
5月15日に公開された「File 1」を皮切りに、全3章で公開される劇場アニメ「機動警察パトレイバー EZY(イズィー)」。5月26日に東京・新宿ピカデリーにて公開後スタッフトーク「ぶっちゃんの部屋 パート1」が開催された。当日は本作の監督を務める出渕裕氏、プロデューサーの真木太郎氏(株式会社ジェンコ代表取締役)が登壇し、本作にまつわる秘話を数多く語った。あわせて3週目の入場者プレゼントも発表された。
■SFアニメの金字塔的作品が新シリーズで劇場へ 3週目はデッキアップカード配布
1988年のOVA(アーリーデイズ版)をきっかけに、SFアニメの金字塔的作品となった「機動警察パトレイバー」。OVA以降も、劇場作品やTVアニメとして幅広くシリーズ展開された。
2017年には「機動警察パトレイバー EZY」の製作を発表。その後、2022年にはパイロットバージョンが公開されたものの、公開日などの詳細な情報は長らく明かされていなかった。しかし2024年、本プロジェクトの展開が2026年になることが明かされて以降、続々と情報が解禁。そして5月15日公開の「File 1」を皮切りに、全3章の劇場シリーズとして展開される。第2作「File 2」は8月14日(金)公開予定。
これまでのシリーズでは、1990年代末における汎用人間型作業機械「レイバー」の誕生・発達と、それに伴う「レイバー犯罪」に対処すべく警察庁内に創立された特殊車両二課(=パトレイバー)の活躍が描かれてきた。しかし、「EZY」の舞台である2030年代の日本では、AI技術による自動化が進行。かつては最先端技術だったレイバーは、社会構造の一部として定着。人間が搭乗するスタンドアローン型のレイバーも、自立型ロボットへの代替が進み、半ば衰退の途上にあった。
しかし特車二課の仕事は変わることなく、人と街を守ること。久我十和(CV:上坂すみれ)、天鳥桔平(CV:戸谷菊之介)ら第二小隊は、旧式98式AVイングラムをチューンナップした”AV-98Plus イングラム“を駆り、新たなテクノロジー犯罪に立ち向かう。
そんな本作だが、第3週目入場者プレゼントとして、切り取って立てられるイングラム・プラス デッキアップカードが配布されることが決定した。配布期間は5月29日(金)〜6月4日(木)、数量限定となる。

■「俺聞いてなかった!」イベント名を知らなかった出渕監督に会場も湧く
今回のイベントでは、出渕裕監督とプロデューサーの真木太郎氏(株式会社ジェンコ代表取締役)が登壇し、さまざまな秘話が盛り込まれたトークで会場を沸かせた。
登壇すると挨拶も早々に、出渕監督は「このイベント名を初めて聞きました!俺聞いてなかった!」と突っ込みを入れると会場が早くも笑いの渦に。さらに「実写版のときに“マモルの部屋”(押井守監督のトークイベント)があったので、対となるイベント名にしたかったのかな。まあそれはいいとして、早くもパート2も決まっています。次回は伊藤さんとゆうきさんと、1回限りかと思っていた初日舞台挨拶以来に、また3人で」と続けました。
トークパートが始まると、監督は「今日はなんでも聞いてください」と早くもぶっちゃけモードに。本作のプロデューサーである真木さんは冒頭で「『アーリーデイズ』から関わらせていただいています。OVAがヒットして、やるなら劇場版までやろうぜ!という想いがありました。イングラムが動いていないので、とにかくバトルしてくれよ!と押井監督に頼んで、劇場版1(『機動警察パトレイバー the movie』)を作っていただきました」と懐かしそうに語る。
