先日開催された第79回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門において、岡本多緒が日本人初となる最優秀女優賞を受賞する快挙を成し遂げた。受賞作は濱口竜介監督の「急に具合が悪くなる」。ともに主演を務めたベルギー出身の女優ヴィルジニー・エフィラとの共同受賞となった。
5月30日の「情報7daysニュースキャスター」(TBS系)でも、このニュースが特集された。失礼ながら私は、岡本多緒なる女優の存在を知らなかったのだが、現在41歳で176センチの高身長を誇る彼女は、14歳の時にモデルデビュー。2006年に単身でフランスに渡り、ファッションモデルとしてのキャリアを本格的にスタートさせると、その特徴的なマッシュルームカットが「TAOヘアー」と呼ばれてトレンドになるほどの人気モデルに。
2015年にはラグビーW杯のイングランド大会決勝で、優勝トロフィーを運ぶ大役を担うなど、まさに「逆輸入スター」の様相を呈している。
番組が行った単独インタビューのVTR内で、岡本は渡仏した理由を、次のように語っている。
「海外からデザイナーさんが来日して、『来日ショー』と呼ばれるようなものをやる時に、なぜか100%(モデルの)オーディションに受かるっていうことが起こっていて。『私が求められている場所は今、日本じゃないのかもしれない』っていうふうに思って」
そんな彼女が、どうしても出てみたい日本のテレビドラマがあるという。
インタビュー終盤でのこと。岡本は番組司会者の脚本家・三谷幸喜に話しかけた。
「スタジオに三谷さんっていらっしゃいます? 私『やっぱり猫が好き』っていう作品が大好きで、もう1回やってほしいです。私、本当に三姉妹なんですけど、次女で。令和バージョンでやってくださいませんか」
カメラに向かって手を合わせ、VTR超しとはいえ、作品指定で出演交渉をしてみせたのである。
安住紳一郎アナも最後までいっさい触れず
「やっぱり猫が好き」は、かつてフジテレビで放送されていた、シチュエーションコメディー形式によるドラマ。基本的に1話完結で、三谷はメインの脚本家だった。
物語は毎回、恩田三姉妹の他愛もない会話で進むのだが、そのアドリブ満載なやりとりは、演技なのか素なのか分からなくなるほど。当時、私も大好きでいつも欠かさず視聴していた(いちばん好きなエピソードは「はまぐりペペちゃん」の回)。
その恩田三姉妹を演じていたのは、長女・かや乃をもたいまさこ、次女・レイ子を室井滋、三女・きみえを小林聡美という個性派女優の面々だった。
三谷と小林はこの縁がきっかけで1995年に結婚しているが、2011年に離婚した。岡本がフランスに渡ったのは2006年のことだから、もしかして2人の離婚を知らなかったのかもしれない。
他局の作品である上、自身の暗い過去にも繋がりかねないタイトルを挙げられたからか、VTR中、ワイプに映った三谷の表情はどこか複雑なもの。
さらに本件に関して、MCの安住紳一郎も最後までいっさい触れることはなかった。残念ながら、岡本のこの夢が叶うことはなさそうだ。
(堀江南/テレビソムリエ)

