5月24日に開幕する今季2つ目のテニス四大大会「全仏オープン」を前に、賞金配分や待遇改善を巡る選手側と四大大会側の対立が、さらに表面化している。英紙『ガーディアン』や英公共放送『BBC』によれば、トップ選手たちは大会前に実施される公式記者会見を“15分”で切り上げる抗議行動を計画しているという。
対象となるのは、金曜日と土曜日に予定されている開幕前会見。選手たちは開始から15分が経過した時点で退席する方針とされ、この「15」という数字には、四大大会が大会収益のうち賞金に充てている割合が平均15%前後にとどまっていることへの抗議の意味が込められている。さらに、一部選手は大会の主要放送パートナーである『TNTスポーツ』や『ユーロスポーツ』との追加インタビューも拒否する構えを見せている。
報道によれば、選手側は大会規定を精査した上で、試合後の短いフラッシュインタビューなど最低限の義務を果たせば制裁対象にはならないと判断。オフコート活動を必要最小限に抑え、ルールの範囲内で抗議の姿勢を示そうとしているようだ。ただし、この対応が24日開幕の本戦期間中も継続されるかについては、現時点では明らかになっていない。
以前から当サイトでも報じてきた通り、選手たちが問題視しているのは賞金額そのものではなく、「大会収益に対して、どれだけ選手へ還元されているか」という分配率だ。
今年の全仏オープンの賞金総額は6170万ユーロ(約114億円)で前年比9.5%増。しかし、昨年の大会収益が前年比14%増の3億9500万ユーロ(約729億円)に達した一方、賞金の増加率は5.4%にとどまり、選手側は「収益拡大に見合う還元が行なわれていない」と反発している。選手たちは、ATP(男子プロテニス協会)およびWTA(女子テニス協会)ツアーと同水準となる「収益の22%」を賞金として配分するよう求めているほか、年金、医療、産休制度など福利厚生の充実、大会日程など重要事項への発言権拡大も要求している。
この動きを主導しているのは、元WTA最高経営責任者のラリー・スコット氏。金曜日には、フランス・テニス連盟(FFT)のジル・モレトン会長、さらに大会ディレクターのアメリ・モーレスモ氏との会談が予定されている。また、今大会期間中にはウインブルドンや全米オープン関係者との協議も行なわれる見通しだ。
一方、FFTは声明を発表し、今回の抗議行動について次のようにコメントしている。
「メディア、放送局、FFT、そして毎年ローランギャロス(全仏)を大きな熱意をもって見守っているテニス界全体など、大会に関わるすべての関係者に影響を及ぼす今回の決定を残念に思います」
「FFTは大会成功に対する選手たちの貢献の重要性を認識しており、今後も彼らとの緊密な関係を維持したいと考えています」
今月の「イタリア国際」では、アリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)やココ・ガウフ(アメリカ)が、将来的な四大大会ボイコットの可能性にも言及。選手側の不満は、単なる賞金問題を超え、テニス界全体の構造改革要求へと発展しつつある。全仏開幕を前に、その緊張感は一段と高まっている。
構成●スマッシュ編集部
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