最新エンタメ情報が満載! Merkystyle マーキースタイル
脳トレ四択クイズ | Merkystyle
【ロングインタビュー/第3回】研鑽の栞――石川祐希が最強軍団ペルージャで宿した不朽の真価

【ロングインタビュー/第3回】研鑽の栞――石川祐希が最強軍団ペルージャで宿した不朽の真価

イタリアで11回目のクラブシーズンを終えたプロバレーボーラー・石川祐希。昨季から在籍するシル スーザ スカイ・ペルージャでの日々は、栄光と苦難が表裏一体の2シーズンとなった。今回、本人が自らの目線でその時間を振り返り、ロス五輪への切符獲得が至上命題となる今年の代表シーズンへ向けて主将としての覚悟を1時間にわたって語り尽くした超ロングインタビューを全3回に分けてお届けする。

 第3回は、イタリアで11シーズンを戦い続けた石川が考える海外リーグでの日本人選の立ち位置、ペルージャで訪れた新しい出会い、ロス五輪に向けて最短での切符獲得が期待される今季の代表活動でカギとなる対戦国や主将としてのチームへのアプローチと決意をお届けする。
  イタリアで11年もの長きにわたり戦い続けてきた石川。それは、活躍の場を海外に求める日本人選手の礎石となっている。各国リーグにオンコートルール(試合における外国人選手の起用数規定)が存在する中で、イタリアリーグではキューバ代表2選手(ミドルブロッカーとアウトサイドヒッター)を先発メンバーに擁するチームがプレーオフで4強入りするなど、強豪の一角で国籍を同じくする選手が主力として躍動している。そんな中、来季は日本代表のアウトサイドヒッター・高橋藍とリベロ・小川智大が欧州リーグで同じクラブに籍を置く模様。海外リーグで日の丸メンバーが2人同時にコートに立つ可能性が浮上しており、ついに日本の男子バレーボールが新たなフェーズを迎えそうだ。

――上位チームで2人の同時出場が実現し、そこで高いクォリティのパフォーマンスを続ければ、海外での日本人選手への評価がより上がるはず。それについてどんな見解をお持ちですか?

「彼らの実力が認められてのこと。同じチームに2人いてもルールがあるのでポジションによって一緒に出場することはなかなか難しいところですけど、アウトサイドヒッターとリベロの選手なら2人がコートに立つ機会が十分あると思っていて、そうなれば素晴らしいことですし楽しみにしています。今シーズンはポーランドで日本人が下部リーグを含め複数人プレーしていたり、イタリアでは僕を始め大塚達宣選手(ミラノ)と垂水優芽選手(チステルナ)が在籍して以前よりは海外に行く選手が増えましたけど、僕的にはすごく増えたなぁって実感はまだないですね。日本人選手が本当に競争力の高い上位チームで先発に食い込むとなると、まぁまだ時間がかかると思います」

「海外に出ることだったり、代表で結果を出すことが選手の評価に繋がるのは事実なんですけど、ミドルブロッカー、アウトサイドヒッター、オポジットとセッターに関してはすでに国外での経験と活躍した実績がある選手じゃないと上位クラブ移籍の扉をこじ開けるのは難しいのかなと感じています」

「リベロに関しては、今年の世界クラブ選手権で大阪ブルテオンと対戦した時に、日本代表の山本智大選手の守備力を見たペルージャの選手たちがめちゃくちゃ評価していました。なので、リベロは出場枠の問題だけだと思います。ドイツリーグで高橋頌選手、ポーランドリーグでは備一真選手が今季の年間ベストリベロに選ばれました。日本のリベロは海外で通用する、と言うよりも世界でトップにいるのでいきなり上位チームに呼ばれても驚きはないですね」 まだ大学1年生だった2014-15シーズンからイタリアで孤軍奮闘してきた石川。当時は日本人選手が海外で同じチームに在籍する未来を想像していなかっただろう。

――日本人選手がチーム内にいる環境を自身に当てはめた場合、何か思うところはありますか?

