〝イップス〞は「自分はならない」と思っていませんか?決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!
なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。
進化するための取り組みがうまくいかなかった

「うまくいかなくなると、予選を通りたくなって、また元に戻したり……。それでスイングがバラバラになってしまったんです」(小林)
順調なデビューから深刻な不調に
ツアーデビューした99年は、デビュー2戦目の「NST新潟オープン」で3位に入るなど、6試合の出場でシード権まであと一歩に迫り、翌年は下部ツアーでポンポンと2勝できて賞金王に。02年にはレギュラーツアーで初シードを獲得しました。自分でいうのも何ですが、まずまず順調なスタートだったと思います。
ところが04年に2年間守ったシード権を失い、その年から深刻な不調に……。その原因はショットイップスだったかな、と。正直いうと、もう20年以上も前のことなので、あまりよく覚えていないんです。記憶から消したいという気持ちではなく、本当に時間が経ちすぎて思い出せない(笑)。あれはイップスだったのかな、と考えたりもします。
そのくらい記憶が曖昧になっているのは、その後も成績が出なくなったことはあったのですが、あのころのようなイップス的な感じは、それ以降は出ることはなかったのです。自分自身、もうイップスは出ないと思っているし、出ないだろうなというのもわかっています。
持ち球のフェードからドローに取り組んだ
印象に残っているのは04年の「ミズノオープン」です。それまでは調子は悪くても、イップスを発症したという感じではなかったんです。
前年、たしかにシード権は確保したけど、やはりどこかに物足りなさがあって、優勝したい、もっと上にいきたいという気持ちが強かった。シードを獲るのに一生懸命だったレベルでしたから、さらに上を目指すためにフェードボールの持ち球をドローに変えてみようと思ったんです。
大学3年くらいのときにフェードのほうがゴルフになるといわれて、それからはずっとフェードでした。幸い、フェードでも飛距離が出ていたし、フェードのほうがコースの幅に収まります。プロテストも1次、2次とトップ通過で、落ちる気なんてまったくしませんでした。そのプロ入り前から磨きをかけてきたフェードから、ドローボールを打つ取り組みをシーズンオフからはじめました。
異なるメカニズムでスイングが壊れた
開幕前の地方オープンで2勝して、今年はいけるな、と手応えをつかんでいたのですが、シーズンがはじまると予選落ちが続きました。そうすると、4試合目くらいから「なんとか予選は通りたい」と、自分の目標が完全に下がってしまったんです。
ドローボールも打ちこなしたいと練習してきたのに、うまくいかないから、またフェードに戻そうとしたり。この「ミズノオープン」のときは、結局またフェードを打っていました。
ドローボールとフェードボールのイメージは、まったく違います。ずっとフェードを打っていれば問題なかったと思いますが、クラブを下から入れるようなドローの動作を入れたこと、そして結果ほしさにまたフェードに戻したりしたことで、スイングがバラバラになってしまったんです。
ドローにするメリットですか?なかったと思いますよ。今考えると不思議なことですが、そのときは漠然とドローを打ちたいなと思ったんです。
Lesson|ドローとフェードイメージの違い
ドローとフェードは体の使い方が大きく異なる。その違いによって違和感やズレが生じ、やがてショットイップスになるケースがある

ダウンスイングで顔が右を向くようにして、体の開きを抑えて打つ

体は早めに回転し、胸を積極的に回していくイメージをもつ
いかがでしたか? ぜひ、参考にしてみてください。

解 説=小林正則
●こばやし・まさのり/1976年生まれ、千葉県出身。186cm、82kg。ツアーデビューから順調にキャリアを積んできたが、20代後半にショットイップスに苦しむ。その後復調し、2011年「とおとうみ浜松オープン」でツアー初優勝。2013年には「日本オープン」を制し、国内メジャータイトルを獲得。
構成=コヤマカズヒロ
写真=田中宏幸
