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「ワイルドナイツが一番試合に出られないチームだった」社員選手にして日本代表の長田智希が強豪を選んだ理由【ラグビーリーグワン】

「ワイルドナイツが一番試合に出られないチームだった」社員選手にして日本代表の長田智希が強豪を選んだ理由【ラグビーリーグワン】

長田智希は己に期待する。

 ラグビー日本代表として26キャップを獲得した26歳は、業界トップの仕事人だ。昨年12月からの国内リーグワン1部において、埼玉パナソニックワイルドナイツの一員として渋い光を放つ。

 つなぎ役のセンターと仕留め役のウイングを主戦場に、味方が蹴った球を鋭く追って捕球役にプレッシャーを与える。防御ラインに入れば適宜、鋭い出足で前進し、パスコースを封じる。ランナーとしてはタックラーに捕まる前のフットワークでわずかずつでも前進し、接点を作る際も簡単に球を失わない。
 
 身長179センチ・体重90キロのサイズで首尾よく動くさまは愛好家を唸らせるが、本人は首をかしげる。

「(課題は)身体のキレ、動きの部分を含めて、全てと言ったら簡単なんですけど…」

 出場すれば2度目となるワールドカップのオーストラリア大会を27年に控えるなか、より高みを目指す。

 堅守速攻型のクラブで活きる下働きを従来通りに徹底するうえ、防御網をぶち破る、トライラインまで走り切る、上空のボールへ飛びついて確保するといった、明確なファインプレーも繰り返せるようになりたいという。

「自分の役割は身体の状態にかかわらずできる。ただエッジ(タッチライン際)でモメンタム(勢い)を生んだり、ハイボールを捕ったりという一つひとつの精度はまだまだだなと」

 昨年12月からのレギュラーシーズンが折り返しを過ぎた春先、こう口にしており、さらにシーズンが深まれば鮮やかなラインブレイクでのトライを記録。成功体験を積んできた。

 いまは5月31日より参戦のプレーオフで、自身加入前以来の日本一を目指す。

「自分たちのラグビーが(明確に)あるなかで、その一つひとつの(プレーの)遂行力を高めてゆく。それは個人のパス、キックのスキルもそうですし、チーム全体のディフェンスシステムもそう。これらを、全部、レベルアップさせてゆく」

 リーグワンでは、ワールドカップ初出場の直前にあたる‛22年度に新人賞を獲得している。ナショナルチームや強豪クラブでラグビー専業のプロ選手が増える一方だが、この人は社員選手の立場を保つ。

 プロフェッショナリズムは、肩書きではなくあり方で示す。 原点は東海大大阪仰星高時代にある。主将として高校日本一に輝くまでの間、落ちているごみを拾う、身の周りを整えるといった私生活の態度がフィールド上でのパフォーマンスに繋がると信じてきた。
  監督の湯浅大智が全ての教え子に伝えてきた「普段の生活がグラウンドに反映する」との思いを、誰よりも肝に銘じて生きたわけだ。

「僕は結構、もろに影響を受けている方だと思います。確かに大事だと納得して、実践しました! グラウンド上だけの選手か、それ以外のことも優れている選手か。シンプルにどっちがいいのかを考えた時に、後者だと思って」

 早大の主将時代を振り返れば、リーグワンの複数のクラブからラブコールをもらったものだ。そのうち競争の激しいワイルドナイツを選んだのは…。

「ワイルドナイツが一番、試合に出られないチームで、チャレンジできる環境だと思って」

 ワイルドナイツでは、各自で主体的に研鑽するのが当たり前だった。のんびりした選手はドロップアウトしかねず、その組織風土にも長田は惹かれたという。

「大学までは(指導者などに)やらされてやっていくところがある。ただ、ここでは自分で考えて、自分から求めて成長しないといけない。そこも、(ワイルドナイツを)選んだ理由かなと」

 その延長線上で人気チームのレギュラーとなり、日本代表の中心選手となっている。

 どうなりたいか、何がしたいか、さらに、その実現には何をすべきかまで明確にし、目の前の課題を淡々とクリアしてきたからだ。

 体力測定では測れぬ得難き才能のおかげで、努力を止めずにいられる。

取材・文●向風見也(ラグビーライター)

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配信元: THE DIGEST

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