現地時間5月31日、ブラジル代表は北中米ワールドカップに向けた国内最後のテストマッチでパナマ代表に6-2と大勝し、マラカナンに詰めかけた7万2140人の観衆に派手な壮行試合を届けた。
カルロ・アンチェロッティ監督率いる「セレソン」は、開始からわずか1分に相手のビルドアップミスをカゼミーロが奪い、こぼれ球をヴィニシウス・ジュニオールが鮮やかに叩き込んで先制。12分には不運な形で同点弾を許したものの、38分に今度はヴィニシウスのクロスをカゼミーロが頭で合わせて勝ち越す。
後半、アンチェロッティ監督はレオ・ペレイラを除く10人を入れ替えた。すると、控え組が一気に試合を加速させ、52分にイゴール・チアゴのプレスから相手GKのミスを誘い、ラヤンが右サイドから豪快に決めて3点目。さらにルーカス・パケタ、イゴール・チアゴ、ダニーロ・サントスが加点し、パナマの反撃を84分の一撃に止めた。
試合後、アンチェロッティ監督は『Globo』に対し、「美しい夜だった。サポーターが作り出した雰囲気に感謝しなければならない。素晴らしい自信の注入になった」と満足感を示した。もっとも、手放しの称賛とはならず、「前半には良い部分も、改善すべき部分もあった」とし、後半に入った選手たちがクオリティーを示したことで、より多くの“疑問”が頭に浮かんだ。これは良いことだ」と語っている。
またイタリア人指揮官は、先発メンバーについて「100%決まっているわけではない」と明言。チャンピオンズリーグ決勝を戦ったマルキーニョス、ガブリエウ・マガリャンイス、ガブリエウ・マルチネッリらがまだ合流前であることを踏まえ、「13日間の練習を見て評価する。今日の試合でも、よりコンディションが良い選手と、少し遅れている選手がいた」と慎重な姿勢を見せた。
ブラジルの総合メディア『Globo』の分析も、勝利の裏に残った課題を強調。この試合の最大の目的は、戦術確認以上に「代表チームをW杯前に活気づけること」だったとし、その意味では「祝祭の筋書きは達成された」と評価。9か月ぶりにブラジル国民の前に姿を見せたセレソンは、満員のマラカナンで大勝し、拍手に包まれて旅立つことになった。
ただし、前半の内容は理想からは程遠かった。ヴィニシウスの早い先制点で楽勝ムードが漂ったが、ブラジルはボールを保持しきれず、パナマに前半の支配率で52%対48%と上回られた。同メディアは、「アンチェロッティ監督が攻撃時に4-2-4、守備時に4-4-2を採用した」と分析。ヴィニシウスの守備負担を軽くするため、マテウス・クーニャが左サイドを埋める役割を担ったが、結果、彼はゴールから遠ざかり、攻撃への関与が少なくなったという。
一方、後半の控え組は「強烈なアピールに成功した」と称賛し、「長い昏睡から目覚めた人がこの試合を見たなら、後半のチームが先発組だと思っただろう」と皮肉交じりに表現。「ラヤンは右サイドで個性とクオリティーを示し、ルイス・エンリケとのポジション争いに名乗りを上げ、チアゴは単なるフィジカル型ではなく、ボールを収め、前線から相手のビルドアップに圧力をかけられることを示した。さらにパケタは創造性、ダニーロ・サントスは推進力と飛び出しで存在感を放った」。
同メディアはまた、「ブラジルが直近8試合で無失点に抑えたのは韓国戦とセネガル戦だけだ」と指摘。その上で、守備の改善はイタリア人指揮官にとって看過できないテーマであり、マルキーニョスとガブリエウ・マガリャンイスの合流で最終ラインは強化されるとしても、「前線からのバランス調整が必要」だと見ており、「攻撃的な選手を1枚削り、中盤を厚くする可能性も十分にある」という。
この試合でもうひとつ注目を集めたのが、負傷欠場したネイマールだった。『Globo』によれば、右ふくらはぎのグレード2の負傷によりプレーできなかった背番号10は、それでもピッチ脇でウォーミングアップと試合を見守り、観客から「オレ、オレ、オラ、ネイマール」と大歓声を浴びた。試合後には、パナマの選手たちがネイマールとの写真撮影を求め、また彼らはヴィニシウスにも列を作ったという。
ネイマールの状態をめぐっては、招集継続の是非も議論となったが、同メディアは「検査から48時間で空気が一変した」と報道。診断直後は本人も不安を抱えていたが、アンチェロッティ監督のスタッフが回復プランを確認した上で、チーム残留を決断。CBF(ブラジル・サッカー連盟)のサミール・シャウド会長も「カットは全く考えていない」と強調した。
記事では、この判断を「アンチェロッティ流のグループマネジメントの表われ」と見ており、世論がネイマール招集をめぐって割れている中、「指揮官は騒動を受け流し、選手を守った」。カゼミーロも悲観論に反論し、クーニャも治療への期待を語るなど、「チーム内ではエースを支える空気が強い」という。
さらにブラジルのスポーツ紙『Lance!』によれば、ヴィニシウスもパナマ戦後にネイマールに言及し、彼の存在を「僕たちのアイドル」と表現。「若い世代にとって、ネイマールは最大の憧れだ。彼と日々を共有できるのは、いつだって良いことだ」と語り、負傷から戻るために努力してきた先輩の姿勢にも敬意を示している。
ブラジルは6月1日にアメリカに向けて出発し、7日にクリーブランドでエジプト代表と最後の強化試合を行なった後、13日にニューヨーク/ニュージャージーでモロッコ代表とのグループリーグ初戦に臨む。
構成●THE DIGEST編集部
【画像】日本代表W杯メンバー決定! 久保建英、堂安律、中村敬斗、鎌田大地、上田綺世、伊東純也、佐野海舟、伊藤洋輝、鈴木彩艶ら26人の顔ぶれ
【画像】オランダ代表 W杯メンバー26人決定! ファン・ダイク、デ・ヨング、デパイ、ガクポ、フラーフェンベルフ、マレン、ドゥムフリースら選出 GS初戦で日本代表と対戦
【画像】ブラジル代表W杯メンバー26人決定! ネイマールが復帰、ヴィニシウス、ラフィーニャ、ギマランイス、カゼミーロ、マルキーニョス、マガリャンイス、アリソンら選出

