
アマンダ・セイフライドが主演する歴史ミュージカル映画「アン・リー/はじまりの物語」が6月5日より全国で公開中。本編の舞台裏をとらえたメーキング映像が公開された。
■人間の平等と精神性を説いた指導者をひも解く「アン・リー/はじまりの物語」
18世紀という時代に自らをキリストの女性的化身と信じ、人間の平等とストイックな精神性を説いた指導者がアン・リー。本作は、性差別、人種差別の横行するイギリス・マンチェスターからたった8人の信徒と新大陸・アメリカへ渡り、史上最大のユートピアを築こうとした彼女の生き様を、残された文献からひも解く。
体を震わせ(シェイク)、歌と共に神へ祈りを捧げる様から彼らは“シェーカー”と呼ばれた。禁欲、自給自足の共同生活に表れているように、非常にストイックな精神性を持つ。
その信仰から生まれたシンプルモダンなライフスタイルは、信者が途絶え、ユートピア幻想が崩れ去ろうとも、日本のみならず世界中で愛される“シェーカーボックス”に代表されるような木工品や家具といった形で、私たちの生活の中に今も根づいている。
■本編の音楽や振り付け制作の舞台裏をとらえた特別映像が公開
今回公開されたのは、本作を作り上げる上で特に異色な音楽と身体表現についてのメーキング映像。モナ監督が「信徒の生活は歌に満ち、それ自体が礼拝となる」と、アマンダが「体を揺さぶり、恍惚の境地へ至る」と語っているように、シェーカー教団において歌(讃美歌)と体を揺さぶる身体表現は切り離せないもの。そんな本作において、モナ監督は振付師や音楽家とも通常とは違う取り組みをした。
音楽を担当したダニエル・ブルームバーグ氏には、シェーカー信徒たちが残した歌や散文をヒントにオリジナルの楽曲を書いてもらったのだという。ダニエル氏は「脚本を読み終えると、声や体を打つ音が脳内で響き渡った。そこへ旋律を加えていった」とファーストインプレッションを語る。そして、彼は全撮影期間中も現場に滞在、楽曲の録音を行った。「奇妙な場所で行われ、聞いたこともない、自由な音がする」と彼が語る通り、楽器編成も大きく拡張された。
言葉のない声の不協和音を作り出すため、さまざまな背景を持つ約100人の歌手を集め、これに調律された打楽器、ハンドベル、教会の鐘、巨大な金属製鐘板が加わり、幽玄な音を映画全般に響かせる。映像にはレコーディング風景の一端も収められている。
そして、ダニエル氏の音楽を指針として、振り付けを行ったのがセリア・ロールソン=ホール氏。ダニエル氏も彼女との仕事について「セリアの仕事の進め方は音楽家と似てる。型にはまらない」と回想。「踊るという意識を捨て、ただ存在する。信仰が本来持つ雰囲気を肉体で忠実に再現させ、霊的な境地に至る体験を表現した」と語る。アマンダも「非常に高い技術がなければ即興的な質感の漂うダンスは作れない」と彼女の仕事に驚嘆。
何時間も何週間も、息が詰まるほど踊った。アマンダは舞踏の稽古に約1年前から取り組んだそうで、「歌い踊りながら演じるのは難しいけど、やりがいがある」と回想する。モナ監督の「全身全霊で演じる覚悟がある役者にアン・リーを演じてほしかった」という強い思いに応えた形となった。
映像には、ダンスリハーサルの様子もふんだんに組みこまれている。モナ監督は「200人が共に歌い踊る姿を見ているとあなたもきっと恍惚の境地に至る」と作品の持つ求心力に自信をのぞかせる。そして、「唯一無二の感覚と鼓動が感じられるはず」と、大役をその身に宿し演じ切ったアマンダが締めくくる。

