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エサを探すペンギンは「まず自分で考え」「失敗したら仲間の情報に頼る」と判明

エサを探すペンギンは「まず自分で考え」「失敗したら仲間の情報に頼る」と判明

採餌に失敗したペンギンは、仲間の情報に頼る / Credit:Canva

うまくいかなかったときほど、自分の考えに固執してしまうことがあります。

しかし本当に大切なのは、まず自分の経験を信じつつ、失敗したときには他者の経験にも目を向ける柔軟さなのかもしれません。

総合研究大学院大学と国立極地研究所のチームは、南極のアデリーペンギンをGPSなどで追跡し、採餌に失敗した個体ほど、次の採餌で同じタイミングで出発した仲間が過去に使った餌場の情報を手がかりにしている可能性を明らかにしました。

研究成果は2026年6月10日付で『Proceedings of the Royal Society B』に掲載されています。

目次

  • ペンギンのコロニーでは「餌場の情報が共有されているのか」
  • 失敗したペンギンは、仲間の経験を利用していた

ペンギンのコロニーでは「餌場の情報が共有されているのか」

ある動物たちは、繁殖期になるとたくさんの仲間が集まるコロニーを作ります。

しかし、集団で暮らすことには不利な面もあります。

餌をめぐる競争は激しくなり、病気も広がりやすくなるからです。

それでもコロニーが作られてきた理由の一つとして、「仲間から餌場の情報を得られるのではないか」という仮説がありました。

ただし、野生動物でこれを確かめるのは簡単ではありません。

同じ方向へ向かった個体がいたとしても、それが「仲間の情報を利用した」結果なのか、単に似た場所を好んだだけなのかを区別しにくいからです。

そこで研究チームは、南極リュツォ・ホルム湾の鳥の巣湾にあるアデリーペンギンの小さなコロニーを調査しました。

このコロニーでは多くのペンギンが繁殖しており、研究チームはそのかなりの割合の個体にGPSを取り付けて行動を追跡しました。

さらに一部の個体では潜水の深さも記録し、海へ餌を探しに出かける行動を詳しく調べています。

育雛期(親が雛に餌を与えて育てる時期)のアデリーペンギンは、親が交代で巣を離れ、およそ1日かけて餌を採り、戻ってきて雛に餌を与えます。

そのため研究チームは、それぞれの個体について「前回どこへ行ったか」「今回どこへ行ったか」「誰と一緒に出発したか」に加え、潜水深度の記録から「前回の採餌がどの程度うまくいっていたか」を推定して比べることができました。

そして解析ではまず、自分が前回使った場所の情報が、次の餌場選びを説明する重要な手がかりになっていることが示されました。

つまり、アデリーペンギンは基本的に、まず自分自身の経験をもとに餌場を選んでいたのです。

一方で、一部の採餌行動では、同じタイミングで出発した仲間の過去の餌場情報を取り入れた方が、今回の行き先をよく説明できました

より詳細な点を次項で確認しましょう。

失敗したペンギンは、仲間の経験を利用していた

研究チームは、ペンギンの餌場選びに関わる情報源を大きく2つに分けました。

一つは、自分が前回の採餌で利用した場所という「個人的な経験」です。

もう一つは、同じタイミングでコロニーを出発した仲間が、前回利用していた場所という「社会的情報」です。

解析の結果、多くのペンギンは前回うまく利用した場所を再び訪れる傾向がありました。

これは、アデリーペンギンが自分自身の経験を重要な判断材料としていることを示しています。

しかし一方で、一部のケースでは、自分の過去の行動だけではなく、一緒に出発した仲間が以前利用していた場所を考慮した方が、その後の行き先をうまく説明できました。

重要なのは、この効果が「同じコロニーにいる仲間全体」ではなく、「実際に同じタイミングで出発した仲間」で特に見られたことです。

研究チームが解析上で仲間を無関係な別個体に置き換えると、この傾向は弱まりました。

このことから、単に同じコロニーで暮らしているだけではなく、一緒に海へ向かって移動することが、餌場に関する情報を得る機会になっている可能性があります。

さらに研究チームは、潜水深度の記録から、それぞれの採餌行動がどの程度成功していたかを推定しました。

すると、前回の採餌があまりうまくいかなかった個体ほど、自分が以前利用した場所へのこだわりが弱くなり、仲間の情報を参考にする傾向が見られました。

これは「成功したら同じ場所を使い続け、失敗したら別の選択肢を試す」という行動戦略に近いものです。

そして採餌に失敗した個体では、同時に出発した仲間の過去の餌場情報によって、次の行き先が説明されやすくなることが示されました。

つまり、採餌に失敗した個体は、仲間と一緒に出発して移動する中で、その仲間が以前使った餌場の情報にアクセスしていた可能性があるのです。

集団生活には競争や感染リスクがありますが、仲間の行動から餌場の情報を得られるなら、それは厳しい環境で生きるための助けになりうるでしょう。

まずは自分の経験を使い、うまくいかなければ仲間の経験にも頼る。

南極のペンギンたちは、かわいらしい群れの中で、意外なほど柔軟な情報戦略を使っていたのかもしれません。

参考文献

採餌に失敗したペンギンは仲間の持つ情報を利用して餌場を探す
https://www.nipr.ac.jp/info2026/20260610.html#fig01

元論文

Unsuccessful foragers acquire social information through group departure and travel in penguins
https://doi.org/10.1098/rspb.2026.0122

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

配信元: ナゾロジー

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