
春泥の人気漫画を、原作の世界観を感じさせる懐かしいタッチでアニメ化した「ガンバレ!中村くん!!」(毎週水曜深夜0:30-1:00ほか、TOKYO MXほか/ABEMA・FOD・Hulu・Leminoほかにて配信)。内気な男子高校生・中村男久斗(CV.小林千晃)が、片想いするクラスメイトの広瀬愛貴(CV.榊原優希)と仲良くなるため、空回りしながらも奮闘する姿をコミカルに描いている。中村の不器用でもどかしい恋模様をいっそう盛り上げているのが、昭和から平成までの懐かしい名曲で構成されるED曲だ。毎週変わる楽曲と映像は、中村の心情やストーリーと絶妙にリンクしており、本編からEDまで地続きで楽しむことができるのだ。本コラムでは、第6話のEDまでを彩った名曲たちを、各話のストーリーと合わせて振り返っていきたい。(以降、ネタバレが含まれます)
■もどかしい想いを代弁するような昭和の名曲

高校の入学式で広瀬に一目惚れした中村が、まずは広瀬と友達になろうと行動を起こすも、ことごとく空回りする様子が描かれた第1話。調理実習室に置かれていたタコをきっかけに、ほんの少し広瀬との距離が縮まる展開に、視聴者からは中村へのエールが殺到した。
初恋に胸を焦がしながらも、相手を目で追うことしかできない。そんな中村のもどかしい想いを代弁するかのように、EDで流れたのは村下孝蔵の「初恋」。胸に染み入るような柔らかく透き通った歌声と、初恋の切なさを綴った歌詞で、時代を超えて愛される名曲中の名曲だ。
この選曲には視聴者も驚き、SNSには「令和に聴く初恋はオシャレだな」「マジで声出た」「中村君の初恋が実るように祈ってしまう、胸熱楽曲」「中村くんの心情すぎて最高だ」との声も。本作で初めてこの楽曲に触れ、「初めて聴いてハマった」「Spotifyで永遠リピート再生」とドハマリした視聴者も多かったようだ。
■失意の中村を鼓舞するアッパーな平成ファンク

第2話では、中村の心のバイブルがBL漫画「ラブ弁!」であることが判明。そこから会得したラブメソッドを実践しようとするが、学校に「ラブ弁!」を持参したことで思いがけずピンチに見舞われる。広瀬の前で大失態を犯し、フラフラと帰途に着く中村。そこに流れ始めたのは、バブルガム・ブラザーズの「WON’T BE LONG」だ。
同楽曲は平成ファンクの名曲にして、大切な人のために頑張ってきた自分を鼓舞するような、ポジティブなメッセージが込められた1曲。中村が自室で膝を抱える映像とは一見ミスマッチに思えるが、まるで楽曲が失意のどん底にいる中村を励ましているようにも映り、視聴者から「なんであんなにぴったりなの」「作品とシンクロしててめっちゃ良かったね!」との声が上がったのもうなずける。
■すれ違う恋心に平成の名曲が重なる

中村の恋に新展開が訪れたのが第3話だ。美術の授業で、川村ひふみ(CV.ファイルーズあい)が描いた広瀬の絵の上手さに魅せられた中村は、川村にファンだと告げる。その真意を知らない川村は、中村を意識するように。そんな中、中村と広瀬、川村の3人が体育館の倉庫に閉じ込められてしまうトラブルが発生。想い人と密室で過ごすという状況に、中村と川村はドキドキが止まらない。
倉庫から助け出された中村たちは、担任の乙切 想(CV.江口拓也)が運転する車で帰途に着くのだが、川村はふと、中村が助手席の広瀬に熱い眼差しを向けていることに気づく。その瞬間、カーステレオからスチャダラパー featuring 小沢健二の「今夜はブギー・バック smooth rap」が流れ始めるという粋な演出に、SNSには「エンディングの入り方オシャレすぎ」「選曲のセンスが良すぎてたまげた」「EDカーステレオとか胸アツ」など絶賛の声が寄せられた。
同楽曲にはボーカルメインの「nice vocal」バージョンもあるが、ラップを前面に押し出した「smooth rap」をチョイスしているのも憎いところ。車のバックミラーに映る中村と川村の表情の変化に注目しつつ、平成ラップの名曲をじっくりと味わっていただきたい。
■「負けるもんか」に合わせて踊り、歌う中村が可愛い

