最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
「彼女は素晴らしい馬」GⅠ初勝利の今村聖奈が語ったジュウリョクピエロの真価 直線7馬身差を飲み込んでオークス制覇

「彼女は素晴らしい馬」GⅠ初勝利の今村聖奈が語ったジュウリョクピエロの真価 直線7馬身差を飲み込んでオークス制覇

5月24日(日)、牝馬クラシックの第2戦となるオークス(GⅠ、東京・芝2400m)で行なわれ、後方から馬群を縫って追い込んだ単勝5番人気のジュウリョクピエロ(牝3歳/栗東・寺島良厩舎)が10頭あまりを差し切って優勝。重賞初制覇をGⅠで飾った。寺島調教師と手綱をとった今村聖奈騎手もGⅠレースは初勝利で、なかでも今村騎手は女性騎手としてクラシック初騎乗となる本レースを優勝で飾るという日本競馬の歴史に残る偉業を成し遂げた。走破タイムは2分25秒6(良馬場)。
  クビ差の2着には先行した3番人気のドリームコア(牝3歳/美浦・大竹正博厩舎)が入り、さらにクビ差で2番人気のラフターラインズ(牝3歳/美浦・小笠倫弘厩舎)が食い込んだ。一方、1番人気に推された桜花賞馬スターアニス(牝3歳/栗東・高野友和厩舎)は末脚を失くして12着に大敗。また4番人気のエンネ(牝3歳/栗東・吉岡辰也厩舎)と6番人気のアランカール(牝3歳/栗東・斉藤崇史厩舎)は追い込み切れず、前者は7着、後者は8着にとどまった。

 直線の半ばを過ぎて、先行馬は先を争い、控えた馬はそれを捉えんと襲い掛かり、ゴール前は数頭が横に広がっての激しい追い比べとなったが、その激闘を制したのはデビュー5年目の女性ジョッキーがエスコートした、父譲りの爆発的な末脚を持ち、また狂気の血を孕むオルフェーヴル産駒だった。

 パドックを周回するジュウリョクピエロは危ない兆候を身に纏っていた。寺島調教師によると、「装鞍所までは思ったよりも落ち着いていましたし、輸送も含めて雰囲気よくいけたのですが、パドックのたくさんのお客様の前では途中から発汗も多くなり、気合いもかなり乗っていて、正直どうなるのかなという感じはしました」という状態。常に世話しなくチャカつき、ゼッケンの下には、汗がこすれてできた白い泡がべっとりと付く有様で、かなりナーバスになり、同時にエキサイトしている様子が誰の目にも見て取れた。

 それでも返し馬と待機所でのクーリングの甲斐あってかいくらか落ち着きを取り戻したジュウリョクピエロは、課題だったゲートを標準的な速さで出てレースは始まった。

 おそらくジュウリョクピエロは今村騎手が思い描いたとおりの走りを見せたのであろう。スタート後は流れに任せて後方に位置すると、外から出たダミアン・レーン騎手のラフターラインズを右手前に見ながら、しっかりと折り合わせてそれを追走。1000mの通過が62秒2というスローペースを嫌い、向正面でリアライズルミナス(牝3歳/栗東・橋口慎介厩舎)が馬群の外を通って上がっていったときも動じず、後方の14番手付近をキープして最終コーナーを回った。

 そして直線。内ラチ沿いの馬場が荒れていたこともあって馬群が横にばらけるなか、ラフターラインズが外へ進路を取るのを目にしながら、ジュウリョクピエロはやや内寄りに進路を取る。そして直線の半ばでリアライズルミナスが先頭に躍り出たタイミングでジュウリョクピエロも内目のスペースを突いて一気にスパートした。すると溜めに溜め込んだパワーが爆発。先頭とはまだ7~8馬身の差があったが、一完歩ごとに前との差を詰めると、熾烈な叩き合いを繰り広げるドリームコア、ラフターラインズらの争いに加わり、最後のひと伸びでその2頭を交わして先頭でゴール。今村騎手は高く左手を突き上げた。
 「前半の入りでムキになるところはありましたが、途中からはリズム良く走ってくれました。無理して、意識して外々と考えていると、東京は直線が長いと思って、いろいろな方々が教えてくださったおかげもあり、落ち着いて乗れたと思います。彼女は素晴らしい馬です。私が乗っていても、ついて来いと、男気があります」と、今村騎手。

 直線へ向いても慌てて追い始めることはなく、十分に力を溜めて、他馬よりワンテンポおいてから追い出した判断には、クラシック初騎乗とは思えない冷静さがあった。馬群がばらける展開に恵まれた面があるにしろ、今村騎手の騎乗は歴史的快挙に相応しい素晴らしさだった。そして、メンタルに課題を抱えるジュウリョクピエロを戴冠にまで導いたスタッフの尽力、今村騎手を起用し続けた近藤健介オーナーの決断にも賛辞を贈りたい。
 
 ジュウリョクピエロは凱旋門賞(GⅠ)にも出走登録するという話も伝わっているが、詳細はこれからの判断となる模様。芝に路線変更して3戦目で一気に頂点まで駆け上がった女王の今後から目が離せなくなった。

 レースをご覧になれば分かるとおり、ゴール前は大激戦、大混戦と言っていい状況であり、結果として6着のレイクラシック(牝3歳/栗東・新谷功一厩舎)までが0秒1差以内に収まっており、着順はもはや「運」の領域によるぐらいの僅かな差しかない。ドリームコアは道中、やや掛かり気味だったのが最後の伸びに影響したのかもしれず、またラフターラインズは直線で外へ進路をとった微小なロスが響いたとも考えられる。

 そんななかでも、目を見張るレースを披露したのが4着のリアライズルミナスだ。レースをスローと読んだ津村明秀騎手は向正面で後方から馬群の外を通って一気に2番手まで位置を上げた。そして直線ではいったん完全に抜け出し、このまま押し切れるのではないかと思わせるほどの脚勢を見せた。津村騎手、渾身の好騎乗を称えるとともに、リアライズルミナスの今後についても期待が持てるレースとなった。

 戦前からファンのあいだで距離適性の問題が侃侃諤諤の議論を巻き起こしていたスターアニスだが、不安を指摘する声のとおり、直線で失速して12着に大敗した。松山弘平騎手は、「距離は大丈夫だと思っていましたし、厩舎もそこに向け、いろいろ工夫をして距離が持つように調整してくれていましたが、それをレースで出せず申し訳ないです」とコメント。結論として、やはり血統の壁は超えられなかったということだろう。

 また、鞍上を武豊騎手にスイッチして3戦目となったアランカールも、10番手付近から追い込み切れず8着どまり。「最後の直線は瞬発力の差が出た気がします」と武騎手がコメントしているとおり、中団に位置していながら上位3頭ほどの切れ味が使えなかったのが敗因で、2歳時に得た評価が高すぎたか、もしくはその後に成長が見られなかったのかもしれない。
<了>

取材・文●三好達彦

【動画】歴史が動いた!JRA女性騎手初のクラシック制覇の瞬間
【画像】オークスでプレゼンターを務めた倉科カナさん、3点の写真と2点のムービー公開

【画像】長澤まさみ、見上愛、松本まりか、池田エライザ、山本美月...全国の競馬場を盛り上げた“女優”大特集!
配信元: THE DIGEST

あなたにおすすめ