北中米ワールドカップの開幕が迫る中、優勝候補として名前が挙がっているのは、イングランド、スペイン、フランス、ブラジル、アルゼンチン、ポルトガルといった列強だ。いずれも世界最高峰の選手を抱え、ブックメーカーでも上位評価を受けている。
しかし、W杯は常に本命国にとって危険な舞台でもある。スポーツ専門チャンネル『ESPN』は、「2026年W杯で失敗する可能性が最も高い優勝候補はどこか?」と題したランキング形式の記事で、これら6か国の“落とし穴”を分析している。
同メディアはまず、「W杯の美しさと恐ろしさは同じものだ」と指摘する。4年に一度の大会であるがゆえに、1試合ごとの意味は極端に大きくなる。一方で、サッカーは不確実性の高い競技であり、「ボールの跳ね方ひとつが、リオネル・メッシやキリアン・エムバペの技術と同じくらい、大会の歴史を書き換える」と表現した。
実際に今世紀のW杯では毎回、「少なくともひとつの強豪国がグループリーグで姿を消している」として、2002年日韓大会のアルゼンチン、2010年南アフリカ大会のイタリア、2014年ブラジル大会のスペイン、2018年ロシア大会のドイツ……といった例を挙げ、「こうした“本命“の失敗は例外ではなく、W杯の構造そのものに組み込まれたリスクだ」との見解を示している。
今回は史上最多となる48か国での大会となり、各組3位のうち8チームも決勝トーナメントに進めるため、「強豪が以前より早期敗退しにくくなった」と綴った『ESPN』だが、「それでも我々は、サッカーにおける本命の勝率を過大評価しがちだ」として、列強国に対して警鐘を鳴らす。
前述した優勝候補6か国のうち、最も失敗の可能性が低いとされたのはイングランドだ。彼らの弱点としては、「ハリー・ケイン以外に得点源が乏しい攻撃陣」と「保守的すぎる戦い方」が挙げられている。トーマス・トゥヘル監督の下で失点は減少したものの、ボールを前進させるスピードは遅く、試合のテンポも低いと指摘する同メディアは、「とにかく失点しないこと。そこにケインがいれば、国際大会で成功するにはかなり良い方程式だ」とポジティブに評したが、改めてケイン以外に競争力があって、試合で継続的に得点できる選手が少ない点を不安視した。 続いて、「早期敗退する可能性がある優勝候補」の「5位」にランクインしたのがスペイン。その理由は、攻撃の中心であるラミン・ヤマルのコンディションで、「スペイン攻撃全体の支柱は、初戦を欠場する見込みで、復帰後もどこまで万全か分からない」と記事では指摘されている。加えて、ロドリが負傷明けで本調子に戻り切っていない。ペドリにも常に故障リスクがあると指摘。「主要3選手の状態に疑問符が付いている」と綴られた。
「4位」にはブラジルが挙げられた。「早期敗退は最もタレントの少ないブラジル代表だろう」「ワールドクラスとして確信を持って挙げられるのは、ヴィニシウス・ジュニオール、ラフィーニャ、ガブリエウ・マガリャンイスくらいで、マルキーニョスを加えても4人程度」と非常に辛辣。カルロ・アンチェロッティ監督についても、「豊富な才能をまとめる手腕には定評があるが、今のブラジルに必要なのは攻撃的志向なのか?」と疑問を呈している。
続いて「3位」にランクインしたのはフランスで、「今大会で最もタレント豊富なチームであり、おそらく最強」としながらも、同組にセネガルとノルウェーが入った点を「危険材料」に挙げる。ディディエ・デシャン監督のチームは、過去2大会連続で決勝に進んでいるが、W杯では強豪であっても、「難しい組み合わせと、不運なボールの跳ね方によって一気に状況が悪化する」として、それはフランスほどのチームでも例外ではないという。
「2位」は前回王者のアルゼンチン。メッシのキャリア終盤にコパ・アメリカ連覇と2022年W杯制覇を成し遂げ、今予選も首位通過した実績だけを見れば、「最有力候補とも言える」という『ESPN』。ただ一方で「成功した世代を引っ張りすぎている」というのが過去の失敗例に合致するという。前大会の決勝メンバーの多くが4つ歳を重ねている状況で、「メッシを含め、ほとんどの選手が前回より衰えている」と指摘。さらに、同組のオーストリアやアルジェリアは、「運動量と強度で高齢化した強豪を苦しめるタイプ」だと警告する。
そして最も“危険視”されたのがポルトガルだ。『ESPN』は、同国最大の弱点を「かつて最大の強みだったもの」と表現。つまり、クリスティアーノ・ロナウドへの依存である。「2024年以降、彼はPKを除くチームの得点の26%を記録し、得点期待値の37%を占めている。だが、すでに41歳であり、前回W杯前から継続的にハイレベルなサッカーを見せているわけではない」。また、「サウジアラビアでの得点力を、額面通りには評価できない」とし、「ポルトガルは最後にもう一度、ロナウドと心中する展開になる」と綴って記事を締めている。
構成●THE DIGEST編集部
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