間もなく開幕する北中米ワールドカップでは、前回王者アルゼンチンをはじめ、フランス、イングランド、ブラジル、ポルトガルなど数多くの強豪国が優勝候補に挙げられている。しかし、各方面から「最有力候補」として名前が挙がっているのが欧州王者スペインだ。
サッカーデータ分析メディア『Opta Analyst』は、大会開幕を前にスーパーコンピューターで1万回のシミュレーションを実施した結果、スペインが優勝する確率は16.1%で全48か国中トップだったと発表。さらに、準々決勝進出確率52.1%、準決勝進出39.0%、決勝進出25.6%と、いずれも全参加国中で最高水準の数字を記録しており、「準々決勝進出の可能性が50%を超えた唯一のチーム」であり、グループHを首位通過する確率も75.3%に達したという。
同メディアは、「もし今夏のW杯で優勝したいなら、どのチームもスペインという巨大な障害を乗り越えなければならないだろう」と強調。その根拠として、EURO2024優勝後も勢いを維持し、UEFAネーションズリーグでは決勝まで進出、W杯予選も無敗で突破した安定感を挙げた。加えて、18歳の逸材ラミン・ヤマルの存在が大きな強みだとし、他にも復帰したロドリをはじめ、フェラン・トーレス、ミケル・オヤルサバル、ミケル・メリノら実力者が揃うことも高評価の理由だという。
こうした見方を他メディアも共有しており、アメリカの日刊紙『USA TODAY』は優勝候補ランキングの1位にスペインを選出。「ヤマルが完全なコンディションで大会を迎えられれば、この順位はさらに確固たるものになる」とした上で、「現欧州王者は28試合連続無敗。その流れを無視することは不可能だ」と評価している。
英国のスポーツ専門サイト『GIVEMESPORT』も、同様に「ラ・ロハ」を優勝候補筆頭に指名。EURO2024制覇を振り返り、「単に優勝しただけではない。再び世界最高のサッカー国家であることを証明した」と称賛。「フランス、ドイツ、イタリア、イングランドを次々と撃破してタイトルを獲得した」チームについて、「まだ黄金世代には及ばない」としながらも、「歴史上最も称賛される代表チームのひとつになる途上にある」と絶賛し、「現在の実力と実績を考えれば、トロフィーを掲げるのはスペインだと予想する」と結論づけた。
一方、スポーツ専門チャンネル『ESPN』も、統計モデルを開発する「DTAI」のシミュレーション結果を引用しながら、スペインを「大会最大の優勝候補」に挙げる。DTAIはスペインの優勝確率を24%と算出。EURO2024優勝、ネーションズリーグ準優勝、予選無敗、わずか2失点という実績に加え、「大会最強の攻撃力と2番目に優れた守備力を持つ」と評価。また、ヤマルや ペドリを中心とした若くクオリティーの高い戦力、そして準決勝まで有力国との対戦を避けられる可能性が高い組み合わせも追い風と見ている。
『ESPNも、「純粋にデータだけを見れば、スペインが断然の本命だ」と認め、近年ほぼ完璧な成績を残し、比較的組み合わせにも恵まれたこともあり、「優勝する可能性が最も高い国はスペイン」との見解を示した。
ただし同メディアは、最終的な優勝予想ランキングではスペインを2位に置き、1位にはフランスを選出。その理由として、「ヤマルの負傷状況が依然として不透明であること」「ロドリが本来の状態に戻り切っていないこと」、そして「代表の最多得点者がオヤルサバルであること」などを挙げ、「データ上はスペインが最強だが、不安材料を完全には無視できない」と指摘している。
そして、こうした「スペイン最強論」に最も懐疑的な視線を向けたのが、“対抗馬”フランスのサッカー専門サイト『SO FOOT』だ。「嵐の前の静けさ」と題した記事では、「スペインには2つ目の星を獲得するだけの材料が揃っている」とその実力を認めながらも、「スーパーコンピューターが予測するほどの圧倒的な本命ではない」「今は少し冷静になる必要がある」とも主張した。
その根拠としてまず挙げられたのが、ヤマルのコンディションだ。左ハムストリングの負傷で約1か月半実戦から遠ざかっていたことは大きな懸念材料であり、本人も「W杯出場を逃すのではないかと恐れていた」と明かしていたという。さらに、ニコ・ウィリアムズも負傷から復帰したばかりで、EURO2024で猛威を振るった両翼が万全ではない可能性があると分析している。
加えて、中盤にも不安があると同メディアは指摘する。アーセナルで苦しんだメリノとマルティン・スビメンディ、コンディション面に課題を抱えるロドリなど、主力選手たちがシーズン終盤を理想的な形で終えられなかった点を問題視。また、代表メンバー選考についても、出場機会の少なかったガヴィの招集など、守備陣の人選にも疑問を呈した。
さらに同メディアが強く批判したのは、代表チーム全体に漂う「過剰な自信」だ。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は「我々には世界最高の選手たちがいる」と語っているが、これに対しては「フランス、イングランド、アルゼンチン、ブラジルもまた優勝を狙う中で、この楽観的な空気は危険だ」と警鐘を鳴らし、前回王者として臨んだ2002年日韓W杯で、過信の末にグループリーグ敗退を喫した自国代表チームを引き合いに出しながら、「過度な自信には注意が必要だ」と綴って記事を締め括っている。
構成●THE DIGEST編集部
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