
韓国の俳優、マ・ドンソクがライフワークとして制作を手がける映画「犯罪都市」シリーズ。これまでに4作が公開され、韓国での累計動員は4000万人を超えている。そんな大ヒットシリーズと同じ世界線でありながら、登場人物や舞台が異なる“ユニバース作品”となる「TOKYO BURST-犯罪都市-」が、5月29日(金)に公開される。本作で主演を務めた水上恒司とユンホ(東方神起)に、作品について熱く語ってもらった。
■日韓タッグのアクションエンターテインメント
本作の舞台は、新宿・歌舞伎町。新宿中央署の元暴走族総長の新人刑事・相葉四郎(水上)と国際手配中の凶悪な犯罪集団を追って来日した韓国警察庁の刑事、チェ・シウ(ユンホ)が即席バディを組んで共同捜査を開始。始めは気が合わず、対立する2人だったが、次第に絆が生まれていく。ヤクザvsホストグループの抗争に犯罪集団も加わり、戦場と化す新宿。裏には国家権力も関わる巨大な陰謀に、相葉とシウは立ち向かっていく、というストーリー。
「ナイトフラワー」「スペシャルズ」などの内田英治監督がメガホンをとり、ヴィラン役には、福士蒼汰、韓国のオム・ギジュン、パク・ジファンなど日韓の名優がズラリ。完全オリジナルストーリーのアクションエンターテインメント作品となっている。
■アクションシーンではハプニングも「めちゃくちゃ謝りました!」
――「TOKYO BURST」は、「犯罪都市」の初のユニバース作品となるわけですが、「犯罪都市」というすごく大きなブランドを背負う覚悟や、プレッシャーみたいなものはありましたか?
水上:やっぱり意識はしてしまいます。でも、変に気負いすぎて良からぬ方向に行くよりも、そういったことは製作の方々に委ねて、「自分がやるべきこと全うしよう」と考えましたね。
ユンホ:僕は、日本の映画に出演すること自体が初めてだったので、まずは迷惑をかけずに頑張ろうと思って演じました。「犯罪都市」は韓国でも有名なブランドですが、それはそれで、この「TOKYO BURST」はユニバース作品として新しいストーリーを作ってみようっていう覚悟で臨みました。
――「犯罪都市」シリーズはアクションが見どころで、この作品でも随所にアクションシーンがありますよね。
ユンホ:僕が演じるチェ・シウは韓国の警察官なので、テコンドーの技術や回し蹴りが重要で。僕は昔からキックボクシングや合気道をしていたので、それを少しアレンジしてみました。最初の撮影が回し蹴りのシーンだったのですが、思ったより燃えて(笑)、勢いあまって滑っちゃったんですよ。実はちょっと痛かったんですけど、皆さんと初対面だから強がって「大丈夫。全然問題無いです」と言いました(笑)。でも、本当にカッコよく撮れたので、よかったと思っています。
水上:僕が演じる相葉の特徴は“石頭”で、結構頭突きをするんです。アクションは基本的には相手に当たっているように見せているだけで、実際には当てないんですけど、頭突きの時って、(のけぞるポーズをしながら)こう振りかぶるので、相手役の福士蒼汰さんがどこにいるのかわからないんですよ。
気を付けてはいたのですが、実際に福士さんのアゴに当てちゃったことがあって…。めちゃくちゃ謝りました! 福士さんは「大丈夫だよ」って言ってくださったんですけど。
――実際に石頭なんですか?
水上:いや、どうなんですかね…。割と昔から、頭はずっと打ち続けていて、親も「この子死ぬんじゃないか?」って思うぐらいのケガもあったのですが、今生き残っているってことは、石頭なんですかね(笑)。
■ユンホ「今回の役では体重を少し増やしました」
――体作りもされたんですか?
ユンホ:アーティストとしては、ダンスをする為にちょっと絞らなきゃいけなかったり、痩せていないと…なのですが、今回の役では体重を少し増やしました。「犯罪都市」の刑事はタフなイメージがあったので、シルエットで見せられたらいいなと思って、普段よりガーッと食べて増やして、(撮影後は)元に戻しました。それがつらかったです。
水上:増やすの、キツいですよね。僕はいつも増やす時のやり方を限られた時間でしただけなので。今回、福士さんの体作りがズバ抜けていて、感服しましたね。
――今回、最初のシーンで相葉がサングラスをとった瞬間に、「この人、かなりヤバい人だ」と思いました。
水上:わぁ、ありがとうございます。
――でも刑事ではあるということで、その辺りのさじ加減など、どんなところに気を付けて演じられましたか?
水上:「犯罪都市」の質感として、ヤバい、怖い人間たち…僕が普段生きていて、あまり会うことのない人たちを演じないといけなかったんです。そういった人たちって、極めて力が抜けているんですよ。それがより怖いというか。でも、それはヴィランサイドの役割なので、相葉も元暴走族ですけど、僕はやりすぎないようにちょっとだけコミカルな部分も入れる、そのバランスが難しかったです。
――ユンホさんは日本語がお上手ですが、セリフとなると難しかったですか?
ユンホ:難しかったですね…。普段のユンホと役としての話し方は違うので、“韓国人の刑事”というキャラに合わせて、ちょっとヘンな日本語が出るようにしてみました。キャラクターをもっと見せたくて、ヘタな日本語を話したいんだけど、やっぱりちゃんと観客に伝えなきゃいけない部分もあるので、そのバランスを取るのが難しかったです。
――特に難しかったセリフはありましたか?
