私(佐藤)は日々AIと向き合っている。今まで1人ではできなかったことが、AIを操ることによってどんどんできるようになっている。それが楽しくて仕方がないのだ。とくに楽曲制作AI「SUNO」は、若き日に作り切れなかった曲を完成に導いてくれただけではない。その完成形を知ることがなかった曲を、架空の形でも聞かせてくれるのである。
たとえばその昔、フジテレビの超人気バラエティだった『ごっつええ感じ』で、東野幸治さんが歌っていた鼻歌。その全体像を聞かせてくれる。実際にどんな歌なのかは、東野さん本人にしかわからない。
だがその一節をSUNOに読み込ませて、仮にこうだったら? をプロンプト(AIへの指示)に書き込むと、それっぽい形にしてくれる。何回かトライした結果、この曲にふさわしいスタイルが見えてきた。
・東野さんの謎の鼻歌
東野さんの謎の鼻歌は、番組内のドッキリ企画で披露されたものだ。ホテルでシャワーを浴びる際に彼が歌っていたのは、こんな感じのものだった。
「唐沢、空回り 唐沢、空回り
カラカラカラカラ落ちていきますよ」
私はなぜかあの歌が忘れられないまま、30年近く過ごしてきた。あのドッキリ企画がいつ頃のものだったか覚えていないのだが、あの歌だけは鮮明に思い出せる。
たしかあれは東野さんが頭にかた焼きそばの餡をかけられるという、今では考えられないようなドッキリだったはず。いや、ドッキリですらなかったのだが……。
さて、まずは曲を再現するためには元となる音が必要になる。あいにく、手元に音はなく録画した映像もないので、私が歌って再現することにした。スマホで録音した私のアカペラをSUNOにアップロードする。
次に考えないといけないのは歌詞だ。たった2行分、一節しか歌詞がないので、それを想像でAメロ・Bメロ・サビの形に展開する。仮でこのようにした。
[Verse 1]
唐沢空回り
唐沢空回り
カラカラ カラカラ 落ちていきますよ
唐沢空回り
唐沢空回り
カラカラ カラカラ 落ちていきますよ
[pre-chorus]
カラカラ カラカラ 空回り
カラカラ カラカラ 空回り
[chorus]
唐沢唐沢 カラカラ カラカラ
唐沢唐沢 カラカラ カラカラ
唐沢カラカラ落ちて行く
東野さんの曲のイメージを損なわないように、2行の内容を使いまわすことで、曲として成り立つように考えたつもりだ。そして、楽曲のスタイルを「Funk Rock」と指定して作ってみた。
▼バージョン1「Funk Rock」
聞いてみたら、「唐沢」を「とうたく」と読んでしまってることが判明。時々あるんだよな、ちゃんと漢字を読んでくれないことが。仕方がないので、唐沢を「からさわ」と書き直して再トライ。
▼バージョン2「Funk Rock」やり直し
どうもFunk Rockはしっくり来ないな。でもゴージャスな音は合うはず。なので、次はBig Band Jazzでトライ。
▼バージョン3「Big Band Jazz」
なんか違うな。もしかして、意味のない歌詞はSUNOにとってメロディをのせにくいのかも。ではビートを優先した感じの曲調なら合うかも? ということで、TRAPでアレンジしてみた。
▼バージョン4「TRAP」
お! TRAPはありかも。ビートが効いた音楽の方が、無意味な「カラカラ」でも成立するのか? だが、私はそれとは全然違う方向で、この歌詞が生きる曲調を発見した。それは……Roots REGGAEである。
▼バージョン5「Roots REGGAE」
こんなにしっくりくることある!? 意味不明な人の鼻歌が、ちゃんとビートにのっている。なおかつ、レゲエのグルーヴとも調和している。まさか東野さんはあの時、脳裏にラスタのリズムが流れていたのか?
いずれにしても、唐沢空回りはレゲエでした。いつか東野さん自らによって、レゲエバージョンをリリースし、夏のフェスに出演してオーディエンスを沸かせることに期待したい。がんばれ、東野さん!
執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24
Screenshot:SUNO
