
2024年9月にシンガーソングライターの美咲とボカロPのさすけにより結成されたバンド・ミーマイナー。結成1年で大型ロックフェスに出演を果たし、ソニー・ミュージックレーベルズへ所属が決定、 “次に来るバンド”として注目され2026年5月にはメジャー1stEP「部屋とガラクタと私」をリリース。ミーマイナーの音楽ができる裏側や、歌詞製作の過程を覗き見られる連載「ミーマイナーの 歌詞にしなかったこと」連載第10回は、ボーカル・ギターの美咲が1stEP収録曲について綴ってくれた。
ミーマイナーのボーカルギター美咲です。先週はリーダーさすけがメジャーデビューについての連載を書いてくれました。私の書いた「終わり」という曲の歌詞を引っ張って書いてくれた部分があって、とても嬉しかったです。尊敬する人に引用してもら
えて光栄だ。
■「終わり」
という曲は、3枚目のEPに収録されている曲です。ここから先はぜひ「終わり」を聴きながら読んでください。 弾き語り曲で、ライブでも滅多に歌わないので知らない人も多いと思うけど、せっかく話題にあげてもらったので書いた時のことや、この曲に込めた想いを少しだけ話したいと思います。弾き語り曲は格好つけないように、裸の言葉がちゃんと届くように。きつく結んだ心をほどいて、絡まったところは櫛でとかして、分厚い化粧はきちんと落として、汚れた悪意は洗い流して、そうしたら忘れていた靴擦れが少し染みたりして、お風呂上がりの火照った心が伝えたい事をそのまま歌わせました。生身の心を殴られたら致命傷なので、卑怯者の私は普段バンドという鎧を着ていますが、届くべき人にちゃんと届いたらいいなと思って、アコギ一本で。

■「なくしもの」
大切な人、叶えたかった夢、あの時の希望とか無邪気さとか色んなものを失ってしまったなと思う。そして、それら同様、今この瞬間の全ても失われていく。時間は有限で、産まれたら死ぬ。そんなこと、分かっているのになんのために生きているんだろう?と考える癖は未だなくならず、解決もせず、【意味なんてない】と【このために生まれてきたんだ】という瞬間を行ったり来たりしながら23年が過ぎた。失っていくことが人生だと仮定して、私には何ができるのだろうか?そんな事を考えている内に、辿り着いた場所がこの曲だった。そんな感覚です。
小さい頃からテーマパークに入場する時には閉園時間を思って悲しくなり、休日おばあちゃんの家に向かう車内では、帰ることを想像して寂しくなった。「全てのことには終わりが来る」と分かっている。だから、だからこそ一度決めた夢は失くさないように10年間握りしめて生きてきたし、仲間が誰一人欠けることのない少年漫画に憧れて、どうせ終わるくらいなら何も始まらない方がいい、なんて開き直ったりもした。それら全てが正解であり間違いだったと思う。

■「私ばっかり忘れられない。」
そんな事を言い始めたら、失うものばかりで何も残らないじゃないかと思うが、そもそも失ったものを数えて感情を振り回している時点で、その全ては今の自分を作り上げる細胞の一つなのだと知った。私が思い出す度に、その記憶は現在進行形で生きる。ならば君が忘れてしまったあれやこれを、私がこの先も生かしてあげたい。過ぎゆく季節や思い出はもう二度と戻らないけれど、なくなったわけじゃない。君の中で生きている。君がいるから生きている。

■「友達は終わる?変わる?」
これまで(無意識領域も含めて)たくさんの人を傷つけてきた。友達という距離感は面と向かって喧嘩をすることや、言い合いをするわけではなく、なんとなく連絡を取らなくなったり、本当に思ってる事を上手く伝えきれなかったり、情けないなと思う。そういう運命だったと、当時の頼りないなりの本気だと開き直れたなら、どんなに楽なんだろうか。友達とアイスクリームを買った事を忘れてバスを待った八月が、数年経った今でも溶けてくれないや。宝物はあっけなくガラクタと化し、当たり前はいつか懐かしくなってしまう。急変する場合もあれば、なだらかに気付かない内に形を変えている場合もある。だから変わり映えのない日々も丁寧に積み重ねる事が大切で、受け取った優しさや愛情を、自分勝手にお守りにする。何にでも意味を見出したくなる節がある私だが、二人の意味は分からないままの方がいい。
美咲

