
映画『ルパン三世 カリオストロの城』場面写真 原作:モンキー・パンチ (C)TMS
【画像】え、かわいい こちらが「クラリスの愛犬」のモデルと言われている約50年前の人気犬(実写)です
ルパン「……よぉ、カール」
脚本家や漫画家が悩む作業のひとつが、キャラクターの命名です。好きな人物、趣味の用語やアイテムをもじるなど、結構苦労するとのことで、なかには、姓名判断で運の良い名前を探す人もいるといいます。名作『ルパン三世 カリオストロの城』にも、興味深い由来が考察される犬がいました。
アニメ界の巨匠・宮崎駿監督が携わった作品のキャラ名の由来で、有名なのは『となりのトトロ』の姉妹「サツキ」と「メイ」です。五月の和名である「皐月(さつき)」と、英語の「May(メイ)」から取られたとされています。また、『崖の上のポニョ』の「ポニョ」は、宮崎監督がスケッチを描いていた際に感じた、柔らかく弾むようなイメージから生まれた擬態語的な名前だそうです。
『ルパン三世 カリオストロの城』(1979年)に目を向けると、タイトルにもなっている「カリオストロ伯爵」は、18世紀ヨーロッパに実在したとされる詐欺師、アレッサンドロ・ディ・カリオストロに由来するといわれています。また、ヒロインの「クラリス」は、西洋で古くから使われる高貴な女性の名から取ったそうです。
そんななか、宮崎監督の個人的な好みが反映されているのでは? といわれる名前があります。それが、クラリスが飼っている愛犬「カール」です。クラリスを守り続ける忠実な犬の名前は、1977年放送のTVドラマ『刑事犬カール』から取られたという説があります。
この説について宮崎監督自身は特に語っておらず、公式に確認された話ではありません。しかし、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、このエピソードを紹介しているのです。
『刑事犬カール』で、主役の婦警役を演じていたのは、当時人気アイドルだった木之内みどりさんでした。鈴木さんの著書『映画道楽』によると、宮崎監督は当時、木之内みどりさんがお気に入りだったそうです。クラリスの愛犬に「カール」という名前が付けられたのは、ドラマへのささやかなオマージュだったのではないかと思われます。
『刑事犬カール』の放送と『カリオストロの城』の制作時期が近いことも、この説を連想させる理由のひとつになっています。ちなみに、ドラマのカールはシェパードですが、映画のカールはグレート・デン系とされる大型犬で、犬種そのものに共通点はありません。
さらに鈴木さんは、宮崎監督が描くヒロインについても、興味深い分析をしています。クラリスや「ナウシカ」、「シータ」に共通するのは、健気で一途そしてひたむきな性格です。鈴木さんは、その背景には宮崎監督が好ましく感じる女性像が反映されているのではないかと、昭和の日活スター・芦川いづみさん、『もののけ姫』の「サン」の声を当てた石田ゆり子さん、そして木之内さんの名前を挙げています。
もっとも、鈴木さん自身もこれらはあくまで自分なりの解釈だと断りを入れていました。キャラクターの名前ひとつにも、作り手の記憶や憧れが隠れているのかもしれません。
※参考資料『映画道楽』(ぴあ)
