このシリーズでは、多くのテニスの試合を見ているプロや解説者に、「この選手のここがスゴイ!」という着眼点を教えてもらう。試合観戦をより楽しむためのヒントにしてほしい。
第47回は、元デ杯日本代表チームコーチの増田健太郎氏が、先日の全仏オープンで四大大会初のベスト8入りを果たしたジョアオ・フォンセカに注目する。
ヤニック・シナーとカルロス・アルカラスが覇権を争う現在の男子テニス界だが、増田氏はその2人に割って入る可能性を秘めていると期待を寄せる。特にフォアハンドは、男子ツアーの中でも屈指の破壊力を持っているという。
「初めて彼を見た時、『この威力は普通のプロでは出せないな』と衝撃を受けました。自分のリズムで打てる時は本当に凄まじいスピードが出ますね」
その武器は、トップ選手を数多く見てきた増田氏の目にも、明確な「違い」として映っていた。アルカラスが打点を身体から遠くに取り、遠心力を生かして叩くタイプだとすれば、フォンセカは比較的身体に近い位置でボールを捉え、そこから強烈なパワーを加えていくタイプだそうだ。
「ラケット面を起こしてボールの後ろから叩いているので、打ち勝てる状態を作れています。打点も身体に近い方が、結果的にショットの安定感も高まります」
そのフォアへの絶対的な自信は、コート上の選択にも表れる。
「時にはダブルスラインの外まで回り込んででも、フォアで主導権を握りにいく場面があります。『久しぶりに(フェルナンド・)ゴンザレス級の回り込みを見たな』と思いました。それでもフォアでいきたい、という強い意思を感じます」
そういった姿勢も、フォンセカを他の若手と一線を画す存在にしている。この点も、増田氏が注目する理由の一つだろう。
「今の若い選手は、誰を見ても平均的に能力が高い。でも、何か一つでも突き抜けたものがある選手は、見ていて面白い。フォンセカは、まさにそのタイプですね」
“規格外のフォアハンド”を携え、今後はどんな旋風を巻き起こしてくれるのか。若き才能の歩みから、目が離せない。
◆Joao Fonseca /ジョアオ・フォンセカ(ブラジル)
2006年8月21日生まれ。身長188cm、体重81kg、右利き、両手BH。23年にプロ転向し、翌24年には「Next Gen ATPファイナルズ」を制覇。25年は2月の「アルゼンチンOP」(ATP250)で当時18歳にしてツアー初優勝を飾り、11月には自己最高ランキングの24位をマーク。今年は全仏オープンで自身初の四大大会ベスト8進出を果たした。破壊力抜群のフォアを最大の武器とする。
取材・文●前道右京(スマッシュ編集部)
※『スマッシュ』2026年3月号を再編集
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