ユンホ:相葉に「お前、何でうそついてんの?」って絡まれるシーンで、「捕まえるには、こうするしかなかったんだ」っていうセリフがあったんです。そこは、真剣な感じを伝えたかったので、淡泊な言い方で重みを出すように工夫しました。
――今回、“いい人”のイメージが強いユンホさんの、今まで見たことがないちょっと悪い顔が見られました。どんなところに気を付けて演じましたか?
ユンホ:表には出ない部分ですが、シウが仲間が居ない状況で1人で日本に来た理由を、まず自分なりに探しました。そして、シウはエリートというよりちょっと暴力的な面も持っていて、中盤までは相葉とも対立していて孤独な部分もあるので、そういう複雑な感情をちゃんと観客に伝える為にはどうしたらいいか、悩みが多かったですね。
■「ズバ抜けていい人」のユンホと「本当に真面目」な水上
――お互いの印象は?
水上:やっぱり“メチャメチャいい人”です。今まで数多くの方々とお仕事をさせてもらいましたが、その中でもズバ抜けていい人。スタッフさんにもキャストにも、エキストラさんにも、撮影の為に通行を止めさせている一般の方々にまで細かな配慮が随所に見られて、とても印象的でした。
ユンホ:恥ずかしいです…。ありがとうございます。でも、水上くんも周りのスタッフさんにほんとに優しいんですよ。すごくマナーもいいし、親切だし。相葉は結構タフなイメージなので、水上くんはどんな性格なのかなと思ってお会いしたら、とても真面目。
男としての価値観が真面目で、毎回毎回どうやってこの世界で続けていくか、とかを悩んでいたり…。20代なのに、パートナーとしてもすごく頼もしい方だなと僕は感じました。水上くんが主人公で良かったと思いました。
――福士さん、オム・ギジュンさん、パク・ジファンさんとは、敵対する立場でしたが、現場ではどんな感じだったのでしょうか。
水上:その中だと僕が1番年下なのですが、皆さん、“いいお兄ちゃん”という感じでした。作品に参加している人間として、マナーやリスペクトを持って臨むのは当たり前なのですが、その当たり前のことがちゃんとできている現場で、良い空気感でしたね。
ユンホ:もちろんこの4人もですけど、出演者がみんな、一生懸命自分なりに役を研究してて本当にいい映画を作りたいという一体感を感じました。水上くんと内田監督の力だと思うんですけど、「この現場、いいな」と思いました。
あと、福士さんが韓国語を喋れるので楽しかったですね。オム・ギジュンさんは、韓国でもスゴく有名な俳優さんなので、どんな方なんだろうと思って初めてお会いしたら、とてもマナーが良い方で。役柄に集中している姿もすばらしく、勉強になりましたし、一緒に演じられて光栄でした。
■新宿の一部を封鎖しての撮影「バラ撒いた800万円は全部本物」
――今回、新宿の旧アルタ前を封鎖して大規模なロケをしたとのことで、常に車も人もいっぱい通っている所を封鎖した景色はなかなか見られないと思います。撮影中に何か感じたことはありましたか?
水上:主演の方によっては、周辺の方々への申し入れとかやりやすかったりすることもあると思うのですが、今回に関しては僕なので…。本当に制作部とコーディネーターの方々の尽力のおかげですよね。旧アルタ前を封鎖したのは、日本映画史上初な上に、800万円をバラ撒くというかなりリスキーというか、なかなか挑戦的な撮影だったんです。
10日前まで撮影できるかどうかわからなくて、今の時代CGでもできますけども、俳優としては実際の場所で撮影できるのは良い演技ができる何よりの材料になるので、実現させてくださったスタッフの方の功績に興味や関心が向いてくれればいいなと思います。
ユンホ:新宿の駅前を初めて封鎖する、と聞いた時、どんな状況になるんだろう…と思いました。現場では、エキストラの人数がスゴくて、「この人数をコントロールできるの!?」と、まずビックリして。バラ撒いたお金が全部本物だったんですよ。
――本物はビックリしますね!
ユンホ:でも、それが全部回収できて、逆にビックリしました。皆さん、人間性が素晴らしい! 僕にとって、何もかもが初めての体験ですごすぎて、今思い出してちょっと笑っちゃいました。「お金を守ってる!みんな優しいな!」って感動しました(笑)。
――水上さんは「シリーズ化できたらいいな」とおっしゃっていましたが、もし続編があったら、次はどんな敵と戦いたいですか?
水上:具体的には今は思いつかないのですが、どんな世界でも牛耳ってる人間が居て、大衆から“悪”とされているものに対して、映画の中だけでも僕らが倒していくのを見て、スカッとして劇場を後にしてくれるような作品を作りたいと思ってます。なので、今回の作品が皆さんに伝わって、それが結果的に次に繋がったら嬉しいですね。
ユンホ:今のメンバーで、今回の続きから始まるのも面白いですよね。「犯罪都市」のマ・ソクト刑事(マ・ドンソク)も出てくださると嬉しいのですが。悪人はまだまだ世界的に多いので。でも続編があったら、敵は頭脳派だったら面白いかなと思います。
◆取材・文=鳥居美保/撮影=MANAMI

