スマホとガジェットで日本市場に食い込んできたXiaomi(シャオミ)が、ついに生活の本丸へ踏み込もうとしている。中国の総合家電メーカーXiaomi日本法人の社長が、2026年後半に大型家電の導入を検討していると明かしたのだ。挙がったのはエアコン、冷蔵庫、ドラム式洗濯機の3つ。いずれも生活に欠かせない白物家電である。日本メーカーが長年、守ってきた牙城に、中国勢が正面から殴り込みをかける。
驚くのはその価格である。Xiaomiは本国で12kg級のドラム式洗濯乾燥機を、日本円換算で5万円台、636L級の冷蔵庫を4万円台、20畳用エアコンを9万円台で展開している。あくまで中国本国モデルの価格例であり、日本発売時の正式価格と決まったわけではない。それでもこの数字が一人歩きするには、十分なインパクトがある。
主役はドラム式洗濯乾燥機だ。日本では今も高級家電の代表格。12kgクラスの国産品は安くても10万円台後半、上位機なら20万から30万円台も珍しくない。そこへ5万円台の価格で持ち込まれれば、家電売り場の常識は一気に変わる。
本国モデルにはDDインバーターモーター、スマホ連携、時短運転、除菌や洗浄機能に加え、乾燥機能も備わる。家族分の衣類やシーツをまとめて洗える容量で、スマホのように使えるスマート家電を売りにしている。
恐ろしいのは、ドラム式は高くて当たり前、という前提そのものを崩しにきている点だ。日本メーカーは乾燥品質、静音性、手入れのしやすさ、節水、省エネを磨き、全国に修理網を築いてきた。Xiaomiも機能では十分に戦える水準にある。その上で本当の狙いは「ドラム式は欲しいが高すぎる」と諦めていた層に、手の届く価格を突きつけることだ。
「日本仕様や修理対応は大丈夫なのか」という現実的な指摘
安さの理由はひとつではない。Xiaomiはスマホを含むハードウェアの利益率を5%以下に抑える、と公言している。製品一台で大きく稼ぐのではなく、薄利多売で客との接点を増やし、Xiaomi Homeアプリで家ごと囲い込む。中国の巨大市場で大量に作り、部品の調達費を抑える。機能を絞って必要なところに集中投資し、国ごとに作り分けるより世界共通モデルを安く広げる。日本メーカーの手法とは発想が根本から違うのだ。
冷蔵庫もまた同じで、636L級が4万円台という価格は、600L級が20万から30万円台もする日本の売り場では異常に見える「中華家電はすぐ壊れそう」といった感覚、不安はあるだろうが…。
ただ、白物家電はスマホとは違う。壊れたら生活が止まる。修理、保証、設置、電圧、搬入経路、日本の住宅事情、そして10年使えるかという耐久性が、購入判断の壁となる。
636L冷蔵庫は置ける家なら申し分ないが、多くの家庭には大きすぎる。20畳用エアコンの9万円台も、日本では設置工事費や配管、200V対応が絡み、同じ価格に収まるとは限らない。家電好きの間からは「日本仕様や修理対応は大丈夫なのか」と、現実的な指摘が出ている。
それでもXiaomiの脅威は「完璧でなくても、この価格なら試したい」と思わせる力にある。日本メーカーの上位機器は、高機能化と高価格化が進んできた。だが消費者の本音は、もっと単純なのではないか。毎日洗えて、ちゃんと乾いて、それでいて安い。それで十分だという家庭は案外、少なくないのかも。
(ケン高田)

