ボクシング元WBC世界ライト級チャンピオンでタレントのガッツ石松さんが肺炎のため、6月2日に76歳で逝去していたことがわかった。
ボクシング界の英雄として、そして唯一無二の「天然キャラ」として、日本中を笑顔にしてきた男の訃報に、芸能界からも悲しみの声が止まない。
数々の伝説的な「迷言・勘違いエピソード」を振り返ると、まるでコメディー映画のような光景が浮かんでくる。
パスポートの申請で性別(SEX)の欄に堂々と「週一」と記入した逸話はあまりに有名だが、こうした話は枚挙にいとまがない。
「太陽は右から昇る」という力強い助言や、亀を英語でなんというかと問われて「スッポン!」と叫んだ瞬間。あるいは「歯が痛いから歯医者を休む」という衝撃の論理…。あまりの珍回答に、クイズ番組の司会者が頭を抱えてものである。
しかし、これらの発言を単なるキャラ、あるいはおバカと斬り捨てるのは大きな間違いだ。事実、本人と娘の手でまとめられた「最驚!ガッツ伝説」の担当編集者が本人を取材した際、その迷言の数々が「演出なしの天然であること」に驚愕したという。
ガッツさんは、その場の空気を読もうと懸命に考え、真面目に答えた結果、我々の想像の斜め上をいく着地点に辿り着いてしまうというのだが、多くの人はそれを「ガッツ(勇気)」を持って愛した。
NHK朝ドラで橋田壽賀子が「指名」したすごい理由
かつてNHK朝ドラ「おしん」出演時、脚本家の橋田壽賀子から直々に指名を受けた際、
「あなたはチャンピオンのプライドを捨て、無名の一人の役者として一生懸命だったから」
と評価されたという。たとえバカにされようと、常に「芸人ガッツ石松」として、愚直に仕事を全うしたのである。
「幻の右」で世界タイトルを奪い、リングを降りた後もその温かい人柄と一生懸命さで、人々の心に拳を打ち込み続けたガッツさん。
「ガッツポーズをするたびに、ガッツ石松を思い出していただければ幸いです」
そんな所属事務所の言葉はもとより、奇想天外な伝説と決して折れなかった熱い心は、これからも「OK牧場!」の掛け声とともに、私たちの記憶に残り続けるだろう。
ガッツさんのご冥福を祈りたい。
(灯倫太郎)

