昨年大晦日から、RIZINライト級戦線が大きな動きを見せている。
大晦日に起きたのは衝撃的な王座移動だ。絶対王者として君臨してきたホベルト・サトシ・ソウザがKO負け。勝ったのはイルホム・ノジモフ。本来の挑戦者が欠場し、カード変更でのタイトルマッチでチャンスをものにした。
ところが、新王者ノジモフも初防衛戦で敗れてしまう。5月の神戸大会、新たにベルトを巻いたのはルイス・グスタボだった。
2018年からRIZINに参戦しているグスタボ。過去に4敗を喫しており2連敗も。決して無敵の存在ではない。だからこそ、ライト級戦線は混沌としていると言っていい。一つの勝利が大きなチャンスにつながるし、逆もまた然り。
そんなライト級、6月6日のゼビオアリーナ仙台大会では2人の選手が生き残った。1人は“ブラックパンサー”ベイノア。極真空手出身で、キックボクシングイベントRISEでチャンピオンになっている。
ただMMAに転向してRIZINに出場すると、思うように結果が出せなくなった。勝っても消極的な内容で大炎上。昨年は海外で連勝したものの、大晦日にはカード変更からのKO負けという憂き目に。元々はノジモフと対戦する予定だったから、運命が大きく変わったことになる。
仕切り直しとなる今回は芳賀ビラル海と対戦。相手の計量オーバー(100g)があったがペナルティなしで試合を受け入れた。展開は打撃主体でベイノアのペース。1ラウンドにハイキックを当てて感触を掴むと、2ラウンドにも完璧にヒットさせてKO勝利を収めた。左ミドルを伏線に、同じ軌道でハイキックという狙い通りの一撃。大晦日にKOされた技でもあるから、まさに雪辱だ。
「自分の強みをぶつけようと。強みをぶつけてダメなら仕方ない。失うものは何もないので」
試合直前には、大会の煽り企画として仙台でポスター配りの営業活動も。元お笑い芸人で、RIZINでも“いじられキャラ”的なところがあったが、今回の勝利で株を上げた。
「やるからには頂点を目指したい。ポスター配って終わりじゃないよと。まだまだこんなもんじゃないです」
試合内容は真逆だったが、矢地祐介もライト級戦線に生き残った。修斗でベルトを巻き、RIZINにも初期から参戦。北岡悟、五味隆典に勝つなど結果を出してきた。しかしなかなかトップ戦線には定着できず、このところは勝ちと負けを交互に繰り返す状態に。年齢的にも36歳と、ベテランの域に入ってきた。
是が非でも結果を残したい仙台大会で対戦したのはISAO。パンクラスで2階級を制覇した同世代の強豪だ。ISAOは連敗中だけに、初参戦のRIZINでインパクトを残したいところ。
これまでのキャリアでは交わりそうで交わらなかった2人。試合もうまく噛み合わなかった。打撃のヒット数では矢地だが、組み技のアグレッシブネスではISAO。際どい勝負は矢地の判定勝ちとなった。
「なんとか生き残りました」
もっと激しい試合がしたかったと反省しつつ、矢地は勝利の手応えを語った。ISAOとは一緒に練習したこともあり、その時は敵わなかった。そんな相手に勝てたことで、成長を実感できたという。「針の穴を通す玄人好みの試合になってしまった」と言うものの、そういう接戦をものにしたことも大きいだろう。
「ライト級も役者が揃ってきたので、グランプリ(トーナメント)をやるなら出たい。台風の目になりたいです」
そんな野望も口にした矢地。しかしRIZINの榊原信行CEOは「あの内容でそれを言える矢地のメンタルが凄い。台風の目って、無風にするってことですかね」と苦笑していた。このあたりは選手の実感と他者の評価の違い。それを埋めていくのがRIZINファイターの仕事でもある。
派手に逆襲をアピールしたベイノアと際どく踏みとどまった矢地。勝ったことでチャンスが巡ってくる可能性が高いが、それは試練でもある。下半期のRIZIN、その注目ポイントが増えたことは間違いない。
取材・文●橋本宗洋
【RIZIN 画像】さいたまスーパーアリーナを華やかに彩ったRIZINガールを特集!
【画像】新チャンピオン神龍誠&RIZINガール
【画像】長澤まさみ、見上愛、松本まりか...全国の競馬場を盛り上げた“美人女優たち”を紹介!

