
俳優の戸田恵梨香が5月23日、静岡・清水文化会館マリナートで開催の「第1回しずおか映画祭」に登場。映画「駆込み女と駆出し男」上映後に行われたトークイベントで、2025年12月8日に亡くなった原田眞人監督への思いや自身の人生観、俳優としての覚悟を語った。
■原田眞人監督に感謝を込めて「駆込み女と駆出し男」を追悼上映
“旅する映画祭”をテーマに、磯村勇斗が企画・プロデュースを務める本映画祭。第二部では、原田監督への感謝を込めて「駆込み女と駆出し男」を追悼上映した。
大歓声で迎えられた戸田は、「こんなたくさんの声援を頂いて、本当にうれしく思います。こんなにリアクションしてくださるお客さまってなかなか…」と笑顔を見せ、磯村も「静岡の皆さんは本当に温かいんですよ」と応じ、会場を和ませた。
実は、この日が初対面だったという戸田と磯村。戸田は「磯村さんがこのようなことをしていらっしゃるとは思っていなくて。本当にこれからの映画界を担ってくださる、たくましい俳優さんだなと思っています。頑張ってください」と映画祭へエールを送る。
磯村も「戸田さんにそう言っていただいて、背中を押していただいている気分です」と感激した様子を見せた。
磯村は、戸田をゲストに迎えた理由について「僕は『デスノート』や『ライアーゲーム』の世代。役者を目指す前からずっと見ていた方なんです」と明かし、「原田眞人監督作品に出演されているということで、ぜひ第一回映画祭に来ていただきたいと思い、お声がけさせていただきました」と熱い思いを語った。
一方、戸田は磯村について「『不適切にもほどがある!』(2024年、TBS系)のムッチ先輩の印象が最新だった」と笑いを誘いつつ、「独特な空気感を持っていらっしゃる方。すごく引きつけられる方なので、これからお芝居でご一緒できる機会があったらいいなと思いました」と語った。
■「原田さんに認められたい」戸田恵梨香が語った深い喪失感
トークでは、静岡・沼津出身の原田監督への思いも語られた。先日行われたお別れ会にも参列したという戸田は、「自分の心の支えというか、お芝居をしていく上で、原田さんに認められたい、褒めてもらいたいという気持ちがずっとありました」と回顧。「すごく大切なものを失ってしまった喪失感が大きいです。今回こういう形で原田さんを追悼できることが本当にうれしいです」と胸の内を明かした。
映画「駆込み女と駆出し男」については、「原田さんの熱量が本当にすごくて、“絶対にこの人と仕事がしたい”と思いました」と振り返り、「脚本以上に監督自身に魅了されました」とコメント。さらに、「原田さんは、全ての登場人物に愛情を注いでいる監督でした。だから多くの役者さんに愛されたんだと思います」と語った。
また、Netflixシリーズ「地獄に堕ちるわよ」で細木数子役を務めた際のエピソードも展開。磯村は「戸田さんがどのように演じるのか本当に楽しみだった」と振り返り、「時代ごとに表現を変え、晩年のシーンではオーラや貫禄がまるで違った。本当にすごい役者さんだと思いました」と絶賛。戸田も「どうしたもんだろうと思いながら、一生懸命なりきりました」と笑顔を見せた。

■「クリント・イーストウッドのようになりたい」俳優としての覚悟を告白
話題は、映画業界における女性の働き方についても展開。戸田は、出産を経て仕事への向き合い方が変化したことを率直に語り、「女性が諦めることなく働き続けられる環境になってほしい」とコメント。映画業界専用のベビーシッター制度など、現場環境の変化にも触れながら「一人一人が認められ、光を見つめていける時代になってきたのはうれしいこと」と語る。
さらに、自身の人生観について問われると「20代、30代は目標に向かって突き進んできましたが、子どもを産んでから、自分の人生の一区切りを感じる瞬間が増えました」と吐露。「これから40代をどう生きていこうか、もう一度考えたい」と静かに語った。
その言葉を受け、磯村が「戸田さんの言葉にはブレない芯がある」と投げかけると、戸田は自身の死生観についても告白。「阪神・淡路大震災を経験し、“人はこんなにも簡単にいなくなってしまうんだ”ということを知りました」と語り、「だからこそ“生きてほしい”“好きだ”という気持ちが強いのかもしれない。そこから“諦めたくない”という熱が生まれる」と、自身の根底にある思いを明かした。
そして、「クリント・イーストウッドのように、年齢を重ねながら作品を作り続ける俳優になりたい」と将来の夢を語り、「80代の自分だからできる作品をやっていきたい。死ぬまでこの仕事を続けたい」と力強く宣言。真摯な言葉の数々に、磯村も終始感銘を受けている様子だった。
イベントの最後、戸田は「駆込み女と駆出し男」について「本当に原田さんの愛情がたっぷり詰まった作品です。一人一人の登場人物がどうしたって好きになってしまう」と作品への思いを語り、「この作品が、皆さんの心にそっと寄り添ってくれるものになったらうれしいです」と観客へメッセージを送った。

