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【伊達公子】今季で引退する錦織圭で印象に残っているのは、日本人選手の可能性を見せてくれた試合<SMASH>

【伊達公子】今季で引退する錦織圭で印象に残っているのは、日本人選手の可能性を見せてくれた試合<SMASH>

今季で引退を表明した錦織圭選手との交流は、プロになってからです。私が復帰した2009年頃から、ツアーで時々会うようになりました。インディアンウェルズで私がケガをした時には、錦織選手に帯同していたトレーナーにケアをしてもらいたいとお願いしたこともありました。その代わり、せめてものお礼として大会期間中はおにぎりを作って届けていました(笑)。 

 ミックスダブルスを組んで出場したのは、2012年の全豪オープン。どちらから声をかけたかは覚えていませんが、とても楽しかったです。グランドスラムでは私にとっても初めてのミックスでしたが、男子と組むと自分がうまくなった気分になりますね。サービスが良いパートナーがいるとプレーが簡単になり、自分のサービスゲームでもキープ率が上がるので楽しくプレーできました。頼もしい弟分でした。

 錦織選手の性格はおっとりしている感じですが、ただの気の優しい少年ではなく芯の強さがあります。揺るがない、ブレない部分があり、それを大々的に表に出さなくても、自分の望む方向に周りが動いてくれるオーラを持っていました。

 強くなってからも、もっと優しさを隠すくらいになってもいいんじゃないかと思うくらいでしたが、ずっと変わらない存在でした。それがまた彼らしいのでしょうね (笑)。ただ、大会期間中は周りを寄せ付けない空気感を作るのがうまかったです。彼の中では明確なメリハリがあったのでしょう。
  最も印象に残っている試合は、2012年全豪オープン4回戦でのウィルフリード・ツォンガ(フランス)戦です。当時のハイセンスアリーナで5セットマッチを真後ろのボックスで見ていました。私がじっくりと錦織選手の試合を見たのはそれが最初で最後かもしれません。

 まだそれほど5セットの経験がないにもかかわらず勝ち切りました。日本人選手が勢いと才能のあるトップレベルにいる選手たちに勝てるんだということを、実感できた試合でした。 

 2014年の全米オープン決勝は、取らなくてはいけない試合でしたね。決勝の相手がマリン・チリッチ(クロアチア)になった時に、難しくなるとは思いました。対戦相手がチリッチの場合、優勝できる可能性がロジャー・フェデラー(スイス)よりも強い反面、心の持ちようが難しいとも思っていたはずです。初めての決勝の相手は勢いのまま挑戦できるフェデラーの方が、取れる可能性があったでしょう。

 ビッグ4が君臨する時代に、なかなか立つことのできないグランドスラム決勝の舞台でしたから、敗れた時は最初で最後のチャンスを逃したと残念に思いました。それでも、強者が多い時代によく戦い抜いたと思います。

文●伊達公子
撮影協力/株式会社SIXINCH.ジャパン

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配信元: THE DIGEST

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