庭の水やりを終えてホッとひと息、缶ビールに手を伸ばした瞬間、ふくらはぎに「チクリ」。見れば、脛に蚊が数匹。こちらなどお構いなしで、堂々と「食事中」である。
夏が近づくと毎年、このパターンに泣かされている御仁は多いのではないか。ベランダ菜園、週末の洗車、バーベキューの炭おこし。男の楽しみはなぜか、蚊との戦いとセットになっている。
そもそも、蚊は水場に寄ってくる。庭もベランダも洗車スペースも、全て「蚊のホームグラウンド」と思った方がいい。さらに厄介なのは、種類によって活動時間が違うことだ。アカイエカは夕方から夜に活発になるが、庭先で見かける黒と白の縞模様、ヒトスジシマカ(通称:ヤブ蚊)は朝から夕方まで容赦なく刺してくる。「夕方さえ避ければ大丈夫」という油断は危ない。
多くの人は、いきなり高価な電撃殺虫器や屋外用ファンに走りがちだが、ちょっと待ってほしい。蚊対策は、機器を買う前にやることがある。順番を間違えると、金だけ消えて痒みが残るからだ。
まず、服装から。半袖短パンにサンダルは、蚊にとってのバイキング会場である。長袖、長ズボン、靴下、首にタオル、頭に帽子。暑苦しく聞こえるが、薄手の作業着なら案外快適で、肌を出さないだけで被害は減る。色も重要で、黒や紺の濃色は蚊が寄ってきやすいといわれる。庭作業用に明るい色の長袖を一着、備えておくと違う。
次に、虫よけスプレー。シュッとひと吹きで終わらせている人が多いが、実はそれでは半分程度しか効いていない。スプレー後、手のひらで肌に塗り広げる。
ついでに成分表示も見ておきたい。ディートやイカリジンといった有効成分入りを選ぶのが基本で、薬局で同じ値段なら、表示を見比べる癖をつけるといい。
そしてホームセンターに向かう前にまず、庭をひと回りしてほしい。植木鉢の受け皿、放置したバケツ、使いかけのジョウロ、雨どいの詰まり。ここに溜まった水が、蚊の繁殖地になっている。週に一度ひっくり返すだけで、敷地内で湧く蚊の数はグッと減る。厚生労働省や自治体の蚊対策でも繰り返し呼びかけている、いわば基本中の基本だ。
屋外で煙のバリアを張る感覚で使用
腰を据えて庭仕事や草むしりにかかるなら、原始的だが蚊取り線香が頼りになる。煙が多めの「パワー森林香」は、屋外で煙のバリアを張る感覚で使える。汗だくで草を抜く中高年には、現実的な相棒だ。
毎日、ベランダで一服するような使い方なら、コスパ重視の「モンスーン」系が選択肢に入る。ただし、屋外用の大容量タイプには「蚊取り線香ではない」と明記され、対象害虫がユスリカやチョウバエに限定されているものもある。パッケージの対象害虫表示は、買う前に必ず確認だ。
トンボの形をした「オニヤンマくん」系の吊り下げグッズにも、ついでに触れておこう。腰にひとつだけブラ下げている人をよく見るが、帽子と腰、背中の複数箇所に付ければ、見た目の「いる感」は上がる。ただし蚊への効果は、まだ体感の域を出ないのが正直なところだ。虫よけ剤や服装と組み合わせる前提で使いたい。
服装、水回りの掃除、煙、虫よけ剤、見た目で追い払うグッズ。この合わせ技が、いちばん安く効く。電撃殺虫器を買い込む前に、まずは玄関先と庭をぐるりと一周してみることだ。夏本番を迎えた時、ボリボリ掻く回数が確実に減っているはずである。
(ケン高田)