「僕は全然OKです。今はもう一人で生活できるし、別の日本人がいることで何かに影響することはまったくないですね。初めの頃は甘えたり楽な方に行っちゃうのが嫌で1人で挑戦したいって気持ちがありましたけど、今は日本人がチームにいても僕はまったく問題ないです。ミラノ時代の2023-24シーズンに当時大学2年生だった麻野堅斗選手(早稲田大学、日本代表ミドルブロッカー)が日本バレーボール協会の派遣で短期練習生としてチームに来ましたけど、僕はウェルカムでしたね。それよりも僕がいることによって言葉や他の部分で頼り過ぎてしまうとしたら、それは彼にとって良くないかなと思ったりはしました」
  ペルージャで過ごした2シーズン、とりわけ5大会に参戦した今シーズンは、遠距離移動を伴う国外での試合が過密日程に拍車をかけ多忙を極めた。そんな慌ただしい日々を送るなかで心安らぐ素敵な出会いがあった。

――ペルージャで現地在住のご夫婦との嬉しい出会いがあったそうですね。それを伺ってもいいですか?

「そうですね。ミラノ時代にもお世話になったご家族がいて、どうしてもミラノのような大きな都市だと日本人の方も多かったのでお付き合いするなかで僕が疲れてしまわないよう環境にとても配慮してくれていました。僕がミラノに行く時は必ず会って、今も親交を温めています」

「今度はペルージャでまた新しい出会いが訪れて本当に恵まれているなって思います。ご自宅へ伺ったりもして、それをできたのはペルージャがこぢんまりした街で僕も少し自由に動きやすかったのもあったかな。そのご家族の旦那さんは地元出身の方で、彼がイタリア料理を作って振舞ってくれたり、バレーボール以外のスポーツや書籍の話、世界情勢などの時事なんかについてもおしゃべりしたり、、、僕にとってリラックスしてリフレッシュできる時間になりました。奥さんは日本の方で、試合が続いて時間に追われていた僕のために自炊のサポートもしてくださいました。ご夫婦が精神的に安らげる場所や時間をくれたこと、僕をサポートしてくださったことに心の底から感謝しています」 そして、最後に伺ったのは初優勝を目指すネーションズリーグ(VNL)から始まるロラン・ティリ監督2年目の代表シーズンについて。

――新体制2年目となる今年の最重要目標はアジア選手権で狙うロス五輪への切符獲得。その道のりでカギとなる対戦国はどこになると思いますか?

「イラン代表ですね。今のイランにはポーランド、イタリアやロシアなど色々な国でプレーしている選手が大勢います。海外で経験を積んで力をつけた選手たちが集まるとなればチームのレベルがかなり上がってくるので、昨年や一昨年より厄介になると思っています。加えて、僕のミラノ時代の指揮官でとても有能なロベルト・ピアッツァ監督が率いているので、力を出してくるチームになるんじゃないかな。なので、イラン戦がやっぱり重要になってくるかなと考えています」
 ――昨年は前年に銀メダルを獲得したVNLで8強止まり。世界選手権では予選敗退と納得のいく結果を残せなかった。それを踏まえ、主将として今年はどんなアプローチを考えていますか?

「練習からもっと意味のあるものにしたいです。僕がペルージャでやってきたように1本、1点にこだわって無駄なボールをなくす。その成果は必ず試合に表れるので。そういった意味で主将として今年は練習をより競争力のあるものにしていきたいと思っています。それから、アジア選手権がなによりも重要な大会になるのでそこにピークを持っていけるようチーム作りをすることですね。個人としては、昨シーズンは肩やほかの箇所を痛めてしまったのでコンディション調整を最大限に気をつけて、僕自身もいい練習をするべきだと思っています」

「1番はアジア選手権でオリンピックの切符を取ること。そこに重点を置いてチームの成長曲線をイメージしながらやるべきことに取り組みピークの持って行き方を考えて、その前にあるVNLを戦いたいと思います。去年は僕を含め遅れて合流する選手がいましたが、今年に関してはメンバー全員が揃ってスタートを切るので、そこからいいチームを作って勝ちたいです。昨シーズンに結果を出せなかったので、今シーズンはしっかり満足のいく結果を出して終えたいと思っています」

 常勝の宿命を背負ったペルージャという至高のクラブで眩いほどの輝きを放ち、全身で味わった栄光と歓喜。その傍らには、トッププレーヤー同士の熾烈な競い合いと無情にも襲いかかった怪我という試練が刻まれた。光と影をすべて受け止めて研鑽を重ねた軌跡は、背番号14がここから先へと踏み出す足取りを力強く導くかけがえのない羅針盤となるはずだ。

取材・文●佳子S.バディアーリ

【画像】日本代表に欠かせない存在!キャプテン石川祐希の躍動を厳選ショットで! Yuki Ishikawa photo gallery
配信元: THE DIGEST

あなたにおすすめ