
2024年9月にシンガーソングライターの美咲とボカロPのさすけにより結成されたバンド・ミーマイナー。結成1年で大型ロックフェスに出演を果たし、ソニー・ミュージックレーベルズへ所属が決定、 “次に来るバンド”として注目され2026年5月にはメジャー1stEP「部屋とガラクタと私」をリリース。ミーマイナーの音楽ができる裏側や、歌詞製作の過程を覗き見られる連載「ミーマイナーの 歌詞にしなかったこと」連載第9回は、リーダーのさすけがメジャーデビューを経て思うことについて綴ってくれた。
■僕らはメジャーデビューと引き換えに何かを失った。そして、何かを得た。
美咲がお休みということで、バトンタッチを受けたミーマイナーBa.リーダーさすけです。ミーマイナーが5月13日メジャーデビューしたということで、そのことについて今日は書いていこうと思う。ミーマイナーらしく、内容は暗いけど。
ミーマイナーの始まりは2019年の春。当時美咲が所属していたグループに自分が楽曲提供したことがきっかけだった。そこから度々曲を書いて欲しいと依頼を受け、そのうちライブSEや音周りのことをなんでも任されるようになり、バックバンドとして演奏したり、逆に自分がボカロPとしてリリースした曲のfeat.に美咲がボーカルとして入ったり、音楽的な交流が続いてきた。しかし、それから月日が流れ、お互いのグループは解散した。

■就職活動をしていた美咲から「バンドがやりたい」と
人生を賭けて中3で地元を離れて、上京までして加入したグループは、メンバーが次々脱退してあっけなく解散が決まった(美咲談)。そんな美咲は、もう自分には才能がなかったんだと、夢を諦めて就職活動をしていたらしい。
かくいう自分もバンドが解散してから、作曲家やボカロPなどを細々と続けていたものの、音楽は趣味のようなもので、もう潮時かな?と思いながら活動していた。
そんな時に美咲から連絡があった。就職してしまう前に、最後にやりたいことがある。自分の作りたい曲を作って歌いたい。求められることじゃなくて、やりたいことを。自分の生きた証を刻み込めるような、本物の音楽がしたい。「バンドがやりたい」と。
そこから2人で、客0人の状態で路上や公園でギターを弾き始めた。ただ、2人では路上はできるがライブハウスでのライブができないので、スカウトした何人かのギタリストやドラマーに自分で作ったフレーズをコピーしてもらい、ギャラを払いながらやっとライブハウスに立てるようになった。そして、2024年9月に正式に始動したのがミーマイナーというバンドだ。
そんなミーマイナーは、始動してすぐにSNSでバズった(バズったというほどのものでもないが、便宜的に)。そして、いろいろなレコード会社から声がかかり、毎週のように打ち合わせをした。スタジオに入る回数よりレコード会社で会議をする回数の方が多い月もあるほどだった。

■作りたい曲しか作らないけど、それを良いと思ってくれる仲間を探す旅は、大いにする価値がある
そんな中で、僕らは最終的にソニーミュージックレーベルズからメジャーデビューすることを決めた。前のバンドでもソニーに所属していたので、お世話になるのはこれで2回目だった。決め手は、僕らの"今現在の音楽"を一番信頼してくれていた点だった。“売れるためにこういう曲を作りなさい"というオファーは全て断り、“今のミーマイナーの魅力を広めたい"というオファーのみに応えようと思っていた。変わることより変わらないことの方が難しいこともある。“今のミーマイナー"を好きなファンのためにも、“今のミーマイナーのままでいい"と言ってくれる大人とだけ、仕事をすると決めていた。それが今のレーベルだった。
それでも結成からの1年間は無所属セルフプロデュース。あらゆる活動を大人の力を借りずにやってきた。
・作詞作曲、編曲、レコーディング
・ミックス、マスタリング
・CDジャケットデザイン
・MV、動画制作
・ライブブッキング
・グッズのデザイン、梱包、発送
その他全ての活動をスタッフ0人、メンバーだけでこなしてるバンドは5%にも満たないと思う。それぐらい僕らはインディペンデントな存在として、頼るものがない状態でスタートした。今でも、それが一番バンドらしくてかっこいいと思ってる。でも、ここからは多くの関係者を巻き込んだ活動にシフトしていくことになる。作りたい曲しか作らないけど、それを良いと思ってくれる仲間を探す旅は、大いにする価値があると思ったから。

■生きてくことは多分、失っていってしまうこと。
「生きてくことは多分、失っていってしまうこと。」
美咲の書いた"終わり"という曲のワンフレーズ。自分はこのフレーズがすごく気に入っていて、人生の真理だと思っている。詰まるところ、僕らはメジャーデビューと引き換えに何かを失った。そして、何かを得た。
客ゼロの公園や路上で美咲と趣味で始めたバンドは、これからきっと得体の知れない他人のような存在になる。新メンバーが加入して、事務所に所属して、たくさんのスタッフに囲まれながらテレビやラジオやフェスに出て、音楽を作る毎日。数年前には考えられなかった、あり得なかった、ありがたすぎる恵まれた環境。それと引き換えに、あの頃の僕らを見失う。
それでも、この7年間とこれからの変化の全てを、季節の移り変わりを愛おしむような懐の深さをもって見つめていたい。生きてくことは多分、失っていってしまうことなのだから。
さすけ


