北中米ワールドカップの開幕が目前に迫るなか、前回王者アルゼンチンとともに大きな注目を集めているのが、キャプテンのリオネル・メッシだ。
38歳となった大エースにとって、今大会は自身6回目のW杯。ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドやメキシコのギジェルモ・オチョアに並ぶ大会記録となる見込みであり、同時に「最後のW杯」になる可能性も極めて高いと見られている。2022年カタール大会で悲願の世界制覇を果たした伝説的スターが、有終の美を飾れるのか、各国メディアは様々な角度から分析している。
英国公共放送『BBC』は、「華麗なウインガーから、ほとんど走らないベテランへ――メッシの進化」と題した記事で、「ほとんどの選手が加齢とともに衰えていく一方で、メッシは単純な衰退ではなく支配し続けるために進化し続けてきた」と指摘。右ウイングとしてデビューし、やがてペップ・グアルディオラの下で“偽9番”へと変貌、さらにプレーメーカーや司令塔としても役割を広げ、時代ごとに異なる姿へ生まれ変わってきたのだという。
2009年のクラシコで中央へポジションを移されたため、「相手にとって問題であり続け、解決策の存在しない選手になった」というメッシの現在について、同メディアは「走る量を減らしながらも、試合を読む能力で違いを生み出している」と評し、「最後のメッシこそ、最高のメッシだ」という元代表MFパブロ・アイマールの言葉を引用し、「現在のメッシは、経験と知性によって新たな境地へ到達した」と賛辞を贈っている。
スペイン・バルセロナの日刊紙『LA VANGUARDIA』も、依然としてメッシがアルゼンチン代表の絶対的存在であると主張。記事では、リオネル・スカローニ代表監督の「私が全てを決めるというのは意味がない。どんな重要な決定も、メッシと話し合う」との告白を紹介するとともに、指揮官が「たとえ身体的に万全でなくても、レオは多くを生み出せる。100%でなくても、ピッチにいてほしい選手だ」と語り、今なおメッシがチームの中心的存在であり続けている現状を強調したと伝えた。
しかし、楽観論ばかりではない。アメリカの大手誌『Forbes』は、アルゼンチンの大会連覇がいかに困難な挑戦であるかを指摘。1938年のイタリアと1962年のブラジルに続く歴史的偉業達成に挑む「アルビセレステ」について、同メディアはコンディション面を懸念材料として挙げている。
「メッシは39歳の誕生日を目前に控え、筋肉疲労の影響でホンジュラスとの大会前最後の親善試合を欠場。さらに守護神エミリアーノ・マルティネスは指の骨折から回復中で、DFクリスティアン・ロメロも膝に問題を抱えている。2022年には全てが上手く噛み合ったが、今回はそうとは限らない」
一方で、英国の日刊紙『The Guardian』は、現在のアルゼンチンが必ずしも“メッシ頼み”ではない点を強調。前回優勝メンバーの約3分の2が残る一方で、新世代の台頭も進んでいる状況を挙げ、「メッシは依然としてチームの象徴であり、誰もが彼を崇拝しているが、今のアルゼンチンは、彼が不在でも戦える自信を持っている。かつてのように、メッシひとりへ過度な負担が集中するチームではなくなった」との見方を示した。
ちなみにブラジルの総合メディア『Globo』は、「メッシなき時代――アルゼンチンはいかに新たな10番を準備しているのか」と題した記事で、彼の「後継者」候補に注目。筆頭候補として挙げたのは、ティアゴ・アルマダ(アトレティコ・マドリー)で、「前回大会で途中招集ながら世界王者を経験し、その後はブラジルや欧州で成長。メッシ不在時にはスカローニ監督が代役として起用する機会も増えている」と綴っている。
さらに大きな期待を集めているのが、21歳のニコ・パスだ。イタリアのコモで飛躍を遂げて代表入りを果たした、レアル・マドリー育ちの逸材について、同メディアは「4年前、大会中に一気に主力へ駆け上がったエンソ・フェルナンデスのような存在になる可能性を秘めている」と評した。
構成●THE DIGEST編集部
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