今季のサンアントニオ・スパーズは、若きエースのヴィクター・ウェンバンヤマを中心に2014年以来12年ぶりにウエスタン・カンファレンスを制し、NBAファイナルに駒を進めた。
しかし、ニューヨーク・ニックスとのファイナルでは、ホームで行なわれた第1、2戦に連敗。初戦は最大14点のリードを守り切れずに逆転負けを喫し、第2戦では試合終盤のミスで勝利を逃した。この地元での連敗スタートを受け、多くの人がウェンバンヤマとスパーズを見限り始めていた。
そんななか、ニューヨークのマディソンスクエア・ガーデン(MSG)に舞台を移した第3戦でウェンバンヤマは、バスケットボールの“聖地”で最高のパフォーマンスを演じる。39分間の出場でゲームハイの32得点(フィールドゴール11/18、3ポイント2/4、フリースロー8/9)、8リバウンド、6アシスト、2スティール、3ブロックと攻守でゲームを支配し、115-111とスパーズをシリーズ初勝利に導いた。
1980年のマジック・ジョンソン(20歳276日)に次いで、NBAファイナル史上2番目の若さ(22歳155日)で30得点、5リバウンド、5アシスト以上を記録したウェンビーには、多くの識者やレジェンドから絶賛の声が寄せられた。
元NBA選手のギルバート・アリナス(元ワシントン・ウィザーズほか)も、自身のポッドキャスト『Gil's Arena』で22歳のビッグマンを次のように称えていた。
「彼は戻ってきて世界に示したんだ。これこそが“バウンスバック(逆境からの復活)”というものだ。彼はあのシュートを外し、ターンオーバーも犯してみんなに笑われた。でも、その後スーパースターらしいプレーを見せたんだ」
第2戦の第4クォーター終盤、ウェンバンヤマはディフェンシブ・リバウンドを奪うも、ステフォン・キャッスルへのパスはターンオーバー。さらにその直後にはジェイレン・ブランソンへファウルを犯し、勝ち越しのフリースローを許した。最後のオフェンスでも、決まれば逆転となるシュートを外し、スパーズは104-105で敗れた。
試合後の会見でウェンバンヤマは、自身の終盤の判断について責任を認め、「こうした失敗を第3戦への原動力にする」と反撃を誓っていた。
アリナスは続ける。
「どんなスーパースターだってミスはする。でも重要なのはその後だ。次のプレーや次の試合で立ち直れるかどうか。彼は失敗して、みんなに笑われた。48時間、72時間と笑い者にされた。でも戻ってきて、この街全体を黙らせたんだ」
ニックスは第3戦までプレーオフ13連勝中。試合当日は全米の注目が集まり、ドナルド・トランプ大統領も観戦に訪れた。チケット価格はファイナル史上最高額とも報じられ、パブリックビューイングも開催されるなど、ニューヨークは勝利ムード一色だったが、ウェンバンヤマがその祝祭ムードを一変させ、街全体を沈黙させた。
またアリナスは、ニックスの本拠地MSGの雰囲気についても持論を展開している。
「上品になりすぎた。昔みたいな狂気や熱気がない。ベン・スティラーやDJキャレドが座っているだけじゃダメだ。トレイシー・モーガンみたいにコートサイドで吐くほど熱狂するファンがいてこそ、本当のホームコートの雰囲気になるんだ」
第4戦は10日(日本時間11日)、引き続きMSGで開催される。第3戦で反撃の狼煙を上げたウェンバンヤマが、再びチームを勝利へ導けるか注目される。
構成●ダンクシュート編集部
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