続けて「EZY」の企画が始まったきっかけを問われると、「実写版があった上で、ちゃんとアニメでも改めてやりたいとなり、再び動き出しました。実は、真木さんが色々と絡み合った糸を整理してくださったおかげで、この『EZY』ができたんです」と、出渕監督が立役者として真木氏を紹介。真木氏は「『EZY』でキャラクターが一新されたことで、こういうやり方もあるのか、と新たな発見でしたね。ある程度のことを守れば、この作品はすごく汎用性がある。最初の打合せのときに、野明とか遊馬の年齢が今何歳かという話になって。さすがにもう(イングラムには)乗ってないよねというところで、じゃあ新しいキャラクターを作るか。と」と企画当初のエピソードに触れると監督も「それしかないかなと思ったんです。もちろん昔のキャラクターが好きな方もたくさんいると思うんですが、じゃあもう一度1998年を舞台にして作品を作るのは、それもちょっと変だよねと思ったので」と答え、貴重な企画当初のエピソードに、会場も引き込まれていった。

■「EZY」の由来は“データ量の単位” 「出渕の『EZY』じゃないですよ」と笑い
「EZY」の由来について問われると、「出渕の『EZY』じゃないですよ」とお茶目なジョークを言い、ニヤリと笑う出渕監督。
『EZY』とはIT用語であるデータ量の単位(エクサ・ゼタ・ヨタ)の頭文字を並べたものだそうで、「伊藤さんが考えてくれていた別案もあったのですが、最終的に真木さんが”EZYかっこいいじゃん!”って言ってくださって決まりました」。キロやメガの先にある「まだ来ていない次世代の未来」を指し、「次世代のパトレイバー」という思いが込められているそう。続けて「長く続けば、『EZY』というタイトルを活かした話も作れたらいいなと思います」と、この先を期待させるコメントに会場の熱気も高まる。
続けて出渕監督は「『パトレイバー』は色々な形があって、ファンの中にもそれぞれのシリーズによって思い入れの強さが違うと思うので、『EZY』はどの世界線だと断定していません。そこはかっちりと決めなくてもいいんじゃないのかな」と、『パトレイバー』らしい柔軟性を持っているとアピール。
エンドロール後に流れる映像については、第3話で絵コンテを手がけた樋口真嗣監督のアイディアのおかげで、今の形の演出にすることができたそう。制作の裏側を語る出渕監督は「真ちゃん(樋口監督)から、撮影現場のシーンで火を焚きたいので季節感は冬にしたいと要望があったんです。本当は別の話が3話目に来る予定だったのですがその話は桜の季節で。そこで本編の並びを変えたのですが、結果としてこういった遊びをすることができました。この演出は彼のわがままのおかげです(笑)」と明かしました。真木氏も「おかげでエンドロールに5人の名前が載って、きれいに纏まりましたね!」と満足そうな表情を浮かべていた。そして、完成した『File 1』を見た真木氏を、出渕監督は「真木さんは試写の時に泣いてたって聞きましたよ!」。真木氏は照れくさそうに「さすがだなと思いました」と絶賛。
そして、二人にとって「『パトレイバー』とは何か」と問われると、真木さんは「長生きの秘訣」とズバリ。出渕監督は「いいじゃない!どんどん続いていくと、制作側も鑑賞側も“死ねない”ってなってくるんですよね」と冗談交じりに言いながら、続けて「でもこれが全てなのではないでしょうか。いや、なんか年寄りが観ている作品みたいだな(笑)」と会場の笑いを誘います。「でも当時楽しんでいた人たちにまず楽しんで欲しかった、というのはもちろん大前提なんです。そんな作品になっていると思うのですが、いかがでしょうか」と会場に集まったファンに呼びかけると、会場は大きな拍手に包まれた。
その後も会場に集まったファンとのプレゼントコーナーや、写真撮影タイムも実施され、会場は盛り上がりを見せた。
最後に真木氏は「大勢の方に何度も足を運んでいただけて嬉しいです。長生きしますよ、皆さん」。出渕監督は「皆さんの力でロングランできると嬉しいです!よろしくお願いします」と締めくくり、イベントは終了した。

