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【プロの観戦眼46】相手に手札を出させ、自分は隠しておいたカードを最後に出す策士、ゴファン。引退前にぜひ見たい~佐藤武文<SMASH>

【プロの観戦眼46】相手に手札を出させ、自分は隠しておいたカードを最後に出す策士、ゴファン。引退前にぜひ見たい~佐藤武文<SMASH>

このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがスゴイ!」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。

 第46回は、多くのテニス中継で解説を務めてきた佐藤武文氏が、今季限りでの引退を表明している35歳のダビド・ゴファンに注目する。

 佐藤氏がゴファンを推すのは「プロの中では小柄だけど組み立てで勝負する選手で、言うなれば錦織タイプ。身体に恵まれなくても堂々と戦っているところにシンパシーを感じます」というのが理由だ。

 ゴファンは一発の大砲を持っているわけではなく「フォアは後方からムーンボールをうまく使い、バックはクロスとダウンザラインをフラットで奇麗に打ち分ける」のがベース。そうした中で、佐藤氏は特に光るショットが2つあるという。スマッシュとリターンだ。

 スマッシュの世界3大名手としてフェデラー、ガスケ、ゴファンを挙げる佐藤氏。そのうちゴファンの良さはコースが非常に読みにくいことだそうだ。

「彼はフラットではなくスライスっぽくスマッシュを打つんです。フラットで当てにいくと面の出方でコースが読めますが、スライスだとわかりにくい上、滑ってくるから難しい」
  もう1つのリターンに関しては、「無理しない」ところを称賛する。

「リターンは、ストロークとボレーの中間のイメージを持っている選手が優れていますが、ゴファンはその典型。フォアもバックも大きく振らず、サービスの威力を利用してフラットでコンパクトに返します。自分で出力を上げようとするとミスヒットしやすく、“受けて力を出す”感覚が必要です」

 このように力に頼らずボールを操るゴファンのテニスを、佐藤氏は“後出しジャンケン”のようだと評する。

「相手のできること、嫌なことを情報収集し、ファイナルセットで勝つ。相手に手札を出させ、もう切るものがないところまで持っていき、自分は隠しておいたカードを最後に出すんです」

 こう聞くと、まさに錦織のテニスではないか! そんなゴファンの頭脳プレーを見られるのもあとわずか。機会があったらぜひ目に焼き付けてほしい。

◆David Goffin/ダビド・ゴファン(ベルギー)
1990年12月7日生まれ。180cm、70kg、右利き、両手BH。2009年にプロ転向し、力に頼らないクレバーなテニスで活躍。17年ジャパンオープンなどツアー6勝を挙げ、四大大会では4度8強入り。ビッグ3全員に勝利した経験を持ち、昨年のマイアミではアルカラスから金星を奪った。今年限りでの引退を表明。ATP最高位7位。

取材・文●渡辺隆康(スマッシュ編集部)
※『スマッシュ』2026年6月号を再編集

【連続写真】コンパクトに面を合わせたゴファンのバックハンドリターン「30コマの超分解写真」

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配信元: THE DIGEST

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