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“初代王者”早稲田大、4年ぶりの1部で奮戦。元Jリーガー兵藤慎剛監督の熱意「愚直で、泥臭く戦う姿、そこを見せ続けたい」

“初代王者”早稲田大、4年ぶりの1部で奮戦。元Jリーガー兵藤慎剛監督の熱意「愚直で、泥臭く戦う姿、そこを見せ続けたい」


 節目の100回目を迎えた関東大学サッカーリーグ戦の栄えある初代王者は、一体どこか。この問いに即答できる方は、かなりの大学サッカー通と言えるだろう。

 同リーグ戦の第1回大会は1924年だった。東京帝大(現・東大)、東京師範(現・筑波大)、早稲田大、慶応義塾大、法政大、東農大の6大学が集い、覇権を争った。以来、戦時下の43年から3年間は中止されたものの、現在に至るまで99回におよぶリーグ戦を実施。今では1部から3部まで各12大学が属するなど、様々な改革に取り組みながら、日本サッカー界の発展に貢献してきた。

 前置きが長くなったが、冒頭の問いの答えは早稲田大だ。初代王者の栄誉を皮切りに、最多27回のリーグ優勝を飾り、続く17回の筑波大を大きく引き離し、ダントツの実績を残している。

 とはいえ、早稲田大の長い歴史を紐解くと、光もあれば、影もある。2000年代初頭に東京都大学リーグまで降格するという憂き目にあった。2015年と18年にタイトルを奪還し、名門復活を印象づけたものの、近年は2部での戦いを強いられた。

 メモリアルシーズンの今季、歓喜と苦悩を知る早稲田大が4年ぶりに1部昇格を果たし、奮闘している。4月4日、昨季リーグ優勝の筑波大との開幕戦では2-1で勝利し、嬉しい白星スタートとなった。

 チームの指揮を執る兵藤慎剛監督は「対戦相手にしても会場にしても、あのような雰囲気のなかで試合ができるのは、そうないでしょうからね。“全員で、楽しく、ポジティブにやろうぜ”という気持ちで臨みました」と語り、こう続けた。

「僕ら早稲田にとって4年ぶりの1部。それはつまり1部を経験している選手がひとりもいないということです。自分たちが取り組んできたチームとしての基準はどうなのか。疑いながら、確かめながら戦うような試合でした。

(昨年度の覇者である筑波大に)開幕戦で勝てたことは、やはり自信になりましたが、だからといって先は長いですし、何かが決まったわけでもない。これからも熱量をもって、チャレンジし続けることが大事だと考えています」
 
 粘り強さをモットーに戦う早稲田大は、僅差の勝利をモノにしながら上位勢を追走。第10節の法政大に勝てば、暫定ながら首位に躍り出る可能性もあった。だが、結果は1-2。前半に2失点を喫し、終了間際に1点を返したものの、時すでに遅く、逆転勝利を手繰り寄せるところまではいかなった。

「ひとつ勝てば3つくらい順位が上がり、ひとつ負ければ3つくらい順位が下がる。リーグ戦はドングリというか、最後まで混戦だと思うので、一喜一憂せず、見つかった課題を改善しながら、次の試合に向けてしっかり準備したいです」(兵藤監督)

 自身もまた早稲田大OBである指揮官は、関東大学リーグの競争力の高さを、身をもって知るひとりだ。入学したばかりの1年生の時に東京都大学リーグを戦い、そこから関東大学リーグ2部、そして1部へとはい上がった。

「チームみんなで力を合わせながら、壁を乗り越えてきたという当時の経験は貴重だなと感じます。監督としてもまず2部を戦い、1部に上がりましたし、こうした(チームが強くなっていく)過程が今後に間違いなく活かされるはずです」

 常日頃、選手たちに求めていることがある。それは「ピッチに立ったら、目の色を変えて、誰よりもうまくなりたいという気持ちで取り組んでほしい」という点だ。

「試合は相手がいますから、自分たちの思いどおりにいかないことも多い。でも、そんな時ほど選手としての本質が問われるので、苦しい時、うまくいなかい時ほど、一人ひとりがエネルギーを出していけるようなチームにしたいと考えています」
 
 現役時代の兵藤監督といえば、文字どおり戦う男だった。早稲田大を卒業後、横浜FM、札幌、仙台、相模原といったクラブでプロ生活を続け、21年シーズンをもって引退。新たな道を模索するなか、23年から母校の監督に就任した。

「指導者というのは、セカンドキャリアの選択肢のひとつでした。ただ、“早稲田大の監督をやりたいです”といっても、すぐになれるものではないので、タイミングというか、縁かなと感じています。

 監督として心がけているのは、チームとしての最善はどこか、そこを常に探ることですね。選手たちと一緒にトライ&エラーを繰り返しながら、学びながら、指導者として成長していけたらと思います」

 関東大学リーグの初代王者であり、最多27回のリーグ優勝を誇る伝統校だけに、周囲の期待は大きい。“期待”とは“プレッシャー”に置き換えることもできるだろう。兵藤監督は「僕自身、大学4年間で、一度もリーグ優勝していないので、そこへの思いは強い」と意気込みつつ、ただ、その前に「やらなければいけないことがある」と強調した。

「僕ら早稲田が大事にしている部分、それは愚直で、泥臭く戦う姿ですが、そこを見せ続けたいです。そうすれば、結果にかかわらず、見る人の心を動かせるのではないか、と。僕らの情熱やエネルギーが伝わるような試合を、応援してくれるOBやOGのみなさんに届けられたら、と思いますね」
 
 6月7日、第11節の桐蔭横浜大戦は前半のうちに2点のリードを許しながらも、後半に3点を奪取。見事な逆転劇を演じ、早稲田大が暫定3位に浮上した。

 別途大会の影響で延期されていた第4節を、6月13日に控える。相手は首位の国士舘大。両者の勝点差は5だ。得点王争いのトップに立つ本間凜を擁する国士舘大だけに、厳しい戦いが予想されるが、4年ぶりに1部に返り咲いた早稲田大にとって大きな試金石になるのは明らかだろう。

取材・文●小室功(オフィス・プリマベーラ)

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配信元: SOCCER DIGEST Web

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