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古参が「ガンダム50周年ムービー」に覚えた違和感? 「あの異色作」を当時どう見たか

古参が「ガンダム50周年ムービー」に覚えた違和感? 「あの異色作」を当時どう見たか


「ガンダム50周年」プロジェクト始動にあたり公開された「プロローグムービー」を掲げる短編アニメ『少年とガンダム』より (C)サンライズ

【画像4枚】生首、スケスケ…こちら注目を集めた『Gガン』の変わり種アイテムです

途中から化けた『Gガン』のナゼ

「ガンダム50周年記念プロジェクト」の始動にあたり、短編アニメ「少年とガンダム」が公開され、大きな反響を呼んでいます。が、そのなかにある「『機動武闘伝Gガンダム』に面食らう親となった初代ガンダム世代、子どもは大喜び」というひとコマには、違和感を覚えた人も少なくなかったかもしれません。

『Gガンダム』は、「宇宙世紀」という硬派なミリタリーSFの世界観を捨て、世界各国を代表する「モビルファイター(他作品のモビルスーツに相当)」が格闘技で覇を競い合う「ガンダムファイト」という奇抜な設定を採用したことで、誰にとっても“コペルニクス的転回”だったと語られがちです。

 しかし、初代『ガンダム』とともに歳を重ねたリアルタイム世代の一部は、『Gガンダム』の今川泰宏監督の作風に親しんでいました。TVアニメ『ミスター味っ子』(1987年放送開始)やOVA『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』(1992年リリース開始)で知られた異端児が、次は何を見せてくれるのか――面食らうどころか、破天荒への期待に胸を躍らせていた根強いファンは確実に存在していたのです。

 とはいえ、そのような一握りの今川ファンでさえ、初期展開には肩透かしを食らった感がありました。それ以外のファンについては、今川監督本人が「従来からのガンダムファンからは非難囂々だった」と振り返っており、賛否両論というより、“否”一色に近い空気だったようです。

 序盤は、主人公「ドモン・カッシュ」が世界各国を巡り、各国代表のモビルファイターと戦っていく構成でした。各国のガンダムデザインこそ奇抜でしたが、1話完結型の対決フォーマットにとどまっています。

 それまでの今川監督というと、すでに“型破り”で知られており、『ミスター味っ子』では、原作の料理マンガを「グルメバトル」へと変貌させ、試食した審査員「味皇」が美味しさのあまり巨大化して大阪城を破壊し、目から光線を放ちます。

 さらに『ジャイアントロボ』では、巨大ロボット同士の重厚な戦闘だけでなく、それを凌駕する熱量で、生身の人間による超常アクションも描きました。約5年半にわたって全7話を送り出した本シリーズは、いまなおロボットアニメの金字塔とも呼ばれています。そうした今川カラーを知るマニアにとって、序盤の『Gガンダム』は物足りなさが強かったのです。

 もっとも不本意だったのは、今川監督本人だったのかもしれません。「ガンダムとガンダムが殴り合う」プロレス路線はスポンサー側の意向だったとの証言もあり、さらに監督自身、「今川カラーは必要ない」とプロデューサーから言われたと振り返っています。


「空気」をガラリと変えた「東方不敗マスター・アジア」(左上)。「機動武闘伝Gガンダム 石破天驚 Blu-ray Box」ビジュアル (バンダイナムコフィルムワークス)

アレもコレも一気に吹き飛ばした「王者の風」

 そのような空気が一気に吹き飛んだとされるのが、第12話「その名は東方不敗!破壊された新宿」以降の展開です。

 ドモンの武術の師である「東方不敗マスター・アジア」の登場は、作品世界を一変させます。モビルスーツを素手で引き裂き、布一本で銃弾を受け止める超人描写は、『ジャイアントロボ』で見せた“ロボットアニメというジャンルそのものの突破”を再び感じさせるものでした。

 さらに東方不敗の登場によって、作品は「倒すべき敵」と「葛藤の対象」を同時に獲得します。悪魔の兵器「デビルガンダム」と、人間を蝕む「DG細胞」の恐怖、そして最も敬愛する師との思想的決裂や骨肉の争いが、作品を濃密な愛憎劇へと急加速させていったのです。

「人間がロボットを倒す」一線を超えたことで、作品は圧倒的なテンションを爆発させていきます。香港アクション映画へのオマージュや広東語による挿入歌の採用など、作品全体が“今川カラー”へと塗り替えられていったのです。

 その迫力によって、従来の「ガンダム」ファンからも「これもアリ」と受け入れられ、後の「ガンダム」シリーズ全体の幅や自由度も大きく広がっていったといえるでしょう。

 そうした『Gガンダム』の大成功は、序盤の制約で今川監督のストレスが極限まで蓄積され、“爆発力”が最大限に高まった結果なのかもしれません。

配信元: マグミクス

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