
先日、「盛れ!ミ・アモーレ」のMV再生回数が1000万回を突破したハロー!プロジェクトのJuice=Juice。盛れミ大旋風の勢いそのままに、5月26日(火)、27日(水)には神奈川・ぴあアリーナMMでの2Days公演に突入。その2日目の公演はHuluにて生配信される。今回の大バズりを受けて、歌唱・ダンス・表現・ビジュアルの四拍子が揃ったハイパフォーマンス集団と脚光を浴び、盛れミ新規が大量に増加している。そんな人たちにもっとJuice=Juiceを好きになってもらうため、歌にこだわるグループの成り立ちと魅力、歌姫・段原瑠々をフィーチャーして紹介したい。
■“歌えるアイドル”の最前線!結成から受け継ぐ歌唱へのこだわり
段原瑠々(25)、井上玲音(24)、工藤由愛(21)、松永里愛(22)、有澤一華(22)、入江里咲(20)、江端妃咲(19)、石山咲良(22)、遠藤彩加里(18)、川島美楓(18)、林仁愛(14)の11人で活動するJuice=Juice。
ハイキックの“シャッターチャンス”振り付けもさることながら、「盛れ!ミ・アモーレ」の情熱的なパフォーマンスの中でもっとも注目されたのが、やはり歌のうまさだ。ミュージシャンであるつんく♂プロデュースから始まったハロプロは、アイドルというよりダンス&ボーカルグループ、歌手集団としての側面がかなり強い。それでもメンバーの卒業・加入で新陳代謝を繰り返していくため、時期によっては波もある。その中にあってJuice=Juiceは、2013年の結成から現在までつねに高いパフォーマンスレベルを維持してきたグループだ。
結成時のメンバーは、宮崎由加、宮本佳林、高木紗友希、金澤朋子、植村あかり、大塚愛菜(メジャーデビュー前に脱退)の6人。今振り返れば、「初期メンが強すぎる」と言いたくなるほどの布陣だ。
新人グループとは言え、宮崎はアップフロント主催の音楽オーディションで奨励賞を受賞して結成時に合流。他の5人はハロプロ研修生としてレッスンを積んできたメンバーだ。特に宮本は、実力・人気ともに抜群ながら何度も昇格オーディションに落選していた存在。当時、「なぜ宮本をモーニング娘。に加入させなかったのか?」というファンの声に、つんく♂はTwitter(現X)で「だってJuice=Juiceが組めなくなるやん」と率直に答えている。このエピソードはハロプロファンには有名な話だ。
また、金澤は「DAM★とも カラオケコンテスト」で最優秀賞を受賞して研修生入り。特待生扱いだったとも言われ、当時から歌唱力は頭一つ抜けていた。地力が強かった高木もデビュー後に一気に覚醒し、2022年2月放送のハロプロメンバー総出演「Love music」(フジテレビ系)では、メンバー投票による「一番歌がうまいメンバー」アンケートでモーニング娘。の小田さくらを抑えて1位に選ばれるまでになった。しかも、メインボーカル格だけではない。宮崎、植村も実力を上げ、初期メンバーで固定された4年間は、5人時代の℃-uteのような層の厚さだった。
そんな始まりであるからか、あとの加入メンバーも歌には強いこだわりを見せている。現メンバーの石山、遠藤はWEBザテレビジョンのインタビュー(2022年11月26日)にて、個人でボイストレーナーの教室に通っていることを明かしている。また、宮本もグループ時代からの歌唱力向上の意識を語っている(同2023年11月27日)。Juice=Juiceは昔から、「歌がうまい人が一人いるグループ」ではなく、「全員が歌に貪欲なグループ」なのだ。
■「あの歌姫は誰!?」盛れミ旋風で大注目のリーダー・段原瑠々
そんなJuice=Juiceの中で、今回の盛れミ旋風によって特に見つかったのがリーダー・段原だ。音楽番組はもちろん、バラエティー番組でも歌を披露したことで、一気に幅広い層にその存在が知れわたった。SNSでも「あの歌姫は誰!?」「生歌であれはヤバい」「フェイクが気持ち良すぎる」といった反応が相次ぎ、段原を入口にJuice=Juiceへ興味を持った新規ファンもかなり増えている印象だ。
段原は小学一年生の頃から名門・アクターズスクール広島でレッスンを積み、2013年のモーニング娘。12期オーディション落選を機に、ハロプロ研修生入りを選んでいる。翌年の「研修生発表会」ですぐにベストパフォーマンス賞を受賞し、「とんでもない新人がいる」と当時のハロヲタ界隈をざわつかせた。
ただ、そこからすぐ昇格できなかったのが段原の物語でもある。同期や後輩が次々にデビューしていく中、期待されながらも長く研修生時代を過ごし、2017年、二度目のベストパフォーマンス賞の受賞を経て、ようやくJuice=Juiceへの加入が決定した。
昇格できなかった4年間は苦しかったに違いないが、その間にはBerryz工房、℃-uteのコンサート帯同も経験し、歌のうまい12歳だった段原は、ハロプロらしいリズムと歌い方ができる16歳になっていた。
■“天性”だけじゃない、段原瑠々の歌へのひたむきな努力
