今月スポットを当てる3選手に共通するのは、圧倒的な飛距離。しかし、そのパワーの源泉はまったく異なる。
新時代の“パワフルさ”を体現する3選手のスイングから、飛ばしの本質を紐解く。
〝遅く見えて速い〞効率伝達スイング

アドレス~バックスイング

やや左足体重で、グリップはストロンググリップ。この構えはフェースをあまり返さず、ボールを横から叩いていくスイングの選手によく見られるアドレスです。
バックスイングでは両腕が真っすぐ伸びていて、スイングアークがとても大きい。手や腕に頼らず、胸を回転させていることを意味します。かなり筋肉質な体をしていますが、柔軟性が高くアスリートらしいフィジカルです。
バックスイング~トップ

Point:驚異的な肩の可動域(右)
トップに到達する直前、一般的にこのタイミングではヒジ、手首が曲がってほとんどトップの形になっているもの。しかし、彼の場合は肩の可動域が尋常ではないので、ここでもまだヒジや手首を曲げる必要がありません。
トップでは左の肩甲骨が出っ張って見えていて、これは肩がとても深く回っている証拠。これほどの肩の可動域をもっている選手は、女子選手を含めてもナップだけでしょう。
切り返し~インパクト

切り返しでは骨盤がすでにターゲット方向に向かって開き、ヒジがやや曲がってシャフトが自分の体に近い空間を通っています。このとき、全体的にはなかなかヘッドが動き出さないので「ゆったり振っているように見えるのに大きな飛距離が出る」という現象が発生するのです。
インパクトでは、切り返しでは曲がっていたヒジや手首の角度が伸び、ヘッドスピードが強烈に加速。骨盤の向きはさほど変化していないので、下半身の運動量が減って、上半身、腕、クラブと末端に向かって効率よく力が伝わっています。
フォロースルー

最近のパワーヒッターのなかでは、足元の動きがとても静かです。地面反力を最大限に活かそうとして、インパクト後に小さくジャンプするような選手が飛ばし屋には多いですが、ナップの場合は左右どちらの足も穏やかに動いている。
クラブと手の関係性を見ると、前腕が完全にターンしていてクラブの運動量が最大限に大きくなっています。これもまた、ムダなく力がクラブに伝わっていることのあらわれ。ナップはそのスイングのスムーズさが印象的ですが、それを支えているのは「力を伝達する技術」の高さなのです。
神ワザPoint

加速力を温存し、最後に一気にヘッドを加速させるスタイル。これができるのは、彼がもつ驚異的な柔軟性のおかげです。切り返しで背中や肩にハリが出ながらクラブが動き出すのが普通ですが、ナップの場合はトップがさらに深い位置まで入っていきます。まさに彼にしかできない「神ワザ」です。
いかがでしたか? 伝達効率のよいスイングをぜひ取り入れてみてくださいね。

レッスン=アッキー永井
●ながい・あきふみ(永井研史)/1987年生まれ、神奈川県出身。〝アッキー〟の愛称で親しまれている人気コーチ。人体解剖学や物理学の視点を取り入れたわかりやすいレッスンに定評がある。

Jake Knapp
ジェイク・ナップ
●1994年生まれ、アメリカ出身。180cm、73kg。 UCLA大学出身で2016年プロ転向。2024年「メキシコ・オープン」でツアー初優勝。2025年シーズンは平均飛距離約319ヤードで、トップ10入りを複数回記録。
写真=田辺JJ安啓
※選手の成績やデータは4月11日現在