甘酸っぱい第3話から一転、第4話ではオカルト・ホラー研究部に所属する青木山麗子(CV.大地葉)が初登場し、中村をあの手この手で勧誘するギャグ強めのストーリーが展開。中村は青木山に“まじないの聖水”なる怪しい液体を押し付けられて困惑するが、聖水の効果か、広瀬と2人きりで帰る機会に恵まれる。さらには、身を挺して広瀬の危機を救い、広瀬から「カッコ良かった」と最高の言葉をかけられるのだった。
EDの映像では、バービーボーイズの「負けるもんか」に合わせて、ノリノリで踊り、サビのフレーズを叫ぶ中村の姿が。80年代バンドブームのさなかに生まれた同楽曲は、恋人のいる男性を誘惑する女性と、理性と欲の狭間で揺れ動く男性の心情を綴った名曲。この曲に登場する女性を、広瀬の幼馴染・大森司(CV.笹翼)に嫉妬する中村に重ねてみるのも面白いかもしれない。
映像と楽曲の絶妙なシンクロ具合に、「踊る中村くん可愛すぎかよ」「今まで以上に“中村がラジカセで愛聴してる当時の音楽”感があって最高でした」「バービーは僕の中学校のころの憧れだ」「バービーだよ…うれしい」など視聴者も絶賛。EDをリピート視聴する人も多かったようだ。
■異国情緒溢れる名曲とともに、心はすでに横浜へ

第5話では、広瀬とイチャイチャする友人の武内剛太(CV.野津山幸宏)に中村の嫉妬心が爆発。実は武内が好きな女子に振り向いてもらうための作戦だったと判明するが、安堵する間もなく、今度は担任の乙切が恋のライバルに急浮上。もうすぐ横浜で課外授業があることを思い出した中村が、起死回生を誓った瞬間に流れ始めたのは、泰葉のデビュー曲「フライディ・チャイナタウン」だ。
パワフルなボーカルと異国情緒溢れるメロディが印象的なこの名曲は、近年の世界を巻き込んだ懐メロブームもあり再評価されているという。当時を知る視聴者からは、「突き抜けてる彼女の歌唱はやはり唯一無二」「なつかしい。好きだったのよう」と感慨の声が寄せられた。
■中村の溢れる感情を体現するようなED曲にしびれる

第6話の舞台は課外授業が行われた横浜。今日こそ友達になろうと意気込む中村が、一度は諦めかけるも、広瀬の思わぬ行動によって2人きりの時間を過ごすことに。海辺のシーンでは、武内から一緒にフェリーに乗ろうと誘われた広瀬を、中村が引き止めるという熱い展開に視聴者は騒然となった。
その直後、中村が広瀬に「友達になってください」と告げると、広瀬は近くにいた乙切に駆け寄り、中村とツーショット写真を撮ってもらう。ドギマギする中村に、広瀬が「俺はもう友達だと思ってたぞ」と語りかけるという最高のラストシーンを彩ったのは、プリンセス・プリンセスの大ヒットナンバー「世界でいちばん熱い夏(平成レコーディング)」だ。
中村が課外授業の写真を眺めるED映像への移り方も完璧で、SNSには「エンディングの入りで思わずやっば!と声出ちゃった」「誰がなんと言おうと、これは世界でいちばん熱い夏だよ」「感極まってガチ泣き」と感動を伝えるコメントが殺到。広瀬と友達になるという念願を叶えた中村を、「よく頑張ったぞ」「よかったねぇ、よかったねぇ~!」「中村、お前最高だよ」と祝福する声も多かった。
YouTubeでは現在、関連各社が本作のEDに使用された楽曲を、ED映像とともに配信中。コメント欄は視聴者の愛あるコメントで溢れている。各楽曲にハマった世代の人はもちろん、初めて出会ったという人も、本作を通して名曲の魅力を再発見してもらえたら幸いだ。
◆文=帆刈理恵(スタジオエクレア)

