださったのはフランスでの上映ならではで、新鮮でした」とカンヌならではの反応を振り返った。

また、岨手監督も「私もひとり編集していて『ここはコミカルだな』と思っていたシーンがあったのですが、日本で関係者だけの試写をやったときにはまったくそんな反応がなかったんです。でも今日そこで笑いが起きて少し安心しました。カンヌの観客はスクリーンとコミュニケーションをとっているということも分かり、とても良い経験になりました」と語った。
浅野忠信、岸井ゆきの
浅野忠信、岸井ゆきの / (C)Kazuko WAKAYAMA


■岸井ゆきの&浅野忠信は岨手組へ初参加「これからもついていきたい」

過去にも数回カンヌへ参加経験がある浅野は「おそらく7~8回は来ています。街もある程度把握できているし、顔見知りの映画人の方々もいるので、ホッとするくらいです」とカンヌへの親しみを語った。

岨手組への初参加となった岸井と浅野。岨手監督の印象については、浅野が「撮影に入る前、三束という人物を自分なりに考えて用意していましたが、監督が考える三束のイメージに引っ張っていってもらうことが多々ありました。きちんと話をしてくれて、一緒に創り上げてくれました」と述べると、岸井も「私も同じです。もともと川上未映子先生の原作が大好きで、自分なりの確固たる冬子像があったのですが、映画と小説とでは違いが生じるので悩んでいた時、私の中の冬子と岨手監督の中の冬子、それぞれのイメージを掛け合わせて一緒にキャラクターを創り上げてくださいました。想いが強く、引っ張っていってくれる。芯の強い、闘う女性というイメージを感じました」と明かした。

岸井は、続けて「今日も公式上映に参加する前にとても緊張していたのですが、監督が『私たちはもう映画を完成させて、面白いと思っているものができたから今ここに立っているんだ』と励ましてくれまして。これからもついていきたいです」とうれしそうに裏話を明かすと、岨手監督は気恥ずかしそうに笑みを見せた。
上映後に拍手が鳴り響き熱気あふれる会場
上映後に拍手が鳴り響き熱気あふれる会場 / ※提供写真


■岨手由貴子監督「東京に居続けないと映画が撮れないというイメージは変えていきたい」

岨手監督は、今の日本映画界が抱える課題について問われると「私は現在金沢に住んでいますが、東京に居続けないと映画が撮れないというイメージは変えていきたいと思っています。地方でも、日本じゃなくても好きなところに住んで多様な経験をして、その経験を生かして豊かな映画を作っていけたら良いですよね。そんな1つのサンプルに、自分がなれていたらいいなと思っています」と語った。

また第79回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門は、20本中11本が女性監督作品であることにちなみ、女性監督の活躍について話が及ぶと「やっと男女比の過半数を超えた、という意識はなく、面白い映画が選ばれるのは自然なことだと思っているので、特に意識はしていませんでした。最近は日本でも女性の若手監督が非常に増えてきていますし、呉美保監督のように出産を経て復帰される方もいらっしゃり、子どもがいるいないやライフプランに関わらず、いろんな経験をした人が、それぞれの映画を持ち寄る映画界が私の理想です。私もやっと子どもたちが手を離れてきたので、もっといっぱい撮っていきたいなと思っています」と意気込みを語った。

原作者の川上は現在ブックツアーでオーストラリアに滞在中のため、カンヌに参加することが叶わなかったが、岨手監督は「今朝も先生から『頑張って。楽しんでね』と応援のメッセージをいただきました」と笑顔で報告。監督、キャスト、原作者まで、深い絆を育んだチームであることをアピールした。
「すべて真夜中の恋人たち」が第79回カンヌ国際映画祭にて公式上映
「すべて真夜中の恋人たち」が第79回カンヌ国際映画祭にて公式上映 / (C)Kazuko WAKAYAMA

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