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「人との距離感を現実的に描いている」梅木葵監督が明かす制作の裏側と表現のこだわり<ガンバレ!中村くん!!>

「人との距離感を現実的に描いている」梅木葵監督が明かす制作の裏側と表現のこだわり<ガンバレ!中村くん!!>

アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project

春泥氏による王道BLコメディマンガ「ガンバレ!中村くん!!」は、2026年4月1日よりTVアニメーションが放送中。本作ではクラスメイトの広瀬愛貴に思いを募らせている中村男久斗の片想いをめぐる妄想と暴走が、どこか懐かしい80〜90年代のタッチでコミカルに表現されており、思わず夢中になっている方も多いはずだ。WEBザテレビジョンでは、監督・脚本・キャラクターデザインを務める梅木葵にインタビューを実施。原作ファンでもある梅木に、作品との出会いやアニメ化にあたって重視した点などを聞いた。

■「発表される2年前には決まっていた」アニメ化への道筋や監督就任の経緯を明かす

――梅木さんは本作で、監督・脚本・キャラクターデザインと複数の業務を担当されているかと思います。その中でも監督に関して、どのようにして業務に携わっているのかお聞きしたいです。

基本的には作品の方向性などを示していくのが監督の役割となっていますが、私の場合は原画を描いたり、脚本を担当していたりもするので、足りないところに入っていく“なんでも屋さん”というイメージで動いていました。

複数の業務を担当していることもあり、時には時間と身体が足りないと思うこともありますが、自分の手を入れられる方が安心するので、そういう意味ではいろんなことを経験してきてよかったと思っています。たまに絵を描いたり、キャラ修正を入れたりと、さまざまなセクションを体験できるのは良い気分転換にもなりますし、楽しく物作りができたんじゃないかなという風に感じています。

――梅木さんは元々原作ファンということで、「ガンバレ!中村くん!!」を知ったきっかけや、原作を読んでみて感じたことについてもうかがいたいです。

元々、春泥先生の活動を学生時代から知っていたのがきっかけですね。なので普通に書店で「ガンバレ!中村くん!!」の漫画を買って読んでいた……という感じでした。

私自身が絵を描いている人間ということもあり、どうしてもイラストに注目してしまうのですが、とにかく絵描きから見ても絵が上手すぎるんですよね。あとコメディが好きなので、作品のテンションやギャグ感が心地良いなと思っていました。
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project


――2024年にアニメ化が発表された本作ですが、どのくらい前からアニメ化のお話が出ていたのでしょうか?

スタッフの顔合わせ自体は、2022年にあったような覚えがあります。そこから脚本やプロットを練っていて、2023年に入ってからは脚本まわりを整えていくような形だったので、大々的に発表される2年前にはアニメ化が決まっていました。

――2022年から、梅木さんが監督をやられることも決まっていたのでしょうか?

当初私はキャラクターデザインで起用されていまして。ですが元々原作が好きだったこともあり、脚本まわりのことで提案したりするようになり……色々とやっていたらこうなった、という感じですね(笑)。
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project


アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project

■「絶対に逃さないようにしよう」物語の分岐点となった第6話

――アニメ「ガンバレ!中村くん!!」は、現在11話まで放送されています。梅木さんが最も印象的だった回は?

作中で物語が大きく動くのは、やはり第12話だと思うんですけど、この辺りは音響監督にも「『終盤をどうしていくか』というところから逆算して考えるといいよ」と言われていました。なので音の数や使用する楽器が第12話では急に減っていたり、音楽の雰囲気もこれまでとは変化していて。視聴者の方には“音”の部分から心の準備をしてもらうような形にしています。

あと視聴者にも「中村くんと同じくらい、感情が大きく揺さぶられて欲しい」という気持ちがあったので、今まで以上に中村くんの動きには力を入れています。第12話は、中村くんが広瀬くんを好きという面でどうしても避けては通れないお話だと思うので、アニメでもきちんと描いていこうと考えていました。なので自分の中でもかなり印象的な回になっています。

――個人的には、第6話も作品の分岐点になっているような印象を受けました。

私は全13話の構成の中で、第1〜6話をSeason1、第7話という特別編を挟んで、第8〜13話をSeason2というイメージで構成していたので、確かに分岐点という意味では合っているんじゃないかなと思っています。原作でも描かれている広瀬くんの表情や海辺でのシーンは、絶対逃さないようにしようと最初から決めて取り組んでいました。
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」で監督・脚本・デザインを務める梅木葵にインタビューを実施。
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」で監督・脚本・デザインを務める梅木葵にインタビューを実施。 / (C)Nakamura-kun!! Animation Project


――キャスティングにあたり、重視した点はありますか?

