最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
日本で「とんがりヘルメット」頭のミジンコを発見、”見えない侵入者”だった

日本で「とんがりヘルメット」頭のミジンコを発見、”見えない侵入者”だった

ヘルメット頭のミジンコを日本で発見 / Credit:牧野渡(東北大学)ら, Check List: the journal of biodiversity data(2026), CC BY 4.0

外来生物というと、ブラックバスやアメリカザリガニのような目立つ生き物を思い浮かべるかもしれません。

しかし今回、東北大学の研究チームの調査により、日本のダム湖から、顕微鏡サイズの“見えない侵入者”とも言える外来プランクトンが見つかりました。

なんと、頭がヘルメットのように反り返った北米原産ミジンコ Daphnia retrocurva を、愛知県の新豊根ダムで確認したのです。

この種が北米以外で見つかったのは、世界で初めてです。

研究の詳細は2026年4月28日付で学術誌『Check List: the journal of biodiversity data』に掲載されました。

目次

  • ヘルメット頭のミジンコ、日本で初めて発見される
  • ヘルメット頭のミジンコは、北米からの侵入者だった

ヘルメット頭のミジンコ、日本で初めて発見される

ミジンコ属(Daphnia)は、湖や池、ダム湖などにすむ小さな甲殻類です。

水中の植物プランクトンを食べる一方で、魚類や肉食性の節足動物に食べられるため、淡水生態系の食物網を支える重要な存在です。

いわばミジンコは、水の中の「食物連鎖の中継役」といえるでしょう。

そして近年、ダム湖の造成、船舶や漁業活動、放流、採水や調査活動などによって、本来は離れていた水域同士が、人間活動を通じてつながる機会が増えています。

ミジンコの仲間には、乾燥や低温に強い「休眠卵」をつくる種も多く、泥や水、魚類、鳥類、調査機材などに付着して長距離移動する可能性があります。

そんな中で、今回の発見は、水辺の変化を捉えるために行われてきた「河川水辺の国勢調査」から生じました。

研究チームは、2025年10月1日に愛知県北設楽郡豊根村の新豊根ダム湖、いわゆるみどり湖で採集された動物プランクトン試料を解析

水深62メートルの湖底付近から水面までプランクトンネットを引き上げ、その試料を顕微鏡で観察したところ、在来のミジンコとは明らかに異なる個体が見つかりました。

頭が反り返ったミジンコを発見 / Credit:牧野渡(東北大学)ら, Check List: the journal of biodiversity data(2026), CC BY 4.0

なんとそのミジンコは、頭部が前方から背側へ反り返るように伸びた奇妙な形をしていたのです。

まるで古代兵士の兜や、SF作品のヘルメットのようなシルエットです。

研究チームは、この特徴的な形態やDNA解析の結果から、このミジンコを北米原産の Daphnia retrocurva と同定しました。

これまで本種は、北米大陸北部からしか報告されていませんでした。

ヘルメット頭のミジンコは、北米からの侵入者だった

Daphnia retrocurva の最大の特徴は、やはり頭部の「ヘルメット状構造」です。

このヘルメット状構造は、捕食圧や水温などの条件に応じて、発達することが知られています。

つまり本種は、環境条件によって頭部の形が変わるミジンコなのです。

過去の研究では、こうした反り返ったヘルメット状構造が、無脊椎の捕食者に対する防御に関わることも示されています。

ただし、新豊根ダム湖で見つかった個体でも同じような季節変化が起きるのか、また日本在来の捕食者に対しても防御効果を持つのかは、まだ分かっていません。

これは今後の重要な研究課題です。

また、今回のDNA解析では、新豊根ダム湖の個体は北米の個体と非常に近く、調べた12個体すべてで同じ遺伝型が確認されました。

これは、少数の個体や休眠卵が比較的最近入り込み、そこから増えた可能性を示しています。

ただし、どのような経路で日本へ来たのかはまだ分かっていません。

新豊根ダムには北米原産のオオクチバスやブルーギルも生息していますが、Daphnia retrocurva がどう運ばれたのかは未解明です。

今回の発見が重要なのは、外来生物問題が魚や水草のような目立つ生物だけでなく、顕微鏡でしか見えない微小プランクトンにも広がっていることを示した点です。

このケースのように、もしかしたら、私たちが気づかないだけで、「見えない侵入者」はすでに日本のあちこちに存在するのかもしれません。

参考文献

北米原産「頭が反り返った」ミジンコを日本初確認 ―プランクトンでも外来生物の広がりを示唆 ―
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2026/05/press20260520-03-daphnia.html

元論文

First record of Daphnia retrocurva Forbes, 1882 (Crustacea, Cladocera, Daphniidae) outside its native North America (Shin Toyone Reservoir, Japan)
https://doi.org/10.15560/22.2.402

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

提供元

プロフィール画像

ナゾロジー

ナゾロジーはkusuguru株式会社が運営する科学情報サイトです。読者をワクワクさせ、科学好きな人を増やすことを理念に運営しています。 現在、世界はたくさんの便利なテクノロジーによって支えられています。しかし、その背景にある科学の原理や法則を知る機会はあまりありません。 身近に潜む科学現象からちょっと難しい最先端の研究まで、その原理や面白さを分かりやすく伝えられるようにニュースを発信していきます。

あなたにおすすめ