女子テニス界で片手バックハンドを武器に活躍してきた数少ない若手トップ選手の一人、ディアーヌ・パリー(フランス/元世界ランキング48位/現92位)。ツアー未勝利ながら、その独創的なプレースタイルで注目を集める23歳だ。
しかしここ数カ月、彼女の試合を観たファンの中には、大きな戸惑いを覚えた人もいるかもしれない。というのも、現在はリターン時に両手バックハンドを取り入れ、ラリー中も状況に応じて片手と両手を使い分けるという、ある種“秩序ある混沌”とも言えるスタイルを見せているからだ。
事実、パリーは前週の「ストラスブール国際」(フランス・ストラスブール/クレーコート/WTA500)でも、ストローク戦で片手バックのトップスピンとスライスに加え、時折両手バックを交えていた。そんな大胆な変化に踏み切った経緯について、現在母国で開催中の四大大会「全仏オープン」(クレー)の開幕前記者会見で彼女自らが説明している。
「変化の一番の目的は、リターンの改善だった。これまで私はスライスで返球することが多かったけど、片手バックのグリップチェンジをしながらだと、返球への準備をする時間が足りなかった。その点には満足できていなかったし、実際の試合でも自分が望むようにポイントを支配できていなかった」
「それに片手バックだと、リターン時のパワーがどうしても弱くなってしまう。特に強いサービスを打つ選手相手だと、それが顕著になる。一方で両手バックなら、ボールにしっかりと力を伝えられて、より速い球で返球できるようになる。ラリーの主導権もより早くにぎれそうな感覚があるから、私のテニスに非常に役立つと思う」
元々パリーは両手バックを使っていたが、「12歳くらいの時に片手バックに変えた」という。その当時は「全体的にバックハンドの打ち方を変えなければならなかった」ため苦労は多かったが、今回は「特定の状況での打ち方を変える」だけに過ぎず、そこまで難しいことだとは思っていないと明かす。
現状片手バックか両手バックのどちらを使うかは、「明確なルールはなく、その時のフィーリングや、どんなボールが来たかを見て決めている」とのこと。まだ改善点は多いものの、「今は数週間前や1カ月前よりもずっと快適にプレーできているし、確実に良い方向へ進んでいると思う」と手応えを感じている様子だ。
パリーの持ち味とも言える繊細な感覚は、今回のプレースタイル変更にも生かされているようだ。片手バックハンドという、美しくもロマンを感じさせるショットが、現代テニスにおいては弱点にもなり得る――その現実を受け止めた上での決断だった。これから彼女のテニスがどのような進化を遂げていくのか、注目が集まる。
文●中村光佑
【画像】片手バックと両手バックを使い分けるパリーのプレー!
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