「これはたまんない。こんな凄いカードないですよ」
リングサイドでセコンドについていた選手が、思わず呟いていた。5月27日、初代タイガーマスク・佐山聡によるストロングスタイルプロレスの後楽園ホール大会だ。
休憩明けに組まれたのは6人タッグマッチ。藤原喜明&船木誠勝&石川雄規vs村上和成&高橋“人喰い”義生&アレクサンダー大塚という、オールドファンにはまさに“たまらない”顔合わせだ。
藤原は1972年、旗揚げした年の新日本プロレスでデビューした大ベテラン。アントニオ猪木の海外遠征では“用心棒”としてセコンドを務め、カール・ゴッチから学んだ“関節技の鬼”であり、新日本からUWF、そして藤原組を設立。多くの選手を育成したことでも知られる。
今回は藤原の喜寿記念試合。つまり77歳である。ストロングスタイルプロレス登場は、前回の興行でトークショーを行なったことから。
試合をした船木は新日本時代から藤原を信奉し、UWF、藤原組に所属。石川、高橋、アレクは藤原組でデビューした。この試合はアレクの30周年記念でもあった。村上の異名は藤原が長州力を襲撃してテロリストと呼ばれたことにちなみ“平成のテロリスト”。全員がゆかりのある選手であり、4人は弟子となる。
ただ藤原自身は「俺に弟子はいない」と言っている。
「あっちが俺のことを先生だって言うならそれはしょうがないけど、みんな俺の練習相手で、だから仲間だよ」
後楽園ホールに入場曲『ワルキューレの騎行』が流れ、揃いの藤原組Tシャツを着た藤原、船木、石川がリングに。それを見つめる村上、高橋、アレク。特別な空間だった。
もちろん、77歳で全盛期と同じ動きというわけにはいかない。体もだいぶ小さくなった。それでも藤原の闘志は衰えない。鋭い眼光で相手を睨みつけ、頭突きを繰り出すと「(村上を場外に)放り出せ」と船木に指示。噛みつき、さらにイス攻撃と暴れまくった。クライマックスは代名詞とも言えるワキ固め。その瞬間的なキレはさすがというしかない。食らった村上も感服したようだ。
試合は高橋の勝利で終わった。藤原へのヒザ十字固めでレフェリーストップ。大物の“貫禄勝ち”とならないのがこのメンバーだし、藤原のプロレスへのスタンスが表れているのだろう。
何歳であろうが試合は試合であって、ただの“顔見せ”ではないのだ。試合を前にした団体公式のインタビューで、藤原はこう語っている。
「今も気持ちは全然衰えてなくて“この野郎”とも思うし、“今日より明日、1ミリでも前進しよう”と思うんだけど、体が言うことをきかない。やっぱり衰えるんだな」
「やり切ってないよ。『“やり切った”と思ったらそれで終わりだ』ってゴッチさんも言っていたし、終点はまだまだ先よ。『誰でも年を取るけど、ジジイ・ババアになる必要はないんだ』って、これもゴッチさん。いい言葉だろ」
試合後、セコンドについた臼田勝美も含め“弟子”たちと座礼。かつて汗を流した道場と同じ光景だ。村上とはガッチリ握手。深々と頭を下げる村上の姿が印象深い。
77歳でのリング。その感想を記者に聞かれて藤原は語気を強めた。
「リングに上がったらそんなこと関係あるかよ」
「まだまだそうはいくかい。たった一回の負けだ」
試合をさばいた和田良覚レフェリーは「すいません、レフェリーなのに泣いちゃいました」。それはきっと、同窓会への感慨だけではないだろう。むしろ藤原喜明がまだ“ファイター”であったことの感動ではないか。最前線の試合ではなかった。しかし決して忘れられない試合だったのも間違いない。
取材・文●橋本宗洋
【記事】「AV女優がリングに上がるな」と言われても… ちゃんよた、初戴冠に詰まった“悔しさ”の5年
【記事】「安納サオリだから安心して飛べた」フワちゃんの大技を受け切った姿にファン涙…敗戦後の本音に反響「やっばい泣いちゃう」【スターダム】
【スターダムPHOTO】強くて可愛いギャップに胸キュン!破壊力抜群な“美しき戦士”たちを一挙にチェック!

