テニス四大大会「全仏オープン」は現地5月25日に男子シングルス1回戦が行なわれ、今季限りでの現役引退を表明している元世界ランキング3位の41歳スタン・ワウリンカ(スイス/現113位)が登場。ラッキールーザー(欠場者に代わり予選敗者が本戦に繰り上がる措置)で出場した25歳イェスパー・デヨング(オランダ/同106位)と対戦したが、3-6、6-3、3-6、4-6で敗れ、ローランギャロス(全仏)での最後の戦いを終えた。
同大会で3番目に大きい「コート・シモーヌ・マチュー」で行なわれたこの試合は満員御礼となり、四大大会3勝を誇るレジェンドが放つ数々のウイナーにはその都度、熱狂的な拍手が送られた。試合後、ワウリンカは目前のパリのファンが注いでくれた“観客からの愛”こそが、これほどまでに長く現役を続けてこられた原動力になったと語った。
「素晴らしい雰囲気だった。これほどのサポートと愛に包まれながらここでの戦いを終えられるなんて、自分が期待していた以上だったし、自分が成し遂げてきたこと以上の価値がある。これこそ、私がこれほど長くプレーを続けてきた理由そのものだ」
そう語るのも無理はない。ワウリンカは2014年にフランス・リールで開催された「デビスカップ」(男子国別対抗戦)で大車輪の活躍を見せて母国スイスを優勝に導き、15年の全仏オープン決勝ではノバク・ジョコビッチ(セルビア/現4位)を破って2度目の四大大会優勝を経験。17年の全仏でも準優勝を飾り、パリのみならず、フランスのファンにとって、ワウリンカはまさにヒーローのような存在なのだ。
「現役生活を通じて、この国のファンは常に自分を応援してくれたし、僕自身も良い関係を築けていた。特に自分が全盛期だった2014年から16年くらいまでの間に、僕と彼らの間で“絆”が生まれた。ここでの歓声を耳にすると、まるでホームグラウンドにいるように感じられる」
ワウリンカは全仏オープンで通算46勝20敗の成績を残し、男子テニスの黄金期を築いた「ビッグ4」(フェデラー、ナダル、マリー、ジョコビッチ)全員との対戦も経験。ナダルには0勝2敗と勝てなかったが、マリーからは3勝、ジョコビッチとフェデラーからはそれぞれ1勝を挙げた。41歳にとっても、4人の鉄人たちの存在はとてつもなく大きかった。
「テニスの歴史に名を残そうとか、四大大会で勝つために特定のレベルに到達したいなどと考えたことは一度もない。どうすればより優れた選手になれるか、さらなる高みを目指す上でどのように自分の限界を押し広げるか、その上でどうすればビッグ4を破ることができるかといったことが、私にとっては重要だった。最も大きな大会で優勝するためには、彼らを倒す必要があったからだ」
常に己の限界に挑み、最強の男たちに真っ向勝負を挑み続けた「スタン・ザ・マン」。その不屈の生き様こそが、彼がフランス、そして世界中のファンからこれほどまでに愛された最大の理由なのだろう。
文●中村光佑
【動画】ワウリンカVSデヨングの「全仏オープン」1回戦ハイライト!
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