私としては「中村くんと広瀬くんが実在しているような感じで演じていただけたら」という思いが前提としてありました。小林(千晃)さんは、テープオーディションの時に原作を読みながら演じてくださったんですけど、中村くんの声のボリュームなどのぎこちなさが既についていて、彼にすごく合うんじゃないかと思ったんですよね。実際に本編でも、その部分は大いに発揮されていたように感じるので、「演じてくれてありがとう」という気持ちでいます。

榊原(優希)さんについては、序盤のアフレコで「なんかドキドキしますね」と言いながらスタジオに入ってきたところを見て、「すごい、もう広瀬くんだ」と思いました。この言葉を聞いて、絶対にいい広瀬くんを演じてくれると確信しましたね。

――以前「WEBザテレビジョン」で実施したキャストインタビューの際にも、小林さんと榊原さんが野津山(幸宏)さん(武内剛太役)の演技を絶賛されていました。

野津山さん自身がチャレンジングな方で、とにかくアドリブを入れてくださるし、音響監督からも「このシーンで何か入れといて」といったディレクションが飛びやすいキャラクターなんですよ。武内くんの声にならない叫びを野津山さんがどう表現してくれるのか、私も毎回楽しみにしていました。
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project


アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project

■梅木自身がお気に入りのキャラクターは?「原作よりも盛って描いていた」

――アニメ「ガンバレ!中村くん!!」といえば、毎話変化するエンディングも素敵ですよね。

そうですね。エンディングは「中村くんのプレイリスト」的なイメージなので、本編の中村くんの気持ちの続きや、次回に向けた意気込みを表現していたりと、彼に寄り添った選曲をしていて。流れによっては本編からそのまま繋げたり、逆に気持ちを切り替えてエンディングに入ってもらったりと、本編後の雰囲気を大きく損なわないよう気をつけていました。

私は第3話ED「今夜はブギー・バック」の入り込みと、夜の車中の静かな感じがすごく噛み合ったと思っているので、とても印象に残っていますし、このような形にできてうれしかったです。

――エンディングは、楽曲が決まってから作っていったのでしょうか?

最初にコンセプトを決めて、楽曲が確定してから細かい内容をエンディングディレクターと話し合いながら詰めていくという流れでした。エンディングの作画については、制作者にお任せしている部分もあるので、いろんな人のアイデアを取り込みながら作っていったという感じですね。

――「ガンバレ!中村くん!!」の中で、梅木さんが特にお気に入りのキャラクターは?

本作に関しては、基本母親のような気持ちになって拝見していたんですけど、青木山(麗子)さんが登場する回は、原作よりも盛って彼女を描いていた気がします。絵コンテを提出した時も、春泥先生から「青木山ってこんなにかわいかったんですね」とお返事が返ってきましたし、アニメにおいても彼女はかなり生き生きとしてくれたんじゃないかなという印象があります。
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project


――春泥先生から、アニメ化にあたっての要望やリクエストはありましたか?

お互いに思っていたのは“広瀬くんの描き方”ですね。彼はかわいいけど、男の子として見たらカッコいい一面もあるんですよ。なので、広瀬愛貴という1人の男の子として描くことに関しては、徹底的に気を付けるようにしていました。
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project


――原作ファンでもある梅木さんが思う、「ガンバレ!中村くん!!」の魅力を教えてください。

「ガンバレ!中村くん!!」は、すごくプラトニックかつコメディタッチで、さまざまな濃いキャラクターが登場するんですけど、中村くんと広瀬くんの距離感はかなりリアリティがあって。好きな男の子の恋愛対象が自分ではないかもしれない……という距離感で話が続くんですよ。目に見えた進展がない中でもストーリーが面白いのは、その周りを取り巻く環境だったり、他のキャラクターが魅力的だからこそだと考えていて。

コミカルな部分もありつつ、人との距離感を現実的に描いているのは、本作ならではの魅力なんじゃないかなと思っています。

◆取材・文=渡辺美咲
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より
アニメ「ガンバレ!中村くん!!」より / (C)Nakamura-kun!! Animation Project


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