スペイン代表が、5月25日に北中米ワールドカップに向けた26人のメンバーを発表。最大の話題となったのは、大会史上初めて、レアル・マドリー所属選手がひとりも選出されなかった点だ。欧州大陸の王者として大会に臨む「ラ・ロハ」だが、その陣容は“バルセロナ色”が極めて濃いものとなっている。
ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、「私にとって最も大きなチームはスペイン代表だ。動機は純粋にスポーツ的なもの。私の考えるベスト26を選んだ。選手がどのクラブ所属かに興味はなく、チームに必要な選手を私は見ている。リストは非常に綿密に分析されたもので、あらゆる試合展開を想定して選考した」とコメント。そして、「最もつらい仕事は、能力があって個人的関係も深い選手を外さなければならなかったことだ」と、苦悩も明かした(バルセロナのスポーツ紙『MUNDO DEPORTIVO』より)。
この「マドリー不在」は、スペイン国内メディアにも歴史的事件として扱われた。マドリードのスポーツ紙『MARCA』は、「歴史に残る招集リスト」と大きく報道。「スペインが出場した過去16回のW杯で、マドリー所属の選手がゼロだったことは一度もなかった」と指摘している。
負傷中のダニ・カルバハルが55人の予備登録から外れため、最後の希望とされていたDFディーン・ハイセンも最終的に落選したことで、「マドリー勢完全不在が現実になった」と伝えた同メディアは、また1950年ブラジル大会ではルイス・モロウニーただひとりだけがマドリーから招集されていたことにも触れ、「今回のゼロは、それすら下回る異例の事態」と強調した。
一方の『as』紙も、「バルセロナが圧勝した」と刺激的な見出しを打ち、「1930年以来初めて、スペイン代表にマドリーの選手がいない」と綴るとともに、それとは対照的にライバルチームのバルサからは8選手が招集されたことを紹介。ちなみにバルサにとって、これは1994年アメリカ大会の9人に次ぐ歴代2位の数字だという。
同メディアは、「バルサ 8-0 マドリー」という表現を用い、「代表招集という“クラシコ”で、バルサが歴史的大勝を収めた」と記述。特にハイセン落選については、「彼は代表デビュー後、一度も技術的理由で外されたことがなかった」と驚きをもって報じ、最終的にそのポジションを勝ち取ったのがバルサのエリク・ガルシアだったことを付け加えている。
これに対し、『MUNDO DEPORTIVO』紙はよりバルサ寄りの論調で、「バルサが、マドリーとの差をかつてなく広げた」と報道。GKジョアン・ガルシア、DFパウ・クバルシ、E・ガルシア、中盤のペドリとガビ、さらにダニ・オルモ、フェラン・トーレス、そしてラミン・ヤマルら計8人の名前を列挙し、「フェルミン・ロペスの負傷がなければ、9人になっていた可能性もあった」と誇らしげに伝えた。
また同メディアは、1934年イタリア大会以降の歴代W杯を振り返り、1962年チリ大会ではマドリー7人対バルサ6人、1994年大会ではマドリー3人対バルサ9人など、長年続いてきた両クラブの“代表勢力争い”を詳述。「今回の8対0は史上最大差」と総括している。
さらに別記事では、今回の選考を「誠実なリストだった」と擁護。「デ・ラ・フエンテは、名前ではなく、パフォーマンスと汎用性を優先した」と主張し、「ハイセンはW杯に行くに値するシーズンを過ごしていなかったし、“白いユニホーム枠”として扱われるべきでもなかった」と断言し、改めて「選考には常に不満が伴うが、今回は誠実さと実力に基づくリストだった」と論じた。
前出の『MARCA』紙は、この事態をクラブの深刻な状況を示すものだと捉え、「マドリーの失敗の象徴」と題した記事で、「監督交代、無冠、選手起用の混乱など、悲惨なシーズンの代償を払った」と指摘。ハイセンについても、「シャビ・アロンソ体制の序盤には輝いていたが、その後失速した」と評価。さらに、エドゥアルド・カマビンガがフランス代表から、トレント・アレクサンダー=アーノルドがイングランド代表で落選したことを紹介し、「マドリーの選手は、今季の不振によって母国でも評価を落としている」と分析している。
一方、この選考に強い不満を示したのが、マドリーのクラブ専門サイト『Defensa Central』で、「RFEF(スペイン・サッカー連盟)の目的は、マドリーを代表から排除することだった」とまで主張。「デ・ラ・フエンテは、史上初めてマドリー選手ゼロという状況を実現した監督になった」と皮肉を込めて報じた。
同メディアは、「カルバハルは十分W杯に行ける状態だった」「ハイセンも選ばれて当然だった」と反発。「代表チームは、RFEFによって私物化された空間になっている」と批判し、「マドリーのファンが今後、代表から距離を置く原因になる」と警鐘を鳴らしている。
構成●THE DIGEST編集部
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