少しハスキーで切なさのある低音、一気に抜けていく高音、ソウルフルな歌い回し。そして、感情を乗せた歌声がとにかく魅力的で、段原のソロパートは空気が変わる雰囲気だ。さらに、フェイクでもピッチがブレない技術と圧倒的な声量。才能の塊のような歌唱力だが、じつは努力と研鑽の賜物だというのは、2017年11月の「ハロステ#245」で見ることができる。
加入してすぐの16歳の段原が、ボイストレーナーの菅井秀憲先生にレッスンを受けている貴重な映像だ。おそらく“腹から声を出せ”と習ったと思う今までの歌唱法と真逆のアプローチに困惑しながらも、その先でできるという新しい表現を身に付けるために食らいついている。
ちなみにハロプロファンが大好きな菅井先生は鬼教官で有名だが、Juice=Juiceのメンバーはそんな菅井先生が好きなようで、前述の宮本が個人で通っていたというのが菅井先生の教室。それに触発されて、植村なども自ら指導をお願いしたらしい(同2022年11月26日)。こういう「もっとうまくなりたい」という空気感も、Juice=Juiceらしさの一つ。アイドルではなく、歌手としてしっかり育てようという姿勢も、たびたび厳しい声を向けながらもハロプロファンがアップフロントを好きでいる理由の一つだろう。
ハロプロ研修生への加入時、ベストパフォーマンス賞受賞の瞬間、Juice=Juice加入時の模様も、YouTubeチャンネルの「ハロプロ研修生」「アプカミ」「ハロ!ステ」でそれぞれ見ることができる。この頃から段原を見ているファンにとっては、立派なリーダーとなった今の姿はかなり感慨深いものがあるはずだ。
また、長い手足を活かしたダイナミックなダンスと鋭い視線で強い存在感を放つ一方、出身の広島弁が出ることもある。そのギャップも段原の大きな魅力だ。リーダー就任後はメンバーを後ろから支えるような包容力も見えるようになり、今のJuice=Juiceの空気感を作っている存在の一人だ。
■圧倒的な歌姫がいながら、実は総合力が武器のJuice=Juice
この段原を筆頭に、Juice=Juiceは全員が激しいダンスをしながら生で歌ってみせるのがライブでの醍醐味。実力主義のハロプロは歌割りが偏ることが当たり前にあるが、Juice=Juiceは段原だけに偏らず、「盛れ!ミ・アモーレ」も全員がほぼ均等に歌割りを持っている。
さらに、井上のボイスパーカッション、小学4年生のときから習っているという有澤のバイオリンは楽曲にも取り入れられ、ピアノの段原、クラシックバレエの石山など、グループの音楽的才能も目立つ。単なる“歌うまグループ”ではなく、それぞれの個性や特技まで武器になっているのが強いところだ。
圧倒的なスキルでアイドルシーンに躍り出たJuice=Juice。スキルよりもかわいいや親しみやすさ――それはそれでアイドルの魅力だが、ハロプロとハロプロファンは、ダンス&ボーカルという成り立ちを受け、ずっとそこにこだわってきたような気がする。
その代表格として、今のJuice=Juiceには鈴木愛理がエースにいた元祖ハイパフォーマンスグループの℃-ute、高橋愛・田中れいなのツートップでハイレベルな楽曲表現を見せたモーニング娘。のプラチナ期を合わせたような無類の強さを感じ得るところだ。
■これは予習しておきたい、千秋楽で期待の鉄板曲
Zeppやホール会場を中心に巡ってきたJuice=Juice、13年目の春ツアー「LIVE TOUR 2026 UP TO 11」は、あとは千秋楽の5月26日(火)、27日(水)のぴあアリーナMM公演を残すのみ。
セットリストは特別仕様になると思うので「盛れミ」以外、これは絶対と言える曲はないが、ライブではやはり知っている曲が来るとアガるもの。「四の五の言わず颯と別れてあげた」「BLOODY BULLET」「Fiesta! Fiesta!」「『ひとりで生きられそう』ってそれってねえ、褒めているの?」あたりは予習しておいて損はない。
「四の五の言わず~」は「盛れミ」との両A面シングルで、しっとり聴かせるオシャレな曲。「盛れミ」よりこちらのほうが好きというファンも多い楽曲だ。「BLOODY BULLET」は音源化されていないライブオンリーの人気曲で、リズム感が気持ちいいハロプロらしいポップス。
「Fiesta! Fiesta!」はJuice=Juiceの名刺代わりと言われる一曲で、「盛れミ」にハマったなら絶対これもハマる情熱のラテンポップス。そして、「盛れミ」と並ぶ“ご新規ホイホイ”と名高い「ひとそれ」。いずれもYouTubeのJuice=Juice公式チャンネルでMVやライブ映像が公開されているので、コールにも入りたいという人はそれも含めて予習しておくといい。
今回はリーダーの段原を中心に取り上げたが、グループの歴史、メンバーのことを知ると愛着は一段と湧いてくるというもの。機会があればまたほかのメンバーを掘り下げていきたい。
なお、ぴあアリーナMM公演は平日にもかかわらずチケットは両日即ソールドアウトに。なんとか観たいという方は、大スクリーンで観られる映画館でのライブビューイングと、家でじっくり観られるHuluの生配信(27日公演のみ)というのもオススメの選択だ。
◆文=鈴木康道

