現地時間5月25日、ニューヨーク・ニックスがカンファレンス決勝でクリーブランド・キャバリアーズをスウィープで下し、イースタン・カンファレンスを制した。NBAファイナルに駒を進めるのは1999年以来27年ぶり、優勝となれば1973年以来、53年ぶりの快挙だ。
ニックスがファイナルを制した場合、同時にNBA史上初の快挙も達成される。それは、NCAAでともに優勝を経験したチームメイト3人が、NBAでも優勝を果たすということだ。
カンファレンス・ファイナルMVPのジェイレン・ブランソン、ミケル・ブリッジズ、ジョシュ・ハートは、2016年にビラノバ大でともにNCAA優勝を手にした。同じ1996年生まれで、誕生日も1日違いのブランソンとブリッジズは、2年後の18年にも再びビラノバ大を頂点に導いている。
これまでチームメイト2人がカレッジとNBAで優勝した例はいくつか存在している。
古いところでは、ボストン・セルティックスのレジェンド、ビル・ラッセルとKC・ジョーンズがサンフランシスコ大(55、56)とセルティックス(59~66)でチャンピオンに。カリーム・アブドゥル・ジャバーとルーシャス・アレンもUCLA(67、68)とミルウォーキー・バックス(71)でともにトロフィーを掲げた。
最近では、アントワン・ウォーカーとデレック・アンダーソンがケンタッキー大(96)とマイアミ・ヒート(06)で揃って優勝を果たしている。
とはいえ、2人でも例はそう多くない。それがトリオとなれば史上初だ。
カンファレンス決勝後の会見では、このビラノバ3人衆が揃って登壇。この件について質問が飛ぶと、年長者のハートが代表して思いを語った。
「非現実的なことだと思う。カレッジにいた頃は、ロッカールームではみんなNBAでプレーすることを目標にしてた。でも、その仲間たちとまた同じチームになる確率なんて、あり得なくはないけど、本当にわずかな確率だ。
もちろん、そうなればいいなって話したり夢見たりはしていたけれど、現実的には、ほぼ不可能な話だ。だから実際にそれが実現したことは、すごくクールなこと。俺たちはお互いがどれだけ努力してきたか知ってるし、どれだけ情熱を注いでいるかも知ってる。
俺たちの間には一生ものの絆と兄弟愛が築かれているんだ。これは自分たちの物語のまた新しい一歩。もちろん、これが最終目標じゃない。でも、こうやって思い出は積み重なっていく。そしてそれは、一生記憶に残るものになるんだ」
この言葉を聞いたブリッジズは、「ほんとにタフだったよな」と言いながら、ハートとがっちり握手をかわした。 ブランソン、ブリッジズの2学年上のハートは17年のドラフトでユタ・ジャズに指名された後(1巡目30位)、トレードでロサンゼルス・レイカーズに入団。翌18年のドラフトで、ブリッジズは1巡目10位でフィラデルフィア・セブンティシクサーズ(直後にフェニックス・サンズにトレード)、ブランソンは2巡目33位でダラス・マーベリックスに指名され、NBAデビューした。
こうしてプロキャリアをスタートさせた3人だったが、ニックス再建の旗振り役として、22年オフにブランソンが加入すると、翌年2月にハートが加入。そして2年後の24年夏にブリッジズも加わって、トリオが再び集結した。
ブランソンは自身を再建の中心人物に選んだニックスと、いつも支えてくれている2人に感謝の言葉を述べた。
「球団が自分に示してくれる信頼は本当に素晴らしいことで、それを当たり前のことだとはまったく考えていない。こんな機会を得られる人は多くない。だから心から感謝しているし、この街で、この組織の一員として、このチームメイトと一緒にいられることを本当に光栄に思っている。そしてこの2人は、ずっと自分を支えてくれている。その絆は、何物にも代えがたいものだ」
大エースながら、常にチームメイトをリスペクトする姿勢にあふれたブランソンらしい発言だ。そんなリーダーに、ブリッジズも熱い言葉で応えた。
「この組織の“パズルの1ピース”になれていることは、本当に恵まれてると思っている。JB(ブランソン)も言ったように、この立場にいられること、そして球団が自分を信じてここに呼んでくれたことにただただ感謝している。
実際、JB以外に一緒にプレーしたいガードはいない。だからこのポジションにいられることに本当に感謝してるし、このまま続けていきたい」
彼ら3人の絆は、ニックスのチームケミストリーの根幹となっている。それは仲の良さだけでなく、ハードワークを重ね、頂点に立った経験を共有している点でも、プレーオフ11連勝という快進撃を支えている。
カンファレンス優勝トロフィーを手にしたビラノバ・トリオは、さらなる高みへ到達し、新たな伝説を造ることができるか。
文●小川由紀子
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