
「スター・ウォーズ」シリーズ最新作「スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー」が、5月22日より大ヒット公開中。約7年ぶりの劇場版「スター・ウォーズ」シリーズの最新作ということもあり、公開前から期待値が高まっており、公開初週の週末興収ランキングで全世界1位、全米1位、日本1位と好調なスタートを切った。
そんな話題作の日米同時公開直前に行われたジャパンプレミアのために、ジョン・ファヴロー監督と主演のペドロ・パスカルが来日。愛らしい動きをするグローグーと一緒にテレビ番組にも出演し、注目度もさらに上昇。劇場公開後もSNSなどでの評価も高く、その熱気はまだまだ続きそうだ。今回、ジョン・ファヴロー監督にインタビューを行い、本作の製作エピソード、主人公の“マンドー”ことマンダロリアン/ディン・ジャリンを演じるペドロのことや、愛らしさで世界を魅了するグローグーのことなどを聞かせてもらった。
■「グローグーは“KAWAII”ので(笑)」
――50年におよぶ歴史のある「スター・ウォーズ」シリーズの映画最新作となりますが、今作の製作に向けてどんな気持ちで臨まれましたか?
大きなスクリーンをどのように活用するかを最初に考えて、IMAXとパートナーシップを組みました。IMAXというフォーマットに適している映画がたくさんあるので、いろいろ見ました。その後、ドラマでは表現できなかったことを大きなスクリーンでやってみようという気持ちでストーリーも書きました。
――作品をIMAXで見ました。ディズニープラスで配信された「マンダロリアン」シーズン1~3も見ていましたが、大きなスクリーンで見る新作はまた違う魅力が感じられて、新鮮さもありました。
そういうふうに感じてもらいたくて作ったので、うれしいですね。「スター・ウォーズ」シリーズの劇場映画は7年ぶり。ちょっと久しぶりということで、キャラクターは知ってるけど、これまでのシリーズは見たことがないという人もやはり多いんです。
これまでの「スター・ウォーズ」をよく知ってるという人はもちろん楽しめるんですけど、「スター・ウォーズ」を全く知らないという、今作が初見の人も楽しめる作品にしたいという気持ちは最初から持っていました。
――監督とペドロさんが来日されて、ジャパンプレミアに登壇されたり、情報番組に出演されたりしましたが、一緒に出演していたグローグーの動きや表情に多くの人が引かれて大きな話題になりました。マンドーもそうですが、グローグーが目当てで見にいきたいと思っている人も多いと思います。
そういう人たちにもぜひ見てもらいたいんです。グローグーは“KAWAII”ので(笑)。
――黒澤明監督の作品や「子連れ狼」など、日本の作品や時代劇の影響も感じられますが、日本の映画のどういうところに魅力を感じますか?
まずは「スター・ウォーズ」愛から始まっているんですけど、10歳のときに初めて「スター・ウォーズ」を見て好きになりました。父親が映画に詳しくて、「この映画が『スター・ウォーズ』のベースになっているんだよ」と言って、「隠し砦の三悪人」を見せてくれたりしました。
自分はまだ子どもだったので、白黒映画で、字幕を読まなくてはいけないので難しそうだなと思ったんですけど、見てみたらすごくよく理解できました。それで日本の時代劇、侍映画に興味を持つようになって、「七人の侍」を見たりして、完全に日本映画にハマりました。
――「子連れ狼」も今作を作る前から知っていたんですか?
その作品に関しては、脚本やストーリーを書いた後に、似たモチーフの作品があると聞いて見てみました。漫画と映画の「子連れ狼」は今回の作品と比べるとより激しい感じがあるんですが、象徴するものはとても似ていると思いました。
■3人のアクターが“マンドー”を体現
――マンダロリアンの演技については?
