男子テニス元世界ランキング2位のアレクサンダー・ズべレフ(ドイツ/現3位)が、ついに待望のタイトルをつかみ取った。現地6月7日に行なわれたテニス四大大会「全仏オープン」の男子シングルス決勝で第10シードのフラビオ・コボッリ(イタリア/同14位)を6-1、4-6、6-4、6-7(5)、6-1とフルセットの末に下し、殊勲の四大大会初優勝並びに同大会初制覇を成し遂げた。
一型糖尿病と闘いながら長年追い求めてきた夢がようやく現実のものとなった。過去3度の四大大会決勝ではいずれも敗れ、あと一歩のところで優勝を逃してきた29歳のズベレフ。中でもドミニク・ティーム(オーストリア/元3位)に敗れた2020年の全米オープン決勝では2セットアップから大逆転負けを喫すという苦い経験を味わった。
24年の全仏オープン決勝ではカルロス・アルカラス(スペイン/現2位)、昨年の全豪オープン決勝ではヤニック・シナー(イタリア/現1位)に敗戦。それでも29歳は挑戦を続け、見事に“4度目の正直”を果たして悲願の頂点へたどり着いた。
センターコート「フィリップ・シャトリエ」で行なわれたコボッリとの運命の一戦。ズベレフは1セットずつを取り合って迎えた第3セットを制して優勝に王手を懸けるも、タイブレークの末に第4セットを落として2セットオールに持ち込まれる。それでも勝負のファイナルセットでは気持ちを切り替え、計3度のブレークに成功して4時間16分にも及んだ死闘に終止符を打った。
ズベレフにとって全仏オープンで“縁のなかったタイトル”を手にした意義は非常に大きい。というのも同大会は、彼のテニス人生を大きく揺るがした苦い記憶が残る場所でもあるからだ。22年の準決勝で赤土の王者ラファエル・ナダル(スペイン/元1位)と激闘を繰り広げていた最中に右足首を負傷し途中棄権。その後は手術と長期離脱を余儀なくされ、一時はキャリアへの影響も危惧された。
あれから早や4年、同じ「フィリップ・シャトリエ」で、今度はキャリア最高の瞬間を迎えたドイツテニス界の貴公子。表彰式ではあの時の悪夢を振り返りつつ、次のように語った。
「このコートは人生最高の瞬間と人生最悪の瞬間を経験した、本当に特別な場所です。4年前、私はこの場所で7本もの靱帯を断裂し、骨も2カ所折りました。さらに一昨年は決勝で敗れて優勝を逃しました。そして今日、ようやくハッピーエンドを迎えることができました」
一方敗れたコボッリはアドリアーノ・パナッタ(元4位)、ニコラ・ピエトランジェリ(元3位)、シナーに次ぐイタリア人男子4人目の四大大会優勝はならず。それでも今回の準優勝により、大会後に更新された世界ランキングで14位から4つ順位を上げて10位に浮上し、自身初のトップ10入りを達成した。表彰式ではオフコートで親交の深いズベレフを称えつつ、こう語った。
「私は四大大会のタイトルに最もふさわしい選手は誰かと聞かれた時、常にあなたの名前を挙げていました。あなたの優勝をうれしく思う一方で、自分もあと少しのところまで行けたので悔しさもあります。あなたは夢を叶えたので、次は自分に勝たせてください」
文●中村光佑
【動画】ズベレフがコボッリを破って初優勝を飾った「全仏オープン」決勝ハイライト
【画像】ズベレフが四大大会悲願の初優勝! コボッリを下した「全仏オープン2026」決勝&表彰式を厳選写真で特集
【関連記事】世界3位のトッププレーヤーと糖尿病患者の顔を併せ持つズベレフが財団のチャリティで示したもう一つの使命<SMASH>

