
俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第52回のテーマは「サメ映画」。最近観た作品の中から3本をセレクトしてもらいました。

■フランス発の「サメ映画」は世界遺産の名所が舞台!
──B級映画好きである染谷さんに、今回は「サメ映画」について語ってもらいます。本連載の第5回(2022年9月28日公開)以来、実に3年8か月ぶりです。話したくてウズウズしているんじゃないですか? さっそく1本目を教えてください。
『セーヌ川の水面の下に』(2024年・フランス)です。最初に言っておきますが、これはB級映画ではありません。Netflixが制作したフランスの作品で、すごくお金がかかっています。2024年に開催されたパリ五輪をPRするために作られていて、パリ市がロケに全面協力しています。簡単に説明するとセーヌ川にサメが来ちゃうというお話です。
──サメは海の生物ですが「サメ映画」界では海に現れるのはもう古い。最近では陸に上がるのが当たり前になってきましたが、何と今回は川に出現するんですね!
川に現れるくらいではもはや驚かないです(笑)。ただ設定がちゃんとしていて、淡水に適したサメでどんどん進化していくんです。「川にサメが来るわけない」 という定説や安心感を打ち破り、セーヌ川が危険地帯になる。しかもめちゃくちゃ水質が濁っているので視界が悪い中、いつサメが現れるかという恐怖心もハンパじゃないです。サメは結構大きくて、6~7mくらいはあるんじゃないでしょうか。それが数え切れないほどたくさん出てきます。
──ストーリーをもう少し詳しく教えてもらえますか?
主人公は生物学者の女性で、冒頭で仲間が全員サメに殺されちゃうんです。そんな忌々しい出来事があったので一度は現場から離れるんですが、そのサメにビーコン(位置情報発信器)みたいのを装着していたんです。すると数年後に、そのサメがセーヌ川にいることが判明し「なぜ淡水の川にサメがいるんだ?」ということで、再びサメについて調べていくことになります。ちょうどその頃、セーヌ川では大規模なトライアスロンの大会が開催されることになっていて、中止を訴えるんですが、パリ市長は街のイメージを守るために「秘密裡で処理してくれ」と主人公たちに言うんです。しかし、サメはすごい適応力でどんどん繁殖していき、ついに大会が始まって大虐殺が始まる…というストーリーです。
──この作品をおすすめするポイントは?
先ほども言いましたが、めちゃくちゃお金がかかっています。CGや水中カメラの映像もしっかりしていて、セーヌ川でもちゃんと撮影しています。その圧倒的なスケール感がスゴイです。あとは絶望的なストーリー。サメを処理するためにセーヌ川に爆弾を仕掛けるんですが、逆に水門とかも破壊してしまって、パリの街中が水浸しになってしまいます。それによってサメの行動範囲がどんどん広がっていく。そんな状況で、主人公たちはもはやなす術がない。これ以上はネタバレになってしまうので控えますが、ラストもある意味で衝撃です。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★★★
ハラハラドキドキ度:★★★
ツッコミ度:★★★

■サメ、宇宙に行く。無重力ゆえに起こったモヤモヤ・ポイントとは?

──続いて2本目の作品を教えてください。
『ムーンシャーク』(2022年・アメリカ)です。あらすじとしては、1984年にソ連が対アメリカ兵器としてサメを兵士にしたハイブリッドシャークを開発するんですが、失敗に終わって暴走してしまいます。その責任を取って開発者だった博士が、サメ兵士を道連れにロケットで月に行くんです。それからときが流れて40年後の現代、NASAの宇宙船が月に不時着してしまう。そこで未知の生物に遭遇して襲われるんですが、その正体は40年前のサメ兵士=ムーンシャークだった…というストーリーです。
──サメが地球を飛び出して、ついに宇宙に現れるんですね。なんて壮大な作品なんですか!
あらすじを聞くとスペクタルな感じがしますが、ムーンシャークの造形がもろB級(笑)。月を舞台にムーンシャークと人間が戦いを繰り広げるわけですが、ツッコミどころも満載です。まず月は無重力なので、サメ兵士も人間も動きがめちゃくちゃノロい。見るに堪えないスピードなのでスリル感がまったくありません。CGのクオリティも低いですね。
──まさにB級映画の王道ですね(笑)。よかった点を絞り出すとしたら?
サメの種類がすごく豊富なところ。ハンマーヘッドシャーク(シュモクザメ)やノコギリザメ、ジンベイザメ、ホホジロザメなどたくさん出てきます。それらが人間のDNAと合体してムーンシャークとなり、二足歩行で人間に襲い掛かります。顔はサメ、体は人間で明らかに滑稽な造形なのに、制作サイドはいたって真面目に作りました感を出しているんですよ。なのでこっちもどういうスタンスで見ればいいのか分からなくて、終始モヤモヤしていました(笑)。
──いろいろなサメが出てくるとのことでしたが、ムーンシャークの顔はそれぞれ違うんですか?
違います。あと大きさや(顔の)向きも違っていた気がしますが、あまりよく覚えていません。殺りくのやり方も覚えていない(苦笑)。武器を持っていたような、持っていなかったような…。B級映画鑑賞のあるあるなんですが、途中20分くらいの記憶が全くない。そしてラストは「こんな終わり方があるの?」という感じですごくぶっ飛んでいます。結末が気になる人は観て確かめてください。
──辛らつな感想ばかりでしたが、それでも今回挙げた理由は何ですか?
サメがついに宇宙に行くというチャレンジ精神。今までに聞いたことないです。そのチャレンジは素晴らしいんですが、ストーリーがハチャメチャです。いい意味でも悪い意味でも、これぞB級映画という作品だからです。なのでおすすめはしません。本当にやることがなくて、時間が有り余っていたら見てください。登場人物の動きが遅いので、倍速にするとちょうどいいかも。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★★☆
ハラハラドキドキ度:★☆☆
ツッコミ度:★★★

■続編も決定! 数々の賞を獲得した日本史上最高の「サメ映画」

──では最後にもう1本お願いします。
日本映画の『温泉シャーク』(2024年)です。架空のS県暑海市という温泉街が舞台なんですが、明らかに静岡県の熱海で、同市が撮影協力しています。東京国際サメ映画祭の観客賞(2024年)、サメ映画総選挙の金賞(2025年)など、数々の賞を取った素晴らしい作品です。
──そんなサメ映画の賞があるんですね。どんなストーリーですか?
S県暑海市で観光客が突如姿を消すという事件が多発し、遺体が次々と見つかります。それがサメの仕業だと分かり、警察が捜査に乗り出すんですが、ただのサメではなく、古代から蘇った獰猛なサメであることが判明する…というお話です。
──この映画のスゴイところは?
まず温泉にサメが現れるという設定が斬新です。温泉に入っていると、(温泉を引く)水道管からサメが現れる。こんなの聞いたことないですよね。海外のサメ映画では絶対に出ないアイデアだと思います。さらに、制作費を捻出するためにクラウドファンディングをしたんですが、最終的に何と1140万円6100円も集まったそうです。支援プランの1つに、1口ごとにサメを1匹増やすというものがあって、それも432口が集まって432匹も増やしたそうです。なので劇中に大量のサメが登場しているのも見どころの1つです。
──印象に残っているシーンは?
よく分からない謎のマッチョ(演:椎名すみや)が出てくるんですよ。その人がサメと闘うんですが、けっこう善戦します。しかし結局最後までその正体が明かされない。彼は一体何者だったのか、すごく気になっています。
──ネタバレしない程度に、ラストはどうなるんですか?
この作品もラストはあまり覚えていないです。市長が活躍して、『ジョーズ』(1975年・アメリカ)をオマージュするシーンもあった気がしますが、最後の記憶がすっぽり抜け落ちている(笑)。でも「結末を覚えていない」は、僕にとってB級映画の最高の誉め言葉です。それよりもマッチョのインパクトが強すぎましたね。続編(2026年公開予定)もすでに作られていて、今度は九州の温泉地が舞台みたいです。クラウドファンディングでさらに多くのお金が集まったみたいなので、かなり楽しみですね。個人的にはマッチョがまた出てくることを期待しています。
【染谷’s 3ツ星チェック】
ストーリー:★★★
ハラハラドキドキ度:★★★
ツッコミ度:★★★
取材・文=河合哲治郎