ペドロとはとてもユニークなパートナーシップになっていて、まず私が脚本を書きます。そして、ペドロが読んで、彼の声(の演技)で全部録音します。それをベースにして、アーティストたちが絵コンテにしたり、プレビズ(※Pre-Visualization/視覚化、目に見えるようにすること)を行います。これはアニメーションの製作に近いやり方で、この作業を行った後で、実際に何を撮影するべきかを決めていきます。
――脚本を書いて、ペドロさんが声で表現するところから始まるんですね。
そうなんです。実際に“マンドー”を演じるのは3人。ペドロの他に、ブレンダン・ウェイン、ラティーフ・クラウダーがいて、ペドロが演じるところを決めて、アクションやスタントが必要なところはラティーフ、ブラスターを撃ったり、宇宙船を操縦するときはブレンダンというふうに、誰がどこを演じるかという役割分担を決めるんです。
「アイアンマン」のときには、デジタルで作ったところも少しありましたし、今回も少しですけどデジタルのマンダロリアンもいます。
――それぞれの得意分野を生かしたんですね。
はい。編集の段階でまたペドロを呼んで、どのシーンでどの人の演技を使うかを2人で打ち合わせします。
――ペドロさんは主演というだけでなく、製作にも深く関わっている。
そうなんです。声ももちろんなんですけど、彼が“マンダロリアン”というキャラクターを守っていると言ってもいいくらいです。最終的に、使うカットが決まったときに全部見た上で、彼はもう一度レコーディングをするんです。

■スタジオジブリ作品からも影響
――気になるところとしては、ロッタ・ザ・ハットが登場したアリーナのシーンにいたモンスターたちですが…。
あのモンスターたちは、オリジナルの映画「スター・ウォーズ/新たなる希望(エピソード4)」で、ミレニアム・ファルコン号の中でチューバッカとR2-D2が対戦していたチェスボード(デジャリック)の上にいたモンスターたちなんです。チェスの盤の上では小さなホログラムでしたが、本来あるべき姿に戻しました。
――後半のグローグーの大冒険的なパートは、映画「ダーククリスタル」のようなパペット感がありつつ、同時にスタジオジブリ的な要素も感じられました。
好きなものからいろんな影響を受けているので、意識していなくても影響は表れていると思います。ロッタのお腹の上で寝ているグローグーは、まさに「となりのトトロ」のような感じですよね。
(共同脚本/製作の)デイブ・フィローニがジブリの作品がすごく好きで、グローグーとマックロクロスケとの短編(『禅 グローグーとマックロクロスケ』)は私も大好きです。今、パッと思い浮かばないんですけど、ジブリ作品の影響がたくさん出ていると思います。
また、「ダーククリスタル」に関してもすごく影響を受けました。野心的な作品でしたし、今作で同じようなテクニックを使っています。
■「スター・ウォーズ」ファンの新たな世代が生まれる機会になれば
――あの表情豊かで動きもかわいいグローグーがパペットだと信じられないくらいでした。
ちょっとだけCGの部分もあります。デジタルのほうが動きは付けやすいので、そういうのも使ったりしていたんですが、「やっぱりちゃんと撮影しよう」ということになって、デジタルで撮ったグローグーのシーンを、パペットのグローグーで撮り直したりしました。
――これから見ようとしている人たちに向けて、どんなふうに楽しんでもらいたいかということと、日本のファンの方にメッセージをお願いします。
この作品はジョージ・ルーカスの影響を受け、そして日本の映画からもたくさん影響を受けています。日本のファンの方の熱気は、去年の「スター・ウォーズ セレブレーション ジャパン」でもものすごく感じました。そのときのアートワークとか、「スター・ウォーズ」と日本的な要素がすごく合うのをあらためて感じたりもしましたし、日本の予告編もポスターも好きですね。
日本のレンズを通して「スター・ウォーズ」シリーズを見てもらうと、すごくピッタリくるものがあります。ジョージ・ルーカスが生み出した「スター・ウォーズ」は、ここまで50年近い年月が流れていますが、作品が公開されるたびに新たなファンを獲得してきました。
この「マンダロリアン・アンド・グローグー」も「スター・ウォーズ」ファンの新たな世代が生まれる機会になればいいなと思っています。お話ししたとおり、「スター・ウォーズ」シリーズを見てこなかった人も楽しめる作品です。この作品を入口にして、過去のシリーズにも触れてみてください。
◆取材・文=田中隆信

