
選手権準Vの鹿島学園が3大会連続でインハイへ――主将・内海心太郎を突き動かしたクラスメイトと大先輩・上田綺世の存在
苦しい時期を乗り越え、鹿島学園が3年大会連続となる全国総体出場を決めた。
昨冬の高校サッカー選手権で準優勝を果たした鹿島学園だったが、今季はU-18高円宮杯プリンスリーグ関東2部でまだ勝利が掴めていない。昨季のレギュラーがほとんど抜け、一からのスタート。レギュラーとしてプレーした今季の主軸はFW内海心太郎(3年)だけ。準決勝の流経大柏戦(1−0)で劇的な決勝弾を決めたFWワーズィージェイヴェン勝(3年)もスーパーサブとしての起用がメインで経験値が決して高いわけではなく、選手権で活躍したGKプムラピー・スリブンヤコ(3年)も代表活動などでピッチに立てていない。
そうした状況下で一からのチームづくりを余儀なくされ、シーズンが始まってもチーム状態は上向かなかった。インターハイ予選前の時点でリーグ戦は最下位。3分4敗という成績で未勝利のまま、チームは5月下旬から夏の全国大会出場を目ざして県大会を戦ってきた。
水戸啓明との初戦をなんとか1−0で勝ち切ると、準々決勝で波崎を2−0で撃破。勢いに乗ったチームは準決勝では、最大のライバルで2022年に夏の全国大会を制している明秀日立と対戦。延長戦までもつれながらも逆転し、3−2のスコアで決勝進出を決めた。
13日に行われた決勝は第一学院のパワーに苦戦し、序盤はギアが上がらなかったものの、前半のアディショナルタイムにCB群馬快太(3年)がFKの流れから決めてリードに成功。迎えた後半は攻撃のギアを上げ、立ち上がりに相手が退場者を出した流れも活かし、4ゴールのラッシュで、終わってみれば5−0という大差で12度目のインターハイ行きを決めた。
喜びを爆発させた選手たちのなかで、一際笑顔が弾けた選手がいる。キャプテンを務める内海だ。昨年の強さを知るエースストライカーは背番号を今季から10番に変え、王者の重圧と戦いながらチームと自分にフォーカスを当てて戦ってきた。さらに今回の決勝に関して言えば、並々ならぬ想いがあった。それが準決勝で戦術的な理由でベンチスタートになったからだ。後半にギアを上げる作戦だったとはいえ、サブに回ったことは自身の悔しさを倍増させたのは言うまでもない。だが、10番は複雑な胸中がありながらも、気持ちを切り替えていた。内海は当時の心境をこう語る。
「悔しさは少しあったけど、すぐにシフトチェンジをして前半は代わりに出場した選手がストロングポイントを活かして走り切ってくれた。後半は『お前が決めてこい』と言われたので、そこは自分の役割があるし、監督が信頼をして使ってくれていると思ったので気持ちをすぐに切り替えられた」
この決勝では、その悔しさをぶつけるつもりでピッチに立っていた。そうした想いは結実し、後半開始早々の5分にDFにあたりながらも気持ちで押し込むチームの2点目をゲット。「本当に良かった」と本人が安堵の表情を浮かべたように、期待に応えるゴールで勝利に貢献した。
とはいえ、内野に満足感はない。普段から鈴木雅人監督にA代表のエースストライカーで同校のOBでもあるFW上田綺世(フェイエノールト)の話を聞かされており、もっとやらないといけないという自覚を植え付けられてきた。「良い刺激になっているというか、本当に自分にとって良い環境だと感じている」という言葉からも、大先輩のようにチームを救うゴールを決めたいと気持ちを新たにする。
また、自身の欲求を駆り立てるうえではクラスメイトの存在も大きい。鹿島アントラーズユースの選手たちが鹿島学園に通っており、すでにプロ契約を結んでいるFW吉田湊海(3年)は隣のクラス。吉田は現在ワールドカップのサポートメンバーとしてU-19代表の活動に参加中で、「A代表の選手と一緒にやっている。この前まで学校で一緒だったのに、ここまでいっているのかと思うと、めちゃくちゃ刺激になる存在」だという。
もっとできる――。そう信じてやまない鹿島学園の大黒柱はさらなる飛躍を目ざし、最高の環境でインターハイに向けてギアを上げていく。
取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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