レアル・マドリーの会長選挙は、現職のフロレンティーノ・ペレス氏が勝利し、2030年までクラブの舵取りを担う運びとなった。
長年盤石と見られてきたペレス体制に初めて本格的な対抗勢力が現われた点でも注目を集めた、同クラブにとって20年ぶりの本格的な会長選について、地元マドリードのスポーツ紙『MARCA』は、選挙が6月7日にバルデベバスで実施され、ペレス会長が2万1741票を獲得。得票率65%を記録し、対抗馬の実業家エンリケ・リケルメ氏の1万1814票(35%)を大きく上回った。世論調査の段階から優勢が伝えられていたものの、リケルメ氏の健闘もあり、結果が正式に確定するまで時間がかかったという。
同じマドリードのスポーツ紙『as』は、この結果を詳しく報道。ペレス会長は60の全投票所で勝利しただけでなく、論争の的となっていた郵便投票でもリケルメ氏を上回ったと伝えた。投票率は44%に達し、2000年以来の高水準だったという。同メディアは、「現会長にとって2000年、2004年に続く自身3度目の選挙勝利となったが、65%という数字は2004年の90%超に次ぐ好成績であり、スポーツ面で無冠のシーズンが続いたにもかかわらず、依然として大多数の会員から支持を得ている実態を示した」と総括した。
再選決定後、ペレス会長は支持者に対し、「これはマドリーにとって偉大な日だ。我々は全ての投票所で勝利し、クラブ選挙史上2番目に良い結果を得た。マドリーは独立したクラブであり、未来を恐れない」「私はマドリーを守り、タイトルを獲得し続けるために、ここにいる。最高の選手たち、そして最高の監督を誇りに思えるクラブであり続けたい」とコメント。新たなプロジェクトへの意欲を示すとともに、自身に投票しなかった会員にも言及して、「彼らの要望にも耳を傾ける」と強調している。
この結果を受けて、最も大きな恩恵を受ける人物のひとりとされるのが、ポルトガル人指揮官のジョゼ・モウリーニョである。『MARCA』紙は、「前提条件とされていたペレス会長の勝利が実現したことで、モウリーニョの2013年以来13年ぶりとなる復帰が正式決定となった。クラブは彼の現在の所属先であるベンフィカへ1500万ユーロ(約28億円)の契約解除金を支払う見込みで、同監督はすぐにチーム再建へ着手するとみられている」と伝えた。
記事では、モウリーニョが引き継ぐチームについて「極めてデリケートな状況にある」と指摘され、すでにイブラヒマ・コナテ、デンゼル・ドゥムフリースの加入が決まり、アントニオ・リュディガーとの契約延長も確定したと伝える一方で、「多数の選手の去就問題や、昨季58件に及んだ故障者問題への対応が待ち受けている」とも綴られている。なお同メディアは、「モウリーニョは、かつてのジネディーヌ・ジダンのような『チームマネジャー』的な役割の設置も希望している」とも報じている。
ファンの最大の関心事は新たな「銀河系補強」だが、ペレス会長は選挙期間中、「史上最高額のオファーを提示する」と公言。『MARCA』紙によれば、「ターゲットがバイエルンのフランス代表マイケル・オリーセである可能性が高まっている」。市場価値は約1億5000万ユーロ(約280億円)とされ、実現すればクラブ史上最高額の補強となるが、バイエルン側はヘルベルト・ハイナー会長が「オファーを送る手間は省いた方がいい」と牽制するなど強硬な姿勢を見せており、「実現は容易ではないとの見方が広がっている」という。
一方、英国の日刊紙『The Guardian』は、今回の選挙を単なるペレス会長の再選劇としてではなく、「リケルメ氏の政治的成功」という側面から分析。今回、37歳のリケルメ氏は「急な選挙実施によって準備期間がほとんど与えられず、厳格な立候補条件にも苦しめられた」というが、それでも35%を獲得したことは「将来的な挑戦への足掛かりとなる成果だ」との見解を同メディアは示している。
リケルメ氏は今回、ペレス会長が進めるクラブ所有構造改革を「事実上の民営化」と批判し、自身が当選した場合にはクラブのレジェンドでもあるラウール・ゴンサレスをスポーツ部門責任者、ドイツの名将ユルゲン・クロップを監督に招く構想を掲げ、また、アーリング・ハーランドやロドリの獲得まで公約していたが、最終的に政権交代には至らなかった。
もっとも、今回の物議を醸した選挙戦については、皮肉を込めて報じたメディアも少なくなく、バルセロナのスポーツ紙『Mundo Deportivo』は、「ペレス会長は勝ったが、反対勢力も誕生した」と総括。「この2シーズンで無冠が続いたにもかかわらず、会員は変化より継続を選んだ」「モウリーニョ復帰は、『バルサ対策』としての賭け」「マドリーは、2010年代と同じ顔ぶれに再び未来を託した」と指摘している。
フランスのサッカー専門誌『SO FOOT』は、さらに辛辣だった。選挙戦でペレス、リケルメの両陣営が次々と大型補強や大物監督を公約に掲げた点について、「サーカスのような選挙戦」と表現。「どちらの候補も、相手より“遠くへ飛ばせる”公約を競っているようだった」と皮肉った。
そして、「もはや高額スターを並べるだけで勝てる時代ではない」と主張し、パリ・サンジェルマンやバルセロナの近年の変化を例に挙げながら、「マドリーは『フットボール・サーカス』ではなく、真の組織として振る舞うべきだ」と警鐘を鳴らしている。
構成●THE DIGEST編